みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

女と男 最新科学が読み解く性(NHKスペシャル)/『快楽白書(けらくはくしょ)』婦人公論1/15別冊

2009-01-08 00:00:00 | ジェンダー/上野千鶴子
年末に福岡伸一さんの『できそこないの男たち』を紹介したが、
その福岡さんと桐野夏生さんの対談が、5日の朝日新聞に載っていた。

桐野さんは昨年、無人島に男多数と女ひとりが漂着する『東京島』を書いたが、
最新作の『女神記』も評判だ。

 

『できそこないの男たち』(福岡伸一著/光文社新書)
/女が生きるヒント『クロワッサン』特大号(2008-12-29)


6日には読売新聞が、シリーズ「女と男」を始めたし、
「草食系男子」という言葉もあちこちで聞くようになり、
今年は『性』の話題が沸騰しそうな気配か・・・。

12月の読売新聞には、「大人の性の悩みをサポートします」と
『快楽白書(けらくはくしょ)』の書評も。
 

昨年も1月に『婦人公論』の別冊として刊行されたけど、
今年もさっそく買って読みました。

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テレビでは、11日(日曜日)からNHKスペシャルで、
「シリーズ 女と男 最新科学が読み解く性」が始まる。

近くて遠い? 遠くて近い?? おんなとおとこ。
見逃さないようにしましょう。

NHKスペシャル|シリーズ 女と男 最新科学が読み解く性
3回シリーズで見つめていく、私たちの物語。 2009年1月放送予定


     番組概要
人間の基本中の基本である、女と男──。
 ところが、それは未知なる不思議に満ちた世界。

・受精したばかりの胎児はすべて女の子で、たった一つの遺伝子によって男へと作り替えられる。
・その過程でおよそ三千人に一人は「両性具有」として生まれる。
・男女の違いは性器だけでなく、脳や寿命にまで及ぶ。
・男をつくる鍵となるY染色体はどんどん短くなっていて、1000万年後には消滅する──。

女と男は、どこがどう違うのか。なぜそんな違いができたのか。
そして、その違いにはいま、どんな意味があるのだろうか。
女と男の不思議を紐解いていくと、数百万年におよぶ弱肉強食の世界での熾烈な共存競争が浮かび上がってくる。

・肉食獣が闊歩するアフリカの大地。森という楽園を失った私たちの祖先。
・必死に命をつなぐため、私たちのなかに生まれていった仕組みが、女と男の違い。
・その仕組みはいまも、私たちの身体のなかで密やかに息づいている。
でも、そんな飢餓の世界を遠く離れ、私たちはこの地球に文明の都を築いた。私たちは、祖先とはまったく違う夢を追いかけはじめている。
自分らしく生きるという夢、あるいは自分らしく生きるパートナーを得るという夢──。

私たちの身体に潜む仕組みを越えて、私たちの心はどんな道を歩んでいるのだろうか。
「女と男」の仕組みを知ることは、その道のりを照らすひとつの灯りになる。


  ■第1回 惹(ひ)かれあう二人 すれ違う二人
1月11日(日曜)午後9時~9時49分

  1月11日(日曜)午後9時~9時49分
 男女はなぜ惹かれあうのか。
 脳科学はいま、恋のメカニズムを解明しつつある。その中心はドーパミンという脳内物質。快楽を司るドーパミンの大量分泌が恋する二人の絆となっているのだ。
ところが脳科学は同時に、皮肉な状況も浮かび上がらせている。高い代謝を要求するドーパミンの大量分泌は身体への負担が大きく、長く続かない。そのため、“恋愛の賞味期間”はせいぜい3年ほどだというのだ。実際、国連のデータでも、多くの国で離婚は結婚4年目にピークを迎える。

 なぜ4年程度しか恋のシステムはもたないのか。それはそもそもの起源と深い関係があると考えられている。もともと恋愛システムは、人間の子育てのために発達したという。二足歩行と脳が大きくなったために、人間の出産・育児は他の類人猿に比べても極端に負担が重いものになっている。そのため、子どもが確実に育つよう、いわば夫婦で協力して子育てするという仕組みを発達させたと考えられるのだ。つまり、子どもがつきっきりの世話が不要になる4年程度で、恋愛システムはその役割を終えるわけだ。

しかし、いまの男女関係は子育てのためだけにあるのではない。そこで、男女関係はどうすれば長続きするのかという科学的な探求がさまざま進められている。アメリカでは30年に及ぶ家族の長期研究を通して、長続きしない男女関係では、男女差が大きな障害になっている事実が浮かび上がってきた。たとえば、女は、相手の顔の表情から感情を簡単に読み解くが、男は必死に脳を働かせてもハズす。女が悩みを相談するとき、話を聞いてもらいたいだけなのに、男は解決策を示そうとしてしまう。

 こうした男女の違いは、長い狩猟採集時代の遺物ではあるが、無意識のなかに深く根ざしており、日常生活のなかで深刻な影響を与えやすいという。違いをちゃんと意識して、相手の気持ちを理解する努力が欠かせないのだ。
番組では、ワシントン州立大学の離婚防止のカウンセリングプログラムに密着し、「子育てを成し遂げる関係から、お互いの人生に影響を与え合う関係へ」と変わるなかの男女関係を描く。


■第2回 何が違う? なぜ違う?
1月12日(月曜)午後10時~10時49分

    1月12日(月曜)午後10時~10時49分

 男女平等の国・アメリカで新たな“男女区別”がはじまっている。
 小学校や中学校の義務教育現場で、男女別授業を行う学校が増えているのだ。成長期には特に男女差が出る。そこで、それぞれの性に合った教育をしようという試みなのだ。また、医学の分野でも、病気の男女の違いを重視する動きが広まっている。
 そうした動きの背景にあるのは、いま新たな男女差が次々と見つかっていることだ。特に、脳は性ホルモンなどの影響で男女の違いが意外に大きいことが最近になってはっきりしてきた。
 なぜ脳に男女差があるのか。そのヒントは、「同じことをしていても、脳の使いようが男女で異なっている」ということだ。たとえば、地図をたどっているとき、男は空間感覚を利用して地図を見るが、女は記憶や目印を手がかりに地図を見る。つまり、同じことをしていても両者が使っている脳の分野は異なっているのだ。脳が違うのは、「男女それぞれで得意なことが違う」ということなのだ。
 では、いったいなぜ、人間は男女で得意なことをわざわざ違うようにしたのか。それは「ともに生き延びる」ためである。長い、長い狩猟採集時代、ヒトの祖先はいつも飢えとの戦いのなかにあった。そこで役割分担をしていろいろな食糧を確保する生存戦略を採ったのだ。その結果、狩りを担当した男は空間感覚を磨き、収集を担当した女は目印を利用する能力を磨いたと考えられるのだ。その祖先の能力がいまの私たちにも引き継がれているというわけだ。
 その一方、思いがけない男女差も見つかっている。知能テストを解くときに使った脳の場所を調べたところ、男女で違っているらしいという事実が浮かび上がってきた。どうやらそれぞれが得意な能力を生かせるように、男女では脳のネットワークが異なっている可能性が高いのだ。狩猟採集時代とは違って、現代では男女の役割も仕事も生き方も多種多様である。そうした多様性にも対応できる柔軟性を私たちの脳は獲得していると考えられるのである。
 女と男の違いの最新研究を通して人間の歩んできた道筋をたどるとともに、医学や教育などではじまっている、男女差に注目する新たな潮流を描く。


 ■第3回 男が消える? 人類も消える?
1月18日(日曜)午後9時~9時58分

    1月18日(日曜)午後9時~9時58分

 性染色体がXXなら女、XYなら男。1億7千万年前に獲得したこの性システムのおかげで私たちは命を脈々と受け継いできた。ところが、この基本そのものであるシステムは、大きく揺らいでいる。じつは男をつくるY染色体は滅びつつあるのだ。専門家は「500万年以内には消滅する確率が高い」という。なかには、来週になって消えても不思議ではないとする意見さえある。
 そうした動きの背景にあるのは、いま新たな男女差が次々と見つかっていることだ。特に、脳は性ホルモンなどの影響で男女の違いが意外に大きいことが最近になってはっきりしてきた。
これはY染色体の必然的な運命だという。ほかの染色体は二本ペアになっている。もうひとつの性染色体のX染色体も母親の体内では二本揃っている。こうした場合、片方に欠損があっても、もう一方で補修できる。ところが、Y染色体は誕生以来、ずっと一本のまま、父から息子へと伝えられてきた。欠損を補修する仕組みがないため、長い間にY染色体には欠損が蓄積され、X染色体のじつに14分の1の大きさにまで小さくなってしまっているのだ。
 じつは「性染色体をつかって遺伝子できちんとオス・メスを決め、両者がそろって初めて子孫をつくる」というのは、私たちほ乳類が独自に獲得した方法だ。ほかの生物はメスだけで子孫を残せる仕組みを持っている。そのほ乳類独自のシステムが長くほ乳類の繁栄を支えた一方、いよいよその寿命が尽きようとしているのである。
 さらに人間の場合、Y染色体を運ぶ精子の劣化も著しい。これは生物学的に一夫一婦が長くなった影響だという。
 こうした性システムの危機に私たちはどう対応すべきなのか。自然任せに委ねるのか、あるいは人間の手で介入するのか。いわゆる人類初の試験管ベイビーが生まれてすでに30年、私たちは生殖補助技術をさまざまに開発してきた。そうした技術で将来、解決を図るという選択肢もありえるかもしれない。いずれにせよ、私たちは科学技術によって自然の仕組みを詳しく知ったことで、将来に横たわる危機を予め知る存在となった。それは、同時に自己決定をしなくてはならない生物になったことを意味しているのである。
 シリーズ最終回では、生殖技術をめぐる最前線もたどりながら、現在、性の揺らぎが引き起こしているさまざまな影響を追う。



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