みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

〔悩みのるつぼ〕上野千鶴子~男はいてもよし、いなくてもよし/『ポスト新自由主義』ほか

2009-08-03 09:31:04 | ジェンダー/上野千鶴子
土曜日の朝日新聞beに「悩みのるつぼ」という人生相談が掲載されている。
ここに上野千鶴子さんが回答を書いている。

上野さんが朝日の人生相談に回答を書いていることは知っていたが、
本紙に載ってないので、きっと東京本社版だけなのだろうと思っていた。

このところ、ばたばたと忙しくて新聞がたまるばかり、
日曜版や土曜版は読まずにチラシと一緒にリサイクル箱に直行、
この地方も土曜日のbeに載っていることを、先月まで知らなかった。
朝日新聞のアスパラクラブの会員で、朝日beのモニターをやってるというのに、
ちゃんと読んでないことが、これでバレバレ(笑)。

で、さっそく、新聞の山から探して読んでみると、
率直、適切な回答が多くて、とてもおもしろい。
車谷長吉さんも書いていらっしゃるのだが、こちらもユニーク。

土曜日は、「悩みのるつぼ」を読みたくて、朝日新聞のbeから読むようになった。
ちなみに、新聞のほうは中日新聞の連載小説「親鸞」を真っ先に読む。

おとといの、「悩みのるつぼ」は、上野千鶴子さんが回答者。
質問者は30歳の女性で「ステージの上に恋しちゃいます」。
上野さんの回答は「男はいてもよし、いなくてもよし」。
(上野さんの了解を得て転載します)

ステージの上に恋しちゃいます
相談者 女性 30歳

2009年8月1日朝日新聞 土曜版「Be」-悩みのるつぼ

 30歳の女性です。
 わたしは異性に対して臆病なのか、テレビの中やステージの上にいる人にばかり、恋をしてしまいます。
 高校生のとき、あるバンドのライブに通うようになり、メンバーの一人を好きになりました。ライブに通うためにバイトして、おしゃれして、という日々で、対象は変わっても、そのまま今に至っています。手紙を書き、プレゼントもします。
 その人と「付き合いたい」などと私がいうと、周囲は、「現実に目を向けなさい」とさとします。でも、現実の異性としゃべると、友人に言わせると、「ケンカ腰の口調」なのだそうです。自分では、緊張して口調がぎこちなくなってしまっていると感じているだけなのに。 
そんな小学生のような私を好きになってくれる人はかなり希少な存在だと長く思ってきたので、好きになっても、一歩引いてしまいます。
 子供のとき、いつも遊んでいる友だちは男の子にモテていました。でも、私は太っていて、「ブス」というようなことをいわれた思い出があります。その経験から、それまで普通に接していた異性ともまったく話しができなくなりました。いまは異性の友人も穂とかと製麻船。
 このまま、ステージの存在に恋をしつづけて一生独身なのかなあとか、漠然とした不安と寂しさを感じています。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  男はいてもよし、いなくてもよし
回答者 社会学者 上野千鶴子

 
 あなたはこのままでは負け犬、おひとりさまになってしまうかも、とお悩みなんですね。
 大丈夫です。負け犬の大先輩、元祖おひとりさまのわたしが請け合いますから、なんのご心配も要りません。これまでの30年間、男いらずで過ごしてきたあなたは、これからの30年間も男いらずで過ごせるでしょう。あなたには、30年間「なしですませてきた」実績があるのですから、その頃になったらあなたの友人たちの大半もおひとりさまになってることでしょう。結局ひとは、自分に必要ないものは求めないものです
 ・・・・・・・・・・・・・(中略)・・・・・・・・・・・・・。
 それにタレントやスターへの憧れにはいずれ飽きが来るもの。飽きが来たときに相手をとっかえるリスクもコストもかからないのもおっんけのよいところ。これがほんとの男だつたら、別れるためのリスクとコストは大きいですよぉ。
 それより、あなたが仕事のことを一言も書いていないことのほうが気になります。30歳なら、そろそろ結婚を予定に入れない人生設計を考える年齢ですね。着実に仕事をして、年金をきちんと払い、ローンを組んで小さくても自分の住まいを確保し、同姓の友人を大切にしてひとり暮らしの足場をつくんなさい。
 「婚活」なんてしなくていい生活基盤をつくることですね。男はいてもよし、いなくてもよし。いた方がよい男もいれば、いない方がまし、な男もいます。つい「ケンカ腰」になるのは、相手を意識しすぎてる証拠。お友だちになってもいいしならなくてもいいや、と思っていたら自然に脱力して異性ともお近づきに慣れるでしょう。


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WAN東京集会に行ったとき、上野さんの研究室によったら、
よだれがでそうな膨大な書棚の下に、たくさんの著書が置いてあって、
「どれでもどうぞ」と言われたので、文庫本を2冊いただいてきました。

  
単行本では持っているのですが、文庫本を持っていなかった、
『のろさにわ』と『<人間を超えて>-移動と着地-』。
どちらも好きな本です。

ちなみに、河出文庫からは、『スカートの下の劇場』『性愛論』も出ています。



上野さんが山口二郎さんに招かれて札幌で講演された時のことが本になった、
『ポスト新自由主義』も上野研究室で見つけました。
こちらは、サイン入りで、分けてもらってきました。

この本は、政治学者の山口二郎さんが、札幌で開いているシンポの記録です。
山口二郎さんは、政治学者のなかでは、けっこう好きな学者です。

浅野史郎さんの選挙のときに、東京の集会でお会いして、
その時の縁で上野千鶴子さんは講演に招かれたらしいのですが、
シャイなわたしは、名刺を渡さず、上野さんのかげに隠れていました(笑)。

『ポスト新自由主義―民主主義の地平を広げる (札幌時計台レッスン)』
山口 二郎 (著), 片山 善博 (著), 高橋 伸彰 (著), 柄谷 行人 (著),
上野 千鶴子 (著), 金子 勝 (著) (七つ森書館/2009/03)


上野さんは、第4章「わたしのことはわたしが決める」という講演と
山口さんとの対談を収録されてて、うれしいことに、講演の結びは、
わたしの『市民派議員になるための本』の紹介です。
ちなみに、演題の「わたしのことはわたしが決める」は、上野さんとの共編著
『市民派政治を実現するための本』のサブタイトル。

 ・・・・・・・ このように市民参加には、意思決定、評価、監視、行政、司法にいたるまでさまざまな領域があります。何も4年に一度の選挙だけが市民のせい゛参加ではありません。
 わたしは、『市民派議員になるための本-立候補から再選まで』(寺町みどり著、学陽書房、2002年)という本のプロデュースをしました、最初から最後まで読めば「その気」になれる本です。帯のコピーを紹介します。
 「仲間がいない?これから増やせばいい。選挙のことを何も知らない?選挙のノウハウがない?議会のことを知らない?・・・・この本を読んでください」(笑)。
 そのためにもまず意思決定権を持ちましょう。それはほんものの自己統治を実現するためにこそ、必要なステップですから。
(『ポスト新自由主義』P210より)


気軽に手に取れるようになった上野千鶴子さんの本を読んで、
蒸しあつくなりそうな「政治の夏」を乗り切りませんか。

オマケ。
7月30日、31日。上野千鶴子さん、岡田克也幹事長、高槻に来る!
(辻元清美のつじもとWEB)



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