今日は8月6日、広島に原爆が投下されて64年目の「原爆の日」です。
一昨日から始まった初の裁判員制度が適用された、
注目の東京地裁判決もありました。
裁判員制度がはじまったら、是非紹介したいと思い切り抜いておいた
7月25日の中日新聞の【特報】ここがおかしい!裁判員制度の記事。
明日の勉強会の資料を作っていたので、こんな遅い時間になってしまったが、
webには記事がアップされていないので、
是非たくさんの人に読んでもらいたくて、紙面をタイプしました。
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【特報】ここがおかしい!裁判員制度
在日コリアン 裁く側には立てず
根強い偏見に不安
中日新聞 2009.7.25
裁かれることはあっても裁く側には立てない―。これが日本で暮らす外国人と裁判員制度の関係だ。その構図は、約十年前に国会で論議された「永住外国人の地方参政権問題」とよく似ている。とりわけ、永住者の多数を占める在日コリアンの間では同制度が掲げる「市民感覚」に期待と不安が交錯している。国際化に伴い多民族化が進む日本社会の流れに、この制度は逆行しているようにもみえる。(出田阿生、田原牧)
「凶暴な在日朝鮮人」「日本国内でやりたい放題」という文字がでかでかと躍る。インターネット上のあるブログの画面だ。「朝鮮人」「犯罪」という部分は赤字。別のサイトには「在日を一掃しないと日本に平和はこないな」「公開処刑のレベルだろ」とあった。
これらの書き込みは、大阪府東大阪市で昨年十二月、タクシー運転手が殺害されて現金が奪われた事件で、強盗殺人容疑で逮捕された韓国籍の在日コリアン、安承哲被告(三七)=別の強盗事件で公判中=に対してだ。この事件も裁判員制度の対象になる。在日コリアン弁護士協会(LAZAK)の金喜朝会長(大阪弁護士会)は「凶悪な事件として注目され、さらに『在日』ということで、裁判員によっては不利な取り扱いを受ける恐れも否定できない」と表情を曇らす。
逆に在日コリアンが被害者の事件で、裁判員制度の対象になるケースもある。東京都足立区で今年五月に起きた殺人事件では、被害者が韓国籍の女性(六六)。被害者の近所に住んでいた藤井勝吉被告(七二)は「日ごろから被害者と、もめていた」と主張している。遺族は「殺害の動機に『在日』への偏見が含まれていたか否か、被害者の名誉回復のためにも確かめたい」と被害者参加制度を活用する意向だという。
高い実刑の確立
事件と国籍の絡みに裁判の当事者がこだわることには理由がある。
弁護士らでつくる研究会が1980年代に東京地裁で裁かれた約700件の窃盗事件を分析、日本人と外国人の量刑を調べた報告がある。浮き彫りになったのは、外国人の方が実刑になる確率が高いという結論だった。
例えば、85年1月~88年3月までの統計では、「万引」の執行猶予率は日本人が63.5%なのに対し、外国人はわずか23.6%。85年4月~88年3月までの前科・前歴のないケースで比べると、「万引」での日本人の執行猶予率は100%なのに対し、外国人はわずか約20%だった。
この調査に携わった大貫憲介弁護士(第二東京弁護士会)は「現在はこれほどの差はないと思うが、本質的にアジア系外国位人を差別する構造は変わっていない」と話す。
「司法修習生時代、法廷から戻ってきた裁判長が、法廷で証言した在日コリアンの証人を指して『外国人はうそつきだからね』と言い放ったのを聞いて驚いた。法曹界は偏見に満ちている。一般人が入った方が改善されるかもしれない」
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永住者にも国籍が壁に
大貫弁護士は裁判員制度で重視される「市民感覚」に差別、偏見を乗り越える期待を膨らませるが、逆に不安を抱く人もいる。在日コリアンで大妻女子大の鄭暎恵(チョン・ヨンヘ)教授(社会学)は裁判傍聴に訪れた際、法廷の外に掲示されている外国人の被告名に傍聴人らが「ああ、やっぱり」とつぶやく光景を何度も見てきた。
鄭教授には苦い経験がある。89年、車に追突されたが、加害者は大企業の重役の息子。警察署で「加害者は免停処分中に事故を起こした」と悪質さを強調したが、警察官はこの声を受け流し、加害者を返した。
逆に深夜まで事情聴取されたのは鄭教授の方だった。その約1年前に「外国人登録証を携帯していなくても、運転免許証などで身分証明は可能」という大阪高裁判決があり、鄭教授は外国人登録証を持ち歩いていなかったためだ。民族的な偏見を痛感した。
ところで、なぜ在日コリアンら永住外国人は裁判員の対象外なのか。
在日コリアンの場合、弁護士への道こそ70年代末に開かれたが、その弁護士でも家事調停委員などへの就任は認められていない。公務員管理職への任用も拒まれ、地方参政権すらない。
これらの拒否の理由には「当然の法則」と呼ばれる「国家権力の行使や国家意思の形成に参画するには日本国籍を要する」という論理が貫かれている。「主権者たる国民とは国籍を有する者」という"常識"が基盤で、これが裁判員制度からの外国人排除でも適応されている。
LAZAKの副会長の一人で、かつて東京簡易裁判所から、民事訴訟の司法委員への委託を拒否された経験のある殷勇基(ウン・ヨンギ)弁護士は「裁判員制度そのものへの賛否はともあれ、少なくとも永住資格を持つ『在日』は裁判員選任の対象であるべきだ」と語る。
「制度の趣旨は社会の仲間を仲間が裁くということ。そうだとすれば、永住者も日本社会の一員であり、それを受け入れることは日本社会への多様性の保障につながる」
ただ、事前に裁判所側が企画した模擬裁判では日本国籍を持つ外国人の想定すらなかったと殷弁護士は振り返る。「国籍はあっても日本語が不自由な外国人もいる。だが、そうした意識は推進する側にはなかった」
殷弁護士は「偏見以前に『在日』の存在に疎い人は法曹界にも少なくない。犯罪の背景に差別があれば、それを弁護側が説明しなくてはならないが、裁判員制度に伴う迅速化でその機会も制限される」と懸念する。
米兵は猶予判決
日本に約25年滞在するイタリアのテレビ局『SKY TG24』の東京特派員、ピオ・デミリアさんも「永住権を持つ人は地方参政権を併せ、裁判員の資格も持っていて当然」と話す。欧州連合(EU)諸国内では92年以来、各国で定住外国人に一定の参政権が付与されているという。
加えてデミリアさんは「日本では外国人といってもアジア人と欧米人では受ける対応が違いすぎる」という。実際、前出の量刑の報告でもアジア系と欧米系では同じ外国人でも基礎率などに明確な格差があった。
例えば、ズボン3本を万引して現行犯逮捕された中国人は前科・前歴なしでも実刑1年の判決。万引されて追跡した被害者に頭蓋骨骨折の重傷を負わせた米兵は執行猶予判決といった具合だ。
裁く側と裁かれる側をめぐる国籍の溝。鄭教授は心情をこう漏らす。
「北朝鮮バッシングでは『在日』も国家と同一に白眼視されがち。たとえ、被告が無罪を主張しても『在日だからやっているはずだ』という先入観で裁かれる―そんな不安はやはりぬぐえない」
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在日コリアン
2007年度末の入国管理局統計によると、在日コリアンのなかで、旧植民地出身者とその子孫である特別永住者は42万6000人で、永住者は約5万人。敗戦後、朝鮮半島(日本の旧植民地)出身者は1947年の外国人登録令で「朝鮮籍」表示にされ、50年からは「韓国籍」表示も可能になった。「在日コリアン」は法的な用語ではなく、日本国籍を持つ人も含め、日本社会に生きる民族的少数者という意味合いが強い。
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(中日新聞 2009.7.25) |
これからまだ資料の印刷があるので、今日はここまで。
明日は「ウィルあいち」で、今年はじめての「議員と市民の勉強会」合宿です。
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