みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

上野千鶴子さん連載「ニッポンのミソジニー」(「scripta」紀伊国屋書店)/山田詠美さんの『学問』

2009-08-13 12:45:22 | ジェンダー/上野千鶴子
ブログの編集画面を開けたら、 
「カスタムレイアウト」にバージョンアップ(推奨)」という欄ができていた。

カラムの変更、サイドバーへのブログパーツ貼り付け、
各モジュールの位置変更などがカンタン・自由にできるようになるとのことで、
「む・しネット」ブログは前に変更したのだけど、今までは、
「みどりの一期一会」のテンプレートは対象になっていなかった。

「カスタムレイアウト」テンプレート化計画 第4弾移行開始のお知らせ 

13日から26日までの期間、暫定的に、
「カスタムレイアウト」と「今までのレイアウト」(非推奨)を選択するのだけど、
26日を過ぎたら自動変更されるらしいので、とりあえずバージョンアップしてみた。
(といっても、変更すると旧バージョンに戻るのは不可能)

サイドの順番を自由に変えられるとのことだったので、
すこし入れ替えてみた。
アクセス数も表示することができるので、こちらも「表示」に設定しました。

今までよりも読みやすくなったと思うけど、いかがでしょう。
(みどりにダイレクトメッセージも送れます)


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話しは変わりますが、先月、WAN東京集会で上野さんにお会いしたときに、
「非モテのミソジニー」のコピーをいただきました。
このエッセイは、紀伊国屋書店のPR誌に「scripta」に連載しているもので、
おもしろいのですが手に入らなくて、時々コピーをいただくとうれしいです。


「ニッポンのミソジニー」(「scripta 2009summer」紀伊国屋書店)

この「ニッポンのミソジニー」については、
「第2回 ホモソーシャル・ホモフォビア・ミソジニー」 を、
最近、cmasakさんがツイッターで言及してしてみえたので、ブログを見に行きました。

 上野千鶴子さん「ホモソーシャル・ホモフォビア・ミソジニー」における
「第三の性」の紹介のされ方の問題について


昨年までの「ニッポンのミソジニー」のバックナンバーは、
紀伊国屋書店のHPで読めます。

第1回 皇室のミソジニー

第3回女好き男のミソジニー

第4回 性の二重基準と女の分断支配 
「聖女」と「娼婦」という他者化


第5回 近代のミソジニー

第6回 女のミソジニー ミソジニーの女

第7回 女子高文化とミソジニー


第8回以降は、まだアップされていないようですね。


同じ日に、山田詠美さんの最新刊『学問』を、
「読みたいならどうぞ」とお借りしてきました。

 
『学問』山田詠美(新潮社) 立ち読み

山田詠美さんは文章がうまくてわりと好きな作家で、本を読み終わったころに、
斉藤美奈子さんの「文芸時評」にも取り上げられていました。


「文芸時評」少年少女を描く長編(朝日新聞 2009.7.28) 

 
ここ数日は、新聞の書評欄にもそくぞく登場。
少女のかたりで、「欲望のめざめ」を書いていて、心に残る本です。

[毎日の本棚]山田詠美さん:長編『学問』を刊行 
一生かけて学び続ける「欲望の愛弟子」たち描く

毎日新聞 2009年8月11日

 山田詠美さんの長編小説『学問』(1575円・新潮社)が刊行された。思春期の少年少女の繊細な心情を描き出した物語は、常に死と寄り添う「生の喜び」に満ちあふれている。交錯するさまざまな「欲望」。『学問』という標題に込められた思いとは。【棚部秀行】

 自分なりの「ポルノ」を書きたかったのだという。きっかけは、故開高健の「食談は食欲のポルノである」という言葉。「性欲の他にも、食欲や睡眠欲、人間だけにしかない欲望のポルノもあっていい。それを私の言葉で書いていこうと思ったんです。セックスのことだけじゃなくてもポルノは成立するのか、と考えたのが最初です」
 架空の海辺の町、静岡県美流間(みるま)市が物語の舞台だ。山田さんが小学2年から6年までを過ごした磐田市がモデルになった。高度成長期の地方都市と子供たち。それは温めてきた小説のテーマでもあった。「美流間」という町そのものが、登場人物に作用し続ける。
 「磐田の人間関係の複雑さや逆にシンプルなところ、目にした海辺やレンゲの風景が鮮烈に残っています。そこをモデルに書きたいなと思っていたんです。地方には、土地の呪縛や、あまりに闇が深すぎて、かえって明るく見えるところがある。人が土地にそそられて、子供たちは欲望を持ち続けるんです」
 1962年生まれの4人の少年少女が登場する。山田さんの3歳年下の設定。「それくらい年下のほうが、思い返して正確性や信ぴょう性が出る。高度成長期の幼い子供って、あまり書かれていないんです。日本がものすごく変わっていくときに私は子供だった。いつか書いてみたいと思っていました」
 7歳のとき、美流間に転校してきた仁美(ひとみ)は、不思議に人をひきつける能力を持つ心太と出合い、<生まれて初めて、異性にこの身の一部を預けた未知の感覚を知り、ついうっとり>してしまう。仁美は、<その得体(えたい)の知れないものの愛弟子>になることを予感する。不意に訪れた性の目覚め、欲望の到来だった。
 食べることに執着する病院の息子無量(むりょう)、同じ社宅に住む千穂はいつも眠そうにしている。それぞれの人物に、性欲や食欲、睡眠欲、支配欲、知識欲などが付与され、人間の欲望を体現する。本作が「ポルノ」である所以(ゆえん)だが、同時にタイトル『学問』の意味につながる。
 「メインの欲望を持っていると、付随してくるいろんな欲望が現れて、人とのかかわり合いで、どんどん欲望が多様化していく。それを学んで人が大人になっていく『学問』でもあります。死に至るまで、ずっと学び続けなくてはいけないという意味で、タイトルをつけました」
 四つの章は、高校2年までの年代をそれぞれ刻んで進む。各章には、登場人物の訃報(ふほう)記事「無名蓋棺(がいかん)録」が一人ずつ挿入され、読者は「死に様」を知らされた上で、その人の思春期を読むことになる。彼、彼女たちの「生」や「性」が、鮮やかなコントラストを持って立ち上がる。

 <欲望の愛弟子>という言葉が印象的だ。「自分の体にかかわる欲望を大切にしていきたいという意味です。快楽にとらわれて、それを咀嚼(そしゃく)して、この子たちは欲望の愛弟子になるんです」
 デビューから24年。作品ごとにストイックになって、執筆しているという。
 「1カ月間、誰とも話さなかった時もあったし、前作以上に作品に自分を捧(ささ)げた感じ。小説というものが怖いという気持ち、真剣に対峙(たいじ)したい気持ちが強くなっています」
 「欲望」を描いた作家の、真摯(しんし)な思いが伝わってくる。
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 ■人物略歴
 ◇やまだ・えいみ
 1959年東京生まれ。著書に『風葬の教室』『アニマル・ロジック』など。
毎日新聞 2009年8月11日 東京夕刊



【著者に聞きたい】山田詠美さん『学問』
産経新聞 2009.7.12 08:13

 ■人生を全うしたカルテ
 「私なりのポルノを書きたかった」という。だから、言い得て妙なタイトルは、もちろん学校のお勉強を指すわけではない。「誰でも子供のころは、いろんなものにそそられて、何かを学んでいく。その過程を人それぞれの『学問』として書けないかと思ったのが最初ですね」
 静岡県内のとある海辺の街を舞台に、東京から引っ越してきた仁美や、リーダー格の心太ら仲良し4人組の、小学校から高校時代までを描く。性の目覚めや友情とも恋愛ともつかない気持ちなど、さまざまな欲望や感情と真摯(しんし)に向き合う姿がつづられる。ユニークなのは、各章の冒頭に登場人物の死亡記事が載っていて、それぞれの寿命と“死にざま”が明らかにされることだ。
 「死ぬことが分かっているから生が光り輝いてみえる。若くして死ぬのは不幸だと思うかもしれないけれど、本当は幸福な死に方だったのかもしれない。他人には分からないことだけど、そこを書くのが小説家の仕事。ティーンエージャーのある瞬間だけをポートレートのようにピックアップして、“人生を全うしたカルテ”みたいな感じにしたいと思って」
 高度成長期の地方都市の空気が色濃く漂う本作には、自らの体験も投影されている。「私自身も転校を繰り返し、方言では苦労した。地方の子供には子供なりの社会やヒエラルキーがあって、それは大人とあまり違わない。この時代を、センチメンタルではなくて、客観的に俯瞰(ふかん)して書けるときをずっと待っていた感じがします」
 新たな代表作となる長編の執筆を終え、今は「短編を極めたい」という。「プール一杯の水にすごく凝縮されたスポイトの溶液を一滴流しただけで、全部その色に染まってしまうような…。これまでのスキルを生かした短編を書きたいな」(新潮社・1575円)
【プロフィル】山田詠美
 やまだ・えいみ 昭和34年、東京生まれ。60年、文芸賞を受けた『ベッドタイムアイズ』でデビュー。62年に『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞。『A2Z』『風味絶佳』など著書多数。


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