みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

堺市・特定図書排除事件の記事がgoo「人気記事ランキング」で1位に!アクセスランキングは2位

2008-12-25 09:45:25 | 「ジェンダー図書排除」事件
朝起きて、パソコンをたちあげて、
gooの編集画面に入ったら、もうビックリ!



なんと、昨日のアクセスランキングは、gooブログ全体で2位!
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12月24日のアクセス数
閲覧数 : 37534 PV
訪問者数 : 27443 IP
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ブログをはじめて、もうすぐ丸4年、
毎日毎日、記事を更新してきたけど、こんなことは初めて。

「人気記事ランキング」でも堂々のダントツ一位。



昨日、いちばんアクセスが多かったのは、この記事です。

堺市に住民監査請求書を提出(代理人代表・上野千鶴子)
/特定図書排除問題で。(2008-11-05)


原因は、堺市立図書館から特定図書が排除された記事が、
共同通信の配信で全国ニュースになり、2ちゃんねるにスレッドがたったことで、
そこに、わたしの上記の監査請求の記事がリンクされています。

図書館「ボーイズラブ」に揺れる 堺市、市民の不信感募る
2008.12.23 47NEWS

 「ボーイズラブ(BL)」と呼ばれる男性同士の恋愛をテーマにした小説に、堺市の図書館が揺れている。市民の声を受けて貸し出しを制限したところ、反対に「特定の本を排除するのは問題」と非難が集中し、制限を撤回。「また突然、対応を変えるかも」と市民の不信感は募っている。
 一般的にBL小説は、1冊に数ページのイラストがある。堺市立の7つの図書館が所蔵する計約5500冊のうち、100冊程度には男性同士が裸で絡み合うような過激な描写があった。盗難も多いため、申請があれば貸し出す閉架書庫に置いていた。
 しかし、ひっきりなしに貸し出されるため、4つの図書館では誰でも閲覧できる棚に配置。7月、「子どもが見るのにふさわしくない」との声が利用者から出た。
 図書館側は、閉架書庫に戻した上で、18歳未満への貸し出し禁止を決定。これに、住民グループが「特定の本を排除したり廃棄したりするのは、図書館ではあってはならない。政治的圧力もある」と反発。有識者も賛同し、11月に廃棄差し止めの住民監査請求が申し立てられると、図書館側は一転、18歳未満への貸し出しも認めた。
 堺市は「拙速で、判断を誤った」としている。
(2008/12/23 18:08 【共同通信】)


記事は、京都新聞や中日スポーツにも載ったようです。

しかし、この記事、9月以来、複雑な経過をたどった図書排除事件について、
かなりざっくりとしか書いてないので、読んだ人の誤解を招きやすい。
一般小説を「BL」とひとくくりにした問題点もすでに明らかになっているのに、
そのことにも言及していない。

わたしのブログを訪問してくださる人が増えるのはうれしいのですが、
この新聞報道だけを読んで判断されると、
約2ヶ月も前の記事に的外れなコメントや質問が増えて、
なかには、セクシュアルマイノリテイに対する暴言や、
管理者に対する「死ね」とか「変態」とかの罵詈雑言もあり、
この事件に対する偏見の根深さを感じます。

福井の「ジェンダー図書」排除事件のK氏から付きまとわれてて、
不愉快なコメントをつけられたくないので、コメント欄は「承認制」にしています。

図書排除事件に関心をもたれた方は、一連の記事をちゃんと読んでみてほしい。

 カテゴリー「ジェンダー図書排除事件」


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ところで、昨日、山県市からお手紙が届いた。

なにかの督促かと思ったら、山県市議会議長から「請願の審査結果について」。
わたしたちが提出した「議会運営における法令の遵守を求める請願」が
「採択」になったお知らせ。



まずはめでたい(笑)。

山県市議会の皆さん、請願も採択したことだし、法令遵守してくださいね。


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静かで深い『悼む人』(天童荒太/文芸春秋/2008)。

2008-12-25 00:00:00 | ほん/新聞/ニュース
衝撃的な小説だった。
天童荒太さんが7年かけて書いたという『悼む人』。

しずかに深く心の奥にしみ込んでくるような、
『悼む人』(天童荒太/文芸春秋/2008)。


天童荒太さんの本は、『永遠の仔』からずっ読み続けている。
光の当たらないところをみつめながら、透明な文体でつづられた
深いテーマに、ぐんぐんひきつけられる。
かなしい結末なんだけど、心の底に、あたたかいものが流れている。

「うまれて、生きて、死ぬ」ということにおいて人はおなじ、
だれもが愛し愛される存在ではないのか、としずかに「悼む人」は問いかける。

ちょうど本を読み終えたら、中日新聞の読書欄に書評が載った。

【書 評】悼む人
[著者]天童 荒太
文芸春秋/ 1700円
[評者]清水 良典(文芸評論家)
■死者の声を聞き届ける旅
 死者が出たある事件の現場を、一人の旅姿の青年が訪れる。左膝(ひざ)を地に着け、頭上に上げた右手を胸へ運び、何かを唱えている。見とがめた人が何をしていたかを問うと「いたませていただいていました」と答える。
 これが「悼む人」である。報道で知りえた死者の情報を記録したノートと共に、彼は全国の死の現場を旅しているのだ。死者を知る者と会えば必ず「誰に愛されていたか、誰を愛していたか、どんなことをして人に感謝されたことがあったか」を尋ねる。そして生前の故人を偲(しの)んで「悼む」。
 この奇妙な男を、ガンを告知された彼の母親、嫌われ者の事件記者、夫殺しの女、三人の視点から本書は語っていく。なぜ彼はこのような行為にとりつかれたのか。単純な善意ではない。宗教行為でもないという。気味悪がられ、迷惑がられることもある。とにかく周囲に違和感と疑問を刻みつける存在だ。そんなことをして何になる、偽善だ、自己満足だ、などと疑問や反感をぶつけずにおれない者たちの目を通して、彼「悼む人」は描かれていくのである。
 事件の報道には頻繁に死が伴う。悲惨な死、愚かな死、不可解な死、あまりにも多くの死がある。だが事件は記憶されても、死者の名前や人柄には注意を払われない場合が多い。当事者には切実な死も、否応(いやおう)なく人は忘れ去っていくものだ。残酷だがどうしようもないと思われるこの事実を、本書は少しずつ突き崩していく。「メメント モリ(死を想(おも)え)」という古いラテン語の言葉があるが、我々の生は多くの他者の死の上に、そして自身の死の手前に築かれているものだ。あらゆる宗教と哲学、そして文学の根源である死を、しかし「悼む人」は恐ろしいほど律儀(りちぎ)な歩行と、聞き届ける耳によって具体化していく。その行為によって、重苦しい死がふと救いに変わる。抽象に逃げない強靱(きょうじん)さが、深く心に残る力作である。
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てんどう・あらた 1960年生まれ。小説家。著書に『永遠の仔』『あふれた愛』『家族狩り』など。
(中日新聞 2008.12.20)


朝日新聞の文化欄には昨日の斎藤美奈子さんの『文芸時評」と20日の記事、
14日には重松清さんの書評が掲載されていた。

 

悼む人 [著]天童荒太 
朝日新聞 2008年12月14日
[評者]重松清(作家)■愛や死への思い問う鏡のような物語

 胸がざらつく。どうにも落ち着きようのない思いに包まれる。何度となく本から顔を上げ、息をつき、そしてまた目を戻すと、たちまち物語の深みへと導かれていく。
 天童荒太さん8年ぶりの長編小説となる本書を、そんなふうに読み進めた。密度のある物語――構成や描写の目がただ詰んでいるというのではなく、ずしりと持ち重りのする絶対的な質量を持った物語である。
 〈ぼくは、亡くなった人を、ほかの人とは代えられない唯一の存在として覚えておきたいんです〉と、〈悼む人〉となった静人は言う。〈誰に愛されていたでしょうか。誰を愛していたでしょう。どんなことをして、人に感謝されたことがあったでしょうか〉と、亡くなった人について尋ねつづける。
 なぜそうせずにはいられないのか、そうすることが自分になにをもたらすのか、静人自身にもわからない。むしろ偽善者と呼ばれ、心の病か怪しげな宗教かと警戒されることのほうが多い。死に軽重をつけず、その人のことを決して忘れずにいるというのは、〈人々の安逸(あんいつ)な暮らしを乱し〉〈人々を戸惑わせ、苛立(いらだ)たせる〉ものだから。
 物語は、そんな静人をめぐって織りなされる。世の中や人生にすねたルポライター、夫殺しの罪で服役し出所したばかりの女性、さらには末期がんに侵された静人の母親――3人の視点から、天童さんは静人という謎めいた青年を描く。ただし、それはあくまでも外から見た〈悼む人〉の姿であり、3人は誰も静人の内面に入り込むことはできない。だから実像が浮かび上がりそうで浮かばない。焦点が合いそうで合わない。3人の視点に寄り添いながら静人に迫ろうとしても、どうしても届かない。もしかしたら、そこにもどかしさを感じる読み手もいるかもしれない。
 だが、おそらく天童さんはすべてを承知したうえで、この描き方を選んでいる。静人は、いわば鏡なのだ。物語の中の3人が静人によって自分自身の〈愛や死に対する考え〉を問い直されるように、物語の中の静人を見つめる読み手のまなざしもまた、そのまま自分自身へと返ってくる。いままであたりまえのようにして受け容(い)れていた〈愛や死に対する考え〉を根底から問い直される。痛みにも似た胸のざらつきがあるだろう。激しく揺さぶられてしまう瞬間もあるだろう。だからこそ、どこまでも美しい光に包まれたラストシーンでは、深いため息が漏れるはずだ。思わず目を閉じて、天を仰ぎ、それから静かにうなだれる――それが物語の中で死者を悼むときの静人の姿と重なり合うことに思いあたったとき、この作品そのものが〈悼む人〉ではなかったかとも気づかされるのだ。
 読み手の胸をうずかせた「痛み/悼み」は、本を閉じた瞬間に消え失(う)せるものではない。物語は鏡だった。〈悼む人〉は物語から旅立って、読み手の生きる現実へと渡ってきた。静人の声が遠くから聞こえる。その声は、あなたには自分のことを悼んでくれる人がいますか、あなたが悼みたい相手はいますか、と繰り返し問いかけてくるのである。
    ◇
 てんどう・あらた 60年生まれ。作家。96年に『家族狩り』で山本周五郎賞、00年に『永遠の仔(こ)』で日本推理作家協会賞を受賞。
(朝日新聞 2008.12.14)


本を読んで、『悼む人』で検索したら、
『悼む人』公式ホームページの対談を見つけた。
あらすじや登場人物も書いてあるけれど、
松田哲夫さんとの対談(連載)が読み応えがあってよい。
ただし、
対談を読むのは、本を読んでからにしたほうがいいかもしれません。

天童荒太×松田哲夫 
対談「この世界に一番いてほしい人」


天童荒太さんが構想以来七年もの歳月を費やして書き上げた
新作『悼む人』に込めた想いを、天童作品の理解者である松田哲夫さんを相手に、
じっくり語っていただいた。

■第一回:プロローグ/9.11と10.7[12月8日更新]

■第二回:読者の声と作家の決意[ 12月15日更新 ]

第三回:静かな作品世界 [ 12月22日更新 ]
 


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メタセコイアの紅葉(岐阜市・長良公園)

2008-12-24 16:04:21 | 花/美しいもの
晴れた日の午後、長良公園のメタセコイアの紅葉を見に行きました。



芝生広場をはさんで、南と北にメタセコイアの大木があります。
手前(南)が、日本で一番高いというメタセコイア。
 
南側には大規模な児童公園があり、赤ちゃんから中学生まで、
子どもたちがたのしそうに遊んでいました。



長良公園にはほかにもたくさんの花木があって、
四季折々にうつくしく、散歩する人も多いのです。


イチョウは落葉さかん。




メタセコイアは、公園内のあちこちにあります。
 

珍しいハナノキの紅葉。

春にはうつくしい花を咲かせるので「ハナノキ」の名で有名ですが、
秋の紅葉がこんなにきれいなんて! はじめて見ました。
  


ぐるっとひと周りして、見上げるばかりのメタセコイアの紅葉。
  



「メタセコイアの樹の下で」を「愛言葉」に、
イブの夜、イルミネーションを楽しみませんか。


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障害者自立支援法の負担廃止求め一斉提訴/「全国大行動」全国大行動実行委員会」の見解

2008-12-24 00:00:00 | ほん/新聞/ニュース
21日の朝日新聞の「耕論」のテーマは「障害者の自立 支援いかに」。
盲ろう者で東大教授の福島智さんは、「『本人責任』で解決できぬ」。

「耕論 障害者の自立 支援いかに」
「本人責任」で解決できぬ  福島智さん(東京大教授)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  障害者は、行動とコミニュケーションが制限されているという意味で、いわば「目のみえない透明な壁の刑務所」に収監されている存在だ。それは生まれながらの運命だったり、不慮の事故だったり、個人の責任を超えた事情によるところが大きい。たとえ1割でも本人に利用料を求めるのは、無実の罪で閉じ込められた刑務者から出るために保険料を払えということだ。
 生きるために不可欠に支援を「個人の利益」とする「応益負担むは、障害を本人の責任とする考え方に結びつく。
(聞き手・森本美紀) 2008.12.21 朝日新聞



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10月には、「障害者自立支援法は障害者の生きる権利を侵害して憲法違反」と、
自己負担の撤廃を求め、全国の30人の障害者が提訴した。

12月17日は、「障害者の地域生活確立の実現を求める全国大行動」実行委員会が、
「社会保障審議会障害者部会報告障害者自立支援法3年の見直しについて~」に対し、
見解を出しているので、以下に全文を紹介したい。

障害者「自立支援法は違憲」自己負担の撤廃求め提訴
朝日新聞 2008年10月31日

 福祉サービスに応じて障害者に原則1割の自己負担を求める障害者自立支援法は憲法が定める「法の下の平等」に反するなどとして、全国の障害者ら30人が31日、国や各自治体に自己負担をなくすよう求め、東京、大阪、福岡など8地裁に一斉提訴した。
 原告は、障害者が地域社会で働き、生活するために必要な支援や介護は、障害者が受ける「利益」ではなく、人間らしい生活をするために、社会が広く負担して支えるべきものだと主張。支援法によって障害者だけに二重の負担を強いることで、さらに生活が不自由になったことは、生存権や幸福追求権の侵害にあたると訴えている。
 弁護団によると、八つの地裁に提訴したのは10~71歳の障害者と保護者1人。
 原告は、障害者に自己負担を求めている市区町村に対し、自己負担の免除の申請をしたが棄却されたため、提訴した。訴訟ではこの棄却処分の取り消しのほか、自己負担をしないでサービスを受けられることの確認や、これまでに支払った負担額と慰謝料、計約840万円を支払うよう求めている。
 支援法が施行された06年以前は、障害者の負担はほとんどなかったが、支援法は福祉サービスの利用という考え方から、障害者に負担を求めるようになった。負担の上限額は所得に応じて定められたが、障害が重いほど自己負担分が多くなるため、収入の少ない障害者の間にサービスの利用を控える動きも出ているという。(河原田慎一)
(2008.10.31 朝日新聞)
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<障害者>自立支援法の負担廃止求め全国8地裁に一斉提訴
2008年11月1日(土) 毎日新聞

 障害者自立支援法が福祉サービス利用料の1割を利用者に原則負担させているのは障害者の生きる権利を侵害して違憲だとして、1都2府5県の障害者29人が31日、国や自治体を相手取り、負担の廃止などを求めて全国8地裁に一斉提訴した。
 地裁ごとの原告の内訳は▽東京2人▽さいたま7人▽大阪5人▽神戸7人▽京都1人▽大津4人▽広島2人▽福岡1人。利用料の負担義務がないことの確認のほか、実際に負担した総額約550万円の返還と、1人当たり10万円の慰謝料も求めている。
 訴状によるとヘルパーの介護を受けたり、車椅子を借りるといった福祉サービスを利用する際、障害者の大多数は利用料を負担せずに済んだのに、06年の障害者自立支援法の施行により、原則1割を負担させられるようになった。
 原告側は「社会参加を制限し、障害者を家に押し込めようとしている。障害者の所得水準は低く、障害が重いほど費用が高くなる」と指摘。「自立した生活を送る権利を侵害し生存権などを定めた憲法に違反しており、支援法は廃止を含めて抜本的に見直すべきだ」と主張している。【銭場裕司】
 ▽厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部の話 訴状を見ていない段階でコメントできない。

 【コトバ】障害者自立支援法
 「小泉改革」の一環で05年10月に成立し、06年10月に完全施行された。3年ごとに見直すことになっている。身体、知的、精神に分かれていた障害者施策を一元化したほか、収入に応じた負担で福祉サービスを選択できる従来の「応能負担」を転換し、収入に関係なく利用料の原則1割を払う「応益負担」を導入した。障害者からの批判が強く、厚生労働省は今年度内に改正法案をまとめる。
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(毎日新聞 2008.11.1)



DPI(障害者インターナショナル)日本会議の情報コーナー
2008 年12 月17 日
「社会保障審議会障害者部会報告~障害者自立支援法3年の見直しについて
~」に対する見解

「障害者の地域生活確立の実現を求める全国大行動」実行委員会

1.12 月15 日、第49 回社会保障審議会・障害者部会(以下、障害者部会)において、「社会保障審議会障害者部会報告~障害者自立支援法3年の見直しについて~(案)」が示され、最終の議論が行われ、同16 日に「報告」としてまとめられた。
 私たち「障害者の地域生活確立の実現を求める全国大行動・実行委員会」は、障害者自立支援法(以下、「自立支援法」)の検討・制定から施行後2年半を経た今日まで、一貫して、「私たち抜きに私たちのことを決めないで!」「地域生活をあきらめない!」と訴え活動を行ってきた。その立場から、「報告」に対する見解を以下に示すものである。

2.「自立支援法」の施行によって、障害者の地域生活を危機に陥れる問題が噴出した。原則1割負担を課す応益負担に加えて、障害程度区分を核にした支給決定の仕組みの導入と重度長時間介護サービスの切り下げ、移動支援事業の地域格差拡大、グループホーム・ケアホームの運営の困難化等、障害者の地域生活に関わるあらゆる分野で深刻な問題が生じてきた。
 また、地域での生活を支えるための重度訪問介護などのホームヘルプ事業は深刻な人材不足に陥っており、支給決定がされてもヘルパー・事業所が見つからずサービス利用ができない事態まで生じている。
 こうした中、「自立支援法」の「一からの見直し」を求める声と行動はかつてない盛り上がりを見せてきた。そして、昨年12 月には与党からも「抜本見直し」が打ち出されるに至った。また、2006 年12月には国連で障害者権利条約が採択され、今後、日本政府も批准に向けた準備が求められる中、同条約が提起している社会モデルに基づく障害の概念や地域生活の権利との整合性をどう担保してくのかも大きな課題であった。

3.しかし、上記の「報告」は、私たち障害者が求める「一からの出直し」どころか、「抜本見直し」にも応えたものとなっていない。それどころか、2005 年の「自立支援法」成立時の附則や附帯決議すら無視したものとなっていると言わざるを得ない。
 周知の通り、「自立支援法」の附則第3 条での見直し事項は、「障害児の支援」「障害者の範囲」「所得保障の確保」の3点があげられていた。
 そして、「障害者の範囲」について附帯決議では、「…発達障害・難病などを含め、サービスを必要とするすべての障害者が適切に利用できる普遍的な仕組みにするよう検討を行うこと」とされていた。ところが、今回の「報告」では、「難病を身体障害者に含めることについては慎重に検討すべき」「身体障害者手帳を所持しなくても、障害者自立支援法のサービスの対象とすべきという点についても、慎重な検討が必要」とされ、民意を反映しないまま、検討をさらに先送りするための報告となっている。「発達障害・難病などを含めサービスを必要とする全ての障害者が適切に利用できる普遍的な仕組みにするよう検討」と明らかに反した結論であり、待ったなしの当事者の生活等を放置し続ける、とても認められない報告となっている。
 また、同様に、「所得保障」についても、附帯決議では「3年以内にその結論を得ること」とされていたにもかかわらず、障害者基礎年金の引き上げや住宅手当などについても「検討していくことが必要」とした。
 「障害者の範囲」や「所得保障」について結論を得ることが求められていたにもかかわらず先送りをしたのでは、いったい何のための議論だったのかとの疑問を禁じ得ない。12 月15 日の最終議論でも、複数の委員から「抜本見直しといえるだけの結論になっているか疑問」との意見が出されたのも当然である。

4.さらに、何度か委員と事務局との間で激論となったのが、利用者負担をめぐる問題であったが、この点についても「現行の応益負担の仕組みを維持した上で、軽減措置を来年4月以降も継続する」という程度の結論になった。委員からは、「応益から応能負担に戻すべき」「生存ニーズや文化的な生活のための支援は社会全体で保障していくべきで利用者負担を求めるべきではない」といった提起に対しても、事務局から「軽減措置により相当応能的性格のものになっている」との現状説明があっただけである。
 もし、「すでに応能的なものになっており、かつ、今後も継続する」というならば、なぜそれ程「応益負担の維持」にこだわるのか、「介護保険との将来的な統合(吸収合併)」の 余地を厚生労働省としては残しておきたいのではないかとの疑念を生じさせる。

5.障害者の地域生活にとって不可欠なサービス確保の問題についても、肝心な問題は未解決のままになった。
 一つは、障害程度区分と連動した訪問系サービスの国庫負担基準の廃止(=市町村が実際にサービスに要した費用の2分の1の義務負担)の問題である。障害程度区分に基づいて国庫負担基準が設定されているために、重度障害者にとって必要なサービスを得ることを困難にし、実際サービスの引き下がりが生まれてきた。だが、「報告」では国庫負担基準を継続することを前提にした記述にとどまった。
 今回、支給決定に先立ってのサービス利用計画案作成等が示されているが、国庫負担基準の仕組みを見直さないままでは、障害当事者のニードに基づいたサービス利用計画案が作成され、支給決定の際に尊重されるのか疑問である。
 二つ目は、障害者の地域生活・社会参加にとって不可欠な移動支援についても、重度の視覚障害者向けの支援のみ個別給付化の検討の対象となっているだけで、知的障害者等の移動支援についてはふれられていない。また、地域生活実現の上で重要な「見守りも含む長時間のサービス」である重度訪問介護についても、知的障害者や精神障害者への拡大の方向は出されていない。
 こうした地域生活を実現していくため、十分なサービスの量や種類を確保していくための見直しが不十分な中では、「施設や病院からの地域移行」が展開していくとの見通しを持つことは困難である。
 こうした点について、今後、国会審議も含めた一連の見直し議論の中でも取り上げられることが必要だ。

6.一方、施策や運用レベルの事項でも、今後、どのような形で実施されていくのか、不明な部分も多い。
 例えば、「地域における自立した生活の支援」であげられている、「施設・病院からの地域移行給付」「入所・入院中の段階から、宿泊等の地域生活の体験ができるような仕組み」等について、その実施にはピアカウンセラーなど障害当事者の役割はきわめて重要となる。また、障害者ケアマネジメントについて、エンパワメントやセルフマネジメントの重要性が確認され、「障害者同士によるピアサポートと
その自主的な活動の支援」もふれられているが、これがどう具体化されていくか、また、相談支援の中での位置付けや具体的な役割も、今後明らかにされなければならない。
 身体障害者のグループホーム・ケアホームについても、本人の意志に反して利用を進められないようにするとされたが、その趣旨が徹底されるよう対策を講じること。その際、あくまでヘルパーを使っての在宅生活を基本とし、ケアホームにおいてもホームヘルプを使いながらの生活が保障されるように、多様な選択肢を確保した上で本人が選択できるようにすることを周知徹底すべきである。
 深刻なヘルパー不足のためにサービスの利用すら困難になりつつある重度訪問介護等についても報酬単価の大幅引き上げをはじめとした人材確保策が検討されなければならない。
 これら、いずれも障害当事者・現場の声に基づいた丁寧な検討がなされるべき事項であり、「報告」が言う「当事者中心に考えるべきという視点」からの検討を求める。

 以上、述べてきたように、今回示された内容は、私たちが求める「一からの見直し」どころか、「障害者の範囲」等国会が求めた事項すら先送りしているものであり、障害者権利条約の批准に向けた法整備の上からも大きな禍根を残しかねないと断じざるを得ない。 私たちは、同法の3年後見直しが、「報告」に示されている水準の見直しに決して止まることのないよう、「一からの見直し」を求めて、政党・国会議員への働きかけをはじめ様々な活動を展開していく決意を明らかにするものである。                       以上
【連絡先】
「障害者の地域生活確立の実現を求める全国大行動」実行委員会
(全国自立生活センター協議会内)
〒192-0046 東京都八王子市明神町4-11-11-1F
TEL:0426-60-7747 FAX:0426-60-7746


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真紅のサザンカが満開です。メタセコイアの紅葉も終わり・・・あすはイブ。

2008-12-23 18:30:36 | 花/美しいもの
ちょっと縁のある方が亡くなって、お通夜、お葬式と参列してきました。

すでにお気づきの人もあるかと思いますが、ここ数日、
「○月○日00:00:00」に、ニュースや本の紹介を「公開予約」で投稿してます。

紹介したい記事をためてしまったので苦肉の策で、
リアルタイムの投稿は、日々の暮らしやお花の記事を書く、
ということで、硬派と軟派を交互にアップしようと思います。

お好きなほうを見に来ていただけるとうれしいです。

ここ数日はお天気がぐずついているのですが、
野菜を収穫した夕方、サザンカが夕日にかがやいて
とてもきれいだったので、思わず、撮りました。

手前の三椏(ミツマタ)もずいぶん大きな木になりました。

今年のサザンカは、大きな花がびっしり咲いています。
  



ハナモモの下にも、淡い赤の木があるのですが、
こちらは、あざやかな真紅です。
  

  





 きれいでしょーう。 

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2週間ほど前に行った、長良公園のメタセコイア。


日本一のメタセコイアだそうですが、紅葉はピークで、
ルミネーションの電飾の準備も始まっていました。
 

いまごろは葉が散って、恒例のイルミネーションが始まっています。 

第8回長良公園イルミネーション
2008年12月21日(日)~2009年1月3日(土)
18:00~22:00

巨大メタセコイアが光の樹木に大変身
岐阜の冬の風物詩、長良公園のイルミネーションが昨年からグレードアップ。例年通り「メタセコイアの樹の下で」を「愛言葉」に、高さ28mのメタセコイアの木をはじめ、園内の木々とオブジェが35万個の電球で飾られるほか、軽スポーツ広場に「夢と未知」をテーマに「第2回長良公園イルミネーションアートフェスタ」も開催。長良公園イルミネーションとあわせて45万個以上の光が輝く。また、特設会場では毎日コンサートが開催される。


そういえば、明日もう、クリスマスイブ。
イルミネーションが点灯する前の、長良公園の紅葉を紹介しますね。


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浜岡原発6号機の新設には反対です!/1、2号機廃炉にして6号機新設を検討(中電)

2008-12-23 00:00:00 | 地震・原発・災害
今日の岐阜新聞と中日新聞のトップ記事は、浜岡原発のこと。

中電は1、2号機を廃炉にして6号機に着工というつもりらしいけれど、
トンでもないはなしだ。

芦浜原発や珠洲原発の新規立地が市民の反対で頓挫したので、
すでにある浜岡で新しいものを、という魂胆だろうけど、
浜岡原発は、東海地震が起きたらひとたまりもないと言われているし、
いまだって安全性が確立されていない。

わたしは80年代から反原発の運動をしているので原発の廃炉は大歓迎だけど、
廃炉するにしたって放射性廃棄物の安全性など問題山積なのだから、
中電利用者としても、6号機をつくるなんてぜったいに反対です。

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以下、関連の記事を紹介します。

浜岡6号機15年着工 原発2基置き換え、中電が正式決定
中日新聞 2008年12月22日 夕刊

 中部電力は22日午前、臨時の取締役会を開き、浜岡原発(静岡県御前崎市)1、2号機を廃炉にし、代わりに6号機を新設する「リプレース(置き換え)」計画を正式決定した。6号機は1号機(出力54万キロワット)2号機(同84万キロワット)を合計した140万キロワット級の改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)とし、浜岡原発全体の出力を維持。6号機は2015年に着工し、18年度以降の運転開始を目指す。
 国や電力業界は原発の老朽化に伴って、既存の原発敷地内で廃炉と新設を同時にする「リプレース」戦略を打ち出しており、中電の計画はその先駆けとなりそうだ。
 三田敏雄社長が同日午前、御前崎市役所を訪問。石原茂雄市長に申し入れを行い、「信頼を裏切ることのないよう、安全に心掛けて進めていきたい」と述べた。午後は静岡県庁で石川嘉延知事に計画を説明し、静岡市内で記者会見する。
 1970年代に造られた1、2号機は01年の配管破断事故などのトラブルが続発し、運転を停止中。想定される東海地震に備えて耐震工事を施し、11年度の運転再開を目指していた。
 しかし、耐震工事や大型部品の交換に巨額の費用と工事期間が必要になることが判明し、廃炉にする代わりに6号機を新設した方が得策と判断した。
 さらに課題となっていた使用済み燃料の貯蔵施設についても浜岡原発敷地内に建設し、16年度の使用開始を目指す計画を明らかにした。計画によると、貯蔵方法は乾式で、約700トン規模の建屋1棟を建設する。1、2号機は廃炉に向け、放射性物質の除去や解体などの作業を30年ごろまでに終える予定。

 【使用済み核燃料貯蔵施設】 原発から発生する使用済み核燃料を一時的に保管する施設。専用の金属製容器に収納する乾式と水中に入れるプール式の2方式があり、乾式はプール式と比較すると運用や維持が容易とされる。国は「核燃料サイクル」を推進する方針を打ち出しており、貯蔵期間は40-60年間が想定されている。
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【経済】中電、浜岡6号機新設を22日申し入れ
2008年12月22日 中日新聞朝刊

 中部電力は、長期運転停止中の浜岡原発(静岡県御前崎市)1、2号機を廃炉にし、代わりに6号機を新設する計画を22日午前の取締役会で正式に決め、地元自治体に申し入れる方針を固めた。
 中電側が地元の関係者に打診した。取締役会で決定後、三田敏雄社長が御前崎市や地元漁協を回り、その後、県庁に出向いて計画を説明する見通し。
 全国で原発の新規立地点確保が難航する中、国と電力会社は、既存の原発の敷地内で廃炉と新設を同時にする「リプレース(置き換え)」という戦略を打ち出している。中電の計画はその先駆け的な動きになる。
 中電は当初、運転開始から30年以上たつ1、2号機について、想定される東海地震に備え耐震工事を施し、11年度から運転を再開する考えだった。
 ところが耐震工事や大型部品の交換に巨額の費用が必要と分かり、6号機新設が得策と判断した。6号機の出力は1、2号機を合わせた140万キロワット級にするとみられる。
 中電は原発の発電比率が他の電力会社に比べて低く、化石燃料を使う火力発電への依存度が高いことが収益改善や二酸化炭素(CO2)削減の取り組みの上でネックになっている。
 三重県・芦浜原発、石川県・珠洲原発の新規立地を地元合意が得られず断念する中、今回の決断に至った。
(中日新聞 2008年12月22日)



浜岡原発の6号機新設を検討 1、2号機廃炉へ
中日新聞 2008年12月14日

 中部電力が長期運転停止中の浜岡原発(御前崎市)の1、2号機を廃炉にし、代わりに6号機の新設を検討していることが分かった。1、2号機の運転再開には大型部品の交換や耐震工事に多額の費用がかかるため廃炉にすると同時に、6号機新設計画を進めた方が得策と判断したもようだ。
 6号機の出力は1号機(54万キロワット)、2号機(84万キロワット)の合計と同程度の140万キロワット級にするとみられ、浜岡原発全体の発電規模を維持する。
 1970年代に造られた1、2号機は2001年の配管破断事故などのトラブルが続発し、「定期検査」を理由に運転停止中。中電は耐震工事などの影響評価や設計変更を検討している。
 しかし、予想される東海地震に耐えられる改修には莫大(ばくだい)な費用がかかるとの試算が社内でまとまり、代替となる6号機新設の検討に入った。
 6号機の運転開始時期は未定だが、地元への申し入れから建設までには通常、10年以上かかることから18年度以降になるとみられる。
 廃炉に向けて、付着した放射性物質の除去や解体、撤去といった措置を35年ごろまでに終える。ただ、一基当たり数10万トンともいわれる大量の放射能を帯びた廃棄物の処理や、跡地をどうするかといった難題も抱えることになる。
 中電の総発電量に占める原子力比率は18%(07年度実績)で、国内九電力(原発を持たない沖縄電力を除く)の平均よりも低い。二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガス削減という地球環境問題も加わって、新規の原発立地は経営の最重要課題だった。これまでに三重県の芦浜原発や、石川県の珠洲原発を計画したが、いずれも地元同意が得られずに頓挫しており、浜岡原発への依存度をさらに高めることになりそうだ。
 国内にある商用原発で現在、廃炉措置に入っているのは、日本原子力発電の東海発電所(茨城県東海村)だけ。10年には日本原子力発電の敦賀1号機(福井県敦賀市)が運転を停止して廃炉となる予定。二基同時に廃炉にする浜岡原発は過去最大の規模となる。
 ■浜岡原発■ 御前崎市に立地する中部電力の沸騰水型原発。現在、5基が設置され、1号機は1976年に営業運転を開始した。1-5号機の総出力は約500万キロワットで国内原発で2番目の規模。事故やトラブルで1号機は2001年から、2号機は04年から長期停止している。地元住民らが「東海地震に耐えられない」として同社に1-4号機の運転差し止めを求めた訴訟は一審静岡地裁で住民側が敗訴し、東京高裁で係争中。
(中日新聞 2008年12月14日)



浜岡原発運転差し止め訴訟:1、2号機廃炉検討「大きな勝利」--原告団/静岡   

◇6号機新設に反対
 中部電力が浜岡原発1、2号機の廃炉と6号機の新設を検討していることが明らかになった13日、同原発運転差し止め訴訟の原告団メンバーは県庁で会見し、「大きな勝利」と位置付けた。ただ中電が廃炉理由に、訴訟で争点となっている耐震性に触れていない姿勢を批判し、6号機の新設に反対することを強調した。
 原告団共同代表の白鳥良香さん(76)は「(1、2号機を)中部電力が危険な存在ということを認めざるを得なくなったということ」と中電の動きは訴訟や反対運動の成果だとした。ただ「(中電は)効率が悪いということを理由に挙げているが、地震で危険というのが一番の理由のはず。廃炉を利用して6号機を作るというのは怒り心頭だ」と批判。「6号機建設は許さない運動に取り組むことを原告団で確認し合った」と述べた。
 また、市民グループ「浜岡原発を考える静岡ネットワーク」の長野栄一代表(87)も「反対運動がある程度力になった。同年代の炉が全国にあり(廃炉の検討の)どう波及するか注目している」と話した。
 今後、差し止め訴訟控訴審での1、2号機への対応について、白鳥さんは「個人的にだが、中電側が効率性を廃炉理由にするならば、『地震が起きれば危険だ』という判決を取った方がいいと思っている」と述べ、引き続き1、2号機についても訴訟を継続したい意向を示した。【松久英子】
(毎日新聞 2008年12月14日)



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てづくり切干大根、簡単です/沢庵用に干し大根も作成中。

2008-12-22 14:40:55 | おいしいもの/食について
12月に入ったので、大根を収穫しました。
大根と白菜で漬物をつくってみたいという、まどくんの要望にこたえて、
わたしが、いちおう指南役です。

沢庵漬けや白菜漬けは、むかし、有機農業を専業にしていたころ、
大量にたるに漬けて、消費者に注文で届けていました。

   
今年は、沢山の種類の大根を作っています。
左から、方領大根、冬どり大蔵大根、耐病総太り大根、各10本ずつ。
  
 
聖護院大根や桜島大根はまだ畑です。


軽トラで庭に運び、すぐに水で洗います。

方領大根は愛知県の特産で今では作る人も少ない希少種ですが、
毛のない葉が柔らかくておいしくて、根は煮物や切干用にします。

冬どり大蔵大根、耐病総太り大根は、沢庵用に干し大根に。

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干し大根は、力持ちのひとたちに任せて、
わたしは、方領大根で切干づくり。

前から欲しかった、岐阜県特産の貝印(関市)のワイドピーラー
奮発して買ったので、千切り歯の試し切りもかねています。

 

方領大根は甘みが強く、先細りなので、千切りにもぴっ足し。
  
太い大根が滑ってしまって、試し切りは「指」でしました(イタッ)。
そのあと軍手をはめて、20分ほどで大根2本の見事な千切りのできあがり。

真っ白でつやつやしてて、思わず一掴み食べてしまいました。

部屋が暖かいので、一晩扇風機の風で乾かすことにして、
 
外に出して干して、丸一日たったら、こんな感じ。
 
(注意) 湿り気のあるうちにひっくり返さないと、
ざるにくっついて取れなくなります。

乾燥してカサが減って細かくなるので、シーツをしいて一箇所に集め、
 
ざるに布を敷いてさらに天日にさらして干します。


あいた笊(ざる)には、大根の細い部分を薄切りにして切干に。

沢庵用に富有柿の皮も干してます。 

   
晴天続きの日に二日干し、夜は部屋に取り込んで、
 
切り干し大根の出来上がりです。

この切り干し大根、関西では千切大根と呼ばれているそうだ。

切り干し大根は「畑のいりこ」といわれる、なんと、カルシウムは牛乳の約4倍、
食品中で一番高いくらいで、骨粗しょう症予防には最適(笑)。

切り干し大根
切り干し大根の栄養素(食材100g当たり)
・食物繊維が6.6g
・カルシウムが94mg
・ビタミンB1が0.04mg
・ビタミンB2が0.04mg
・鉄が9.5mg
切り干し大根の健康効果
切り干し大根は、大根を細く切り、天日で干して乾燥させた食材である。太陽の光を浴びることで、糖化されて甘味がさらに増し、栄養価も増加する。
骨や歯を丈夫にするカルシウムは15倍、悪性貧血を予防する作用がある鉄分は32倍、代謝を促進するビタミンB1・B2は10倍と、同量の大根と比べた場合、栄養価は非常に高い。
また切り干し大根には、食物繊維が豊富に含まれている。食物繊維は、コレステロールを体外に排出し動脈硬化を予防する作用や、便秘を改善し大腸ガンを予防する作用、美肌にも効果的に働く成分である。さらに食物繊維は食後、胃や腸の中で水分を吸収し膨らみ、少量でも満腹感が得られるため、ダイエットにも効果的だ。
他にも切り干し大根には、二日酔いで弱った肝臓や胃腸を回復し食欲を増進させる作用や、保温作用により冷え性を予防する働きがあるといわれている。
栄養効果の高い切り干し大根を、日常の食生活に積極的に取り入れることをおすすめしたい。
 


青首大根と大蔵大根は沢庵漬けにするために、2週間ほど軒下で干します。


少ししなびたので、陽がよくあたるようにずらして干しました。


冬の陽を浴び沢庵になるのをまつ大根。


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故筑紫哲也さん、お別れ会/筑紫哲也の緩急自在「歴史は繰り返さない?」

2008-12-22 00:00:00 | 市民運動/市民自治/政治
11月になくなった筑紫哲也さんの「お別れ会」が
東京であったという記事を新聞各紙で読んだ。

故筑紫哲也さん:ヒデが草なぎが福田前首相が お別れの会 

 肺がんのため11月7日に亡くなったジャーナリストの(享年73)のお別れの会が19日、東京・赤坂のグランドプリンスホテル赤坂で行われ、一般の参列者も含め2584人が故人をしのんだ。TBSの報道番組「NEWS23」で共演した草野満代さん(41)、SMAPの草なぎ剛(34)、サッカー元日本代表MF中田英寿氏(31)、福田康夫元首相(72)ら各界の著名人が最後の別れを告げた。
 参列者は筑紫さんの遺影が飾られた祭壇に白いカーネーションをささげ、思い思いに手を合わせた。喪服姿の草野さんは「最後にお会いしたのが6月末。とても元気でいつものように音楽、お芝居などいろいろな話をしていました。こんな短期間で亡くなるとは想像していなかった。本当に残念です」とあらためて悲しみを口にした。
 草野さんは、筑紫さんがメーンキャスターの「NEWS23」で97年10月から06年9月までサブキャスター。気心の知れたパートナーに筑紫さんが最後に渡したプレゼントが「阿吽(あうん)」と書いた色紙。「(阿吽と書いた意図は)何でしょうね…。照れ屋でシャイで言葉じゃなくて…。(色紙を)見るたびに9年間ご一緒できて本当に幸せだったと思います」。阿吽の呼吸だったことへの感謝を伝えたかったのかもしれず、草野さんは目を潤ませた。
 03年6月に筑紫さんが進行役を務めたTBSの報道特集スペシャルで、韓国の盧武鉉大統領(当時)にインタビューをした草なぎは「筑紫さんが“韓国との懸け橋になって頑張って”とアドバイスをくれて背中を押してくれた。筑紫さんの凄く大きな器を伝えていきたい」としのんだ。
 「対談などでお世話になりました」という中田氏は「筑紫さんの人を引きつけるリズムのある話し方が好きだった。そのリズムが印象に残っている」と振り返った。福田元首相は「アニキのような人で日常のいろいろな話をしました。酒が強くてね…」。偉大なジャーナリストの旅立ちに、参列者の列は途切れることがなかった。(スポニチ)
毎日新聞 2008年12月20日
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映像で足跡回顧 筑紫さんと別れ 都内 
2008年12月19日 中日新聞夕刊

 十一月七日に七十三歳で死去したジャーナリスト筑紫哲也さんのお別れの会が十九日、東京都千代田区のグランドプリンスホテル赤坂で開かれ、作家の瀬戸内寂聴さんや指揮者の小沢征爾さん、SMAPの草なぎ剛さんら交友のあった文化人や芸能人が多数参列、故人をしのんだ。
 弔辞の読み上げなどは行わず、献花のみの形式。会場には生前の写真が掲げられたほか、メーンキャスターを務めていた「筑紫哲也NEWS23」(TBS系)の論評コーナー「多事争論」の映像や番組のテーマソングが流され、参列者は筑紫さんの足跡を振り返った。
 草なぎさんは「特別番組で韓国の大統領と対談したとき、筑紫さんが背中を押してくれた。人間として大きな方だった」とコメント。瀬戸内さんは「ふだんは難しい話はしないのに『このまま行くと日本は駄目だよ。一緒に頑張ろうね』と言われたのがわたしへの遺言になった。とてもいいお友達だった。寂しい」と話した。(中日新聞 2008.12.19)



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わたしは、「NEWS23」の「多事争論」を楽しみに見ていたので、
筑紫さんが肺がんになって、テレビに出られなくなり、
寂しい思いをしていた。

亡くなった、と知ったときは悲しかったけれど、
記事を書こうと思いながら、なぜか書けずにいた。

今朝、朝日新聞のアスパラクラブから「アスパラ通信」が届き、
筑紫さんの連載「緩急自在」が紹介されていた。

わたしがアスパラクラブに参加したのは昨年だけど、
その前から続いていた「緩急自在」をはじめから全部読み直した。

読みながら、涙が止まらなかった。

今年5月21日の、最後の「緩急自在」を紹介して、
筑紫哲也さんのご冥福を祈りたい。

【朝日新聞アスパラ通信】
 ■筑紫哲也さんが語りたかったこと--------
筑紫哲也さんのお別れの会が19日、東京で開かれました。
アスパラクラブでの連載「緩急自在」は5月を最後に中断していました。
「歴史は繰り返さず、人間は変わるものだ――と信じたい」。
最後の一文は、こう結ばれていました
 

 
筑紫哲也の緩急自在
歴史は繰り返さない?


 思わず目を疑った。
 これは再現フィルムか。
 ロシアの首都モスクワの赤の広場。
 盛大な軍事パレードの映像。まるで、この国がソ連と呼ばれていた時代のようだ。
 それがロシア政府の狙いだったという。
 大国としての甦りを、軍事力を誇示するパレードで示したかったのだ。

 別の日、レバノンの首都ベイルートが一触即発、内戦突入の危機にあるとニュースは伝えていた。
 これも既視感(デジャヴュ)のあるニュースだ。
 ベイルートはかつて「中東のパリ」と呼ばれた美しい都だったが、私が出かけたころ(1980年代)は内戦が続き、「地球上でもっとも多くの銃弾が撃ち込まれた町」と化していた。
 これ以上、戦闘を続けてどうするのか。
 歴史は繰り返すのか。繰り返さないのか。
 それこそいろんな論議が繰り返されてきた。全く同じことがまた起きることはあり得ないかもしれない。が、歴史を作っていくのが人間だとしたら、その人間のやることに変わりがなければ同じようなことを繰り返しても不思議ではない。
 サイクロンで甚大な被害が出ているミャンマーの軍事政権が、国際的な救援を事実上拒否している。自国民があんなに苦しんでいるのに救いの手を拒むのは奇異に映るが、その一方で私はそう驚かない。
 政権のありよう次第では、そういうこともありうる。
 それを実際に見聞したのは、1970年代初めにニカラグアという中米の国を大地震が襲った時である。
 アメリカの息のかかった中南米の政権を、「バナナ共和国」と呼ぶことがあるが、その国もそのひとつで、おまけに独裁的な軍事政権だった。
 やっとの思いで現地に入ってみると、首都のマナグアは壊滅状態だったが、ほとんど救援・復興活動が行われていない。政権はともかく、アメリカが急派した海兵隊は何をしているのだろうと探したら、独裁者の官邸を守る形で配置についていた。
 政権にとっても、その保護者にとっても、自分たちの体制を守ることが最優先なのだ。住民を救済することよりも、地震に乗じて住民の反乱が起きることをもっともおそれたのである(ずっと後になってこの危惧は現実となり、この独裁者は国を追われた)。

 人間は変わるか――と私は疑問を投げたが、もともと人間とひとくくりにできるほど人間はひと通りではない。
 4年毎に、私は人間は少なくとも二通りあるのではないかという思いに襲われる。
 オリンピックを無邪気に楽しめる人たちとそうでない人たちの二通りである。
 世界中で圧倒的に前者が多数派のようで、私のような少数派は居心地の悪い思いを4年毎に味わう。「そんな硬いことを言わないで、純粋にスポーツとして楽しめばいいんだから」という圧力は毎度、相当なものである。
 ところが、なまじの政治的行事とは比べようもないほど政治的意味を持ってしまうのがオリンピックなのだ。聖火リレーへの抗議・妨害活動だけが政治的なのではなく、オリンピックそのものが政治的なのだ。
 そういうことのすべてが始まったのが、1936年のナチス・ヒットラー主導のベルリンオリンピックからだというのが定説である。
 ドイツの国威発揚という点で見事な成功をおさめたことはよく知られ、東京オリンピックの成功もこの延長線上で語られることが多い。しかし、それだけではない。
 ナチス・ドイツの「凶悪性」への世界的な警戒心がそこでいったん緩み、なかでもユダヤ民族への差別・弾圧政策が隠蔽されてしまった。
 北京オリンピックによって、チベット民族など少数民族に同じようなことが起きることはない。歴史は繰り返さず、人間は変わるものだ――と信じたい。
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筑紫哲也(ちくし・てつや)
1935年6月、大分県生まれ。早稲田大政経学部卒業後、朝日新聞社入社。政治部記者から沖縄特派員として沖縄返還交渉を現地で取材。71年ワシントン特派員となり、ウォーターゲート事件を取材。『朝日ジャーナル』編集長、編集委員などを経て、89年から東京放送(TBS)のニュースキャスターに。近著に「スローライフ―緩急自在のすすめ」(岩波新書)など。NPO「スローライフ・ジャパン」理事。
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筑紫哲也さんは、08年11月7日、肺がんのためお亡くなりになりました。謹んでご冥福をお祈りします。
(朝日新聞アスパラクラブ 2008.5.21) 


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冬野菜がおいしくなりました。/ブロッコリー・カリフラワー・大根・白菜・キャベツ・菜っ葉etc

2008-12-21 12:17:33 | 有機農業/野菜&ハーブ
今日は、二十四節気の冬至(とうじ)
北半球では太陽の高さが一年で最も低く、昼がいちばん短い日です。

冬至に「ユズ湯」にはいると、病気にならないとか。
健康に不安があるので、今夜入ることにしましょう(笑)。

今朝は、予報どおりの雨。

今日からお天気が崩れるということだったので、
昨日の夕方、とうめん食べる冬野菜を収穫しました。

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わたしは防寒装備でお散歩がてら、
ともちゃんは軽トラにコンテナを積んで畑へ。

大根や人参、秋ジャガなど、重量級の根菜類の収穫はともちゃんに任せ、
わたしは、葉ものの収穫担当。

今年は野菜の出来が良く種類が多いので、畑を一回りして、
収穫するもののめどをつけてから、まずはブロッコリー(これハイツかな)。
  
ブロッコリーやカリフラワーなどは、霜で凍みるのでパオパオで防寒。
カリフラワー3種、スノークラウン・オレンジクイン・バイオレットクイン。
  
キャベツは、左から、
グリーンボール、ルビーボール(紫)と冬風。
  
おなじみの耐病総太り大根と無双白菜
  

ミズナ、小松菜、ワサビナとリーフレタスなどの菜っ葉類。
 

  

カブとコールラビー(紫)。
カブは少し干して、ともちゃんが千枚漬けにします。
  
紫のコールラビーはどんな味だろうと、かじったら甘かったのですが、
どんな調理方法がおいしいのでしょうか・・・・。

収穫した野菜は、コンテナを庭におろして、ざっと水洗い。
野菜は土付きがよいと思われていますが、
土つきはしなびやすく、乾くと汚れが落ちにくくなります。
  
大根と人参と秋ジャガです。
  
カリフラワーは特大なので、三つに切り分けました。

白菜の外葉のお浸しとブロッコリー。
  
スノークラウンとオレンジクインは柔らかく茹でてそのまま温野菜に。
  
チンゲンサイの炒め物と菜っ葉の鍋
 

↑これらの料理を一日で食べたわけではありませぬ(笑)。

えっと、ネギ料理は前に紹介しました。
 寒さで甘くなるネギ「水戸の赤ネギ」と「下仁田ネギ」(2008-12-15 )

大根は薪ストーブの上でことことと「風呂吹き大根」、
保存用には切干大根や生漬けや沢庵漬けに。
(切り干し大根の作り方と大根料理は改めて紹介しますね)

おいしくなった冬野菜で、毎日、バラエティにとんだ野菜料理です。


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「無保険」の子救済へ/「無保険救済法」が成立

2008-12-21 00:00:00 | 市民運動/市民自治/政治
生活が困窮して保護者が国民健康保険料を払えないで、
1年以上滞納すると保険証を取り上げられ病院にかかることができなくなる。

当然だけど、赤ちゃんも子どもも「無保険」になり病院にも行けない、
という状態におちいる。子どもにはなんの責任もないというのに。

こんな非人道的な状態をほっておけないと、自治体が超法規的に措置で、
独自にこどもの救済に乗り出していたが、この問題をマスコミが取り上げはじめ、
国がやっと重い腰を上げ、「無保険救済法」が成立した。

クローズアップ2008:無保険の子、救済法成立へ 
地方が国を寄り切る

毎日新聞 2008年12月11日

 中学生以下の「無保険の子」を一律救済する国民健康保険(国保)法改正案を10日、衆院厚生労働委員会で全会一致で可決した。来週にも改正法が成立する。厚生労働省は「世帯単位の原則」を盾に子どもだけを対象とした一律救済に抵抗してきたが、住民福祉を担う市町村が続々と独自救済に乗り出し、流れをつくった。法改正は大きな前進となるが、高校生を含む「18歳以下」への拡大や、国保会計の赤字に苦しむ多くの自治体に対する国の財源措置などが今後の課題となる。【竹島一登、平野光芳】

 「野党案は放っておくはずだったが、風向きが変わった」。自民党厚労族幹部は、急転直下の解決をこう振り返った。
 厚労省は10月末、全国調査の結果公表に合わせて急病などに限った保険証交付を軸とする対策を通知しただけで、法改正は否定する姿勢を貫いていた。
 民主党など野党3党は11月、「18歳未満」を救済する独自案を提出したが、与党は否定的だった。一方で、11月28日に国会の会期延長が決定し、与党も何らかの対策を示すよう迫られてもいた。
 毎日新聞の今月初旬の全国調査では、無保険の子がいる816自治体のうち235自治体が救済に乗り出していた。一方、他の自治体は子どもだけを救済することは「世帯単位の原則」を掲げる国保法に抵触しかねないと二の足を踏んでいる。
 このままでは市区町村の対応にばらつきが出て、実務が混乱すると懸念した新潟県の泉田裕彦知事と佐賀県の古川康知事は2日、厚労省の江利川毅事務次官に「救済を法制度に位置付けるべきだ」と直談判した。こうした地方の圧力が与党にかかった。
 与党側は先週の非公式協議で「市町村が独自に行っている公費医療助成の対象年齢までを認める」とする案を示したが、民主党は「一律救済でなければ他法案にも協力できない」と譲歩を迫った。
 この結果、自民の鴨下一郎、民主の山田正彦両衆院議員が水面下で協議を続け、先週末までに「15歳以下」を軸に合意。正式に野党が改正案を受け取ったのは今月8日朝。同日中に両党ともに了承手続きを取り、土壇場で決着にこぎつけた。

 ◇短期保険証を発行 6カ月ごと状況確認--中学生以下
 保険料を滞納すると、まず有効期限1年(一部2年)の通常保険証から、期限が短い短期保険証に替えられる。滞納が1年以上続くと、保険証に代えて、医療費の全額自己負担が必要になる資格証明書の交付となる。改正法が施行されれば、滞納世帯でも中学生以下の子どもには保険証が発行される。保険証はどう変わるのか。
 現行では、発病や被災など特別の事情がある場合、滞納世帯への資格証発行は免除している。また被爆者や未熟児などには手厚い医療が不可欠として、個人単位で保険証を交付している。改正案はこの例外規定に中学生以下の子どもを加えた。
 来年4月以降、市区町村が中学生以下の子どもに保険証を発行する。4月1日時点で無保険の子がいれば速やかに発行すると規定しており、市町村は正確な実態把握を迫られる。子ども向けの保険証は、有効期限6カ月の短期保険証となり、期限が切れれば新しい短期証が発行される。更新期限ごとに親の保険料納付が可能になったかを確認し、滞納の助長を防ぐためだ。

 ◇「18歳以下」に拡大課題
 「子どもを守る法的裏づけができた」(千葉市)、「救済が正確に定められた」(大阪市)など、市区町村からは改正法案可決を評価する声が相次いだ。
 厚労省は「子どもを救済すると滞納する親が増えるのではないか」と危惧(きぐ)し、法改正に抵抗してきた。厚労省調査(9月15日現在)で無保険の子が3692人いて全国最多だった横浜市によると、子どものいる滞納世帯は約2900世帯で、国保加入の約55万世帯の0・5%に過ぎない。市保険年金課は「払いたいのに払えない人が圧倒的に多い」と話し、滞納の助長にはつながらないとみている。
 自治体独自の救済策は、対象年齢にばらつきがある。高校生を含む「18歳以下」と、児童福祉法に基づいた「18歳未満」が広く救済を目指す設定だ。11月に18歳未満の救済を図った札幌市は「医療保障という法の趣旨に沿ったもの」と当初方針を維持する。法改正後も、対象年齢の引き上げは課題となる。
 慢性的な国保の赤字会計に悩む自治体が多い。このため独自救済ができなかった自治体があった。国保加入者は自営業者や非正規雇用者が多く、不況で財政運営は厳しさを増すため、法改正で生じる救済費用の財源措置を求める声は強い。
 また国保の財政難を反映して保険料が上がり、滞納を招いているという見方もある。宮城県石巻市の担当者は「国保に入れば、社会保険加入の同じ所得の会社員と比べ、負担は2・5~3倍だ。やむを得ない滞納による赤字は、公的に補てんすべきだ」と指摘する。
(毎日新聞 2008年12月11日)



無保険救済法案が成立 中学以下の受診控え解消
47news 2008.12.19

 親などが国民健康保険の保険料(税)を滞納して「無保険」状態になっている子どもを救済する改正国民健康保険法が、19日の参院本会議で全会一致により可決、成立した。
 親などが保険料を滞納していても、中学生以下の子どもには短期保険証を一律に交付。全国で約3万3000人いるとされる中学生以下の無保険の子どもが、病院の受診を控えなくてもよくなる。改正法は来年4月から施行される。
 厚生労働省の対応は遅れていたが、市町村が独自に保険証を交付するなどの取り組みが広がっていたことにも後押しされ、与野党が今国会での救済法案成立で合意していた。ただ、一部の市町村からは、今回の救済対象から外れた高校生らへの適用を求める声も上がっている。
 短期証は有効期間が6カ月。期限を短くして、短期証を更新する際に親などと接触する機会を増やし、市町村が滞納保険料の納付をあらためて促す狙いだ。
 親などが保険料を1年以上滞納すると、市町村は保険証を返還させて代わりに資格証明書を交付。保険証がないと医療費全額がいったん自己負担となり、経済的に苦しい家庭の子どもが受診を控える恐れが指摘されていた。
 民主、社民、国民新の野党3党が対象年齢を18歳未満とした改正案を国会に提出。自民党も問題を重視して野党との協議に応じた。与野党は、保険料をきちんと納めている家庭にも配慮し、救済対象を中学生以下に限定することで合意した。
(2008/12/19 共同通信)



社 説「無保険」の子救済/先行した地方が国会動かす
2008年12月19日 河北新報

 急に熱が出たり、風邪をひいたりしても、お金のことが心配で、病院に行くのをできるだけ控える―。こんな悲しい現実にさらされていた子どもたちに救いの手が差し伸べられる。ひとまず胸をなでおろしたい。
 保護者が国民健康保険の保険料を滞納したため保険証を返還させられ、「無保険」状態となっている子どもたちを救済する国民健康保険法改正案が、今国会で成立する見通しだ。独自に救済策を講じていた市町村が多く、地方の先行した取り組みが、与野党の背中を押したと言っていいだろう。
 改正案は(1)「無保険」状態の15歳以下に保険証を一律交付する(2)保険証は有効期間6カ月の短期のものとする―などだ。
 当初、民主党など野党3党が提出した救済法案では年齢を18歳未満としていたが、自民党との修正協議で、地方自治体の多くが救済対象としている15歳以下とすることで合意。保険料をきちんと納付している世帯との公平性担保の観点から保険証の有効期間を6カ月とした。
 「ねじれ」国会で、角を突き合わせる場面ばかりが目立つ与野党だが、修正協議で合意し、改正案を衆院で既に可決。19日には参院でも可決し、法案は成立、来年4月に施行されることになる。
 今後、さらに16―18歳の実態についても綿密に調査し、対象年齢の拡大が必要かどうか議論してほしい。
 それにしても、国の「無保険」状態にある子どもたちへの対応は遅すぎ、また冷たすぎたと言わざるを得ない。厚生労働省が全国の自治体を通じて初めて調査し、その数が3万2903人に上ると発表したのは10月末のことだ。
 東北でも青森787人、岩手138人、宮城398人、秋田160人、山形94人、福島556人の合わせて2133人が該当するとされた。
 保険証を返還させられるのは、保険料を1年以上滞納した世帯だ。資格証明書が交付されるが、医療費の全額を窓口で支払わなければならず、受診を控えたケースも多いことだろう。病気の子どもが病院にも行けないとしたらとても寂しい。
 この間、自治体の半数近くは独自に未就学児や小学生に保険証を交付したり、短期保険証に切り替えて滞納者に納入を促したりする救済策を講じていたという。窮余の策とはいえ、生活現場に近い行政の知恵が働いており、国の一律主義からは出てこない現実的な施策だろう。それが国会を動かした面がある。
 保険制度が給付と負担の均衡の上に成り立つことを考えるとき、保険料の滞納はできる限りなくす必要がある。
 しかし、この数年間の行き過ぎた市場競争経済のもと、格差が一段と進み、低収入や失職する人が増えたことは事実だ。滞納の増加をモラルハザードの問題と簡単に片づけるわけにはいかない。
 国はそんな点に目配りし、特に将来を担う子どもたちを温かく見守らなければならない。
2008年12月19日金曜日



社説:「無保険」の子供 迅速な全国一律救済は朗報だ
毎日新聞 2008年12月10日

 国民健康保険(国保)の保険料を親が滞納したために「無保険」状態になっている子供に対して、来年4月から保険証が交付される見通しになった。与野党が国保法の改正案に合意、今国会での成立が確実となったためだ。「無保険」状態にあった3万3000人の中学生以下の子供たちにとっては朗報といえる。
 毎日新聞は「滞納の責任は子供にはない」として、早急に全国一律に子供たちを救済する仕組みを作るよう提案してきた。与野党が歩み寄って迅速に「無保険」の子供の救済が図られるようになったことを高く評価したい。
 民主党など野党は18歳未満を救済する独自の改正案をすでに提出していたが、与党と協議して15歳以下に年齢を引き下げることで折り合った。麻生内閣の支持率が大きく落ち込み、与野党の対立が激しさを増している中で「無保険」の子供を救うための法案で与野党が合意した意味は大きい。
 国保法は保険証の交付を原則、世帯単位で行うよう定めており、親が保険料を1年以上滞納した場合、自治体に保険証を返還する規定になっている。「無保険」となると、医療機関の窓口では全額自己負担となってしまう。この結果、「子供が病院に行かなくなる恐れがある」など、受診抑制の広がりを危惧(きぐ)する声が出ていた。
 子供の「無保険」については、自治体で対応にバラつきがあることも問題になっていた。毎日新聞の調査では「無保険」の子供がいた全国816自治体のうち、235自治体が救済に乗り出していた。この結果、「無保険」状態にある子供のうち、1万3000人に対して救済の手が差しのべられた。だが、「自治体独自の救済は国保法に違反する疑いがある」として二の足を踏む自治体もあり、約2万人の救済のメドは立っていなかった。
 本来、自治体によって対応が違うのはおかしなことだ。国保法の改正によって、全国一律に救済が図られ、不公平な対応が解消されることは望ましいことだ。
 保険証の有効期間は通常は1年だが、「滞納を助長するのではないか」という指摘もあることから、6カ月とする。再交付の際には、滞納している親などに対して納付を積極的に働きかけることになる。自治体はあらゆる機会をとらえて保険料の滞納防止に全力を尽くすべきだ。滞納者が増えれば国民皆保険は崩れてしまう。「無保険」の子供の救済はあくまでも、人道的、例外的な措置であることは指摘しておきたい。
 今後の課題は、15歳以下とした救済対象者の年齢の引き上げだろう。新制度の実施状況や、16~18歳層の実態も調査し、次の段階として18歳未満までは保険証を交付する仕組みを検討してもらいたい。
(毎日新聞 2008年12月10日)


「無保険救済法」が成立して、まずはよかった、とは思うけれど、
「子ども」の定義は「18歳未満」なんだから、救済措置は「18歳」にすべきだと思う。

とはいえ、派遣切りや、景気の悪さで失業した大人は、
厳しい冬を迎えるというのに、体調を崩しても病院に行けないのだろうか。
とっても気がかりです。


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