『リチャード・ニクソン暗殺を企てた男』(原題:The Assassination of Richard Nixon)
監督:ニルス・ミュラー
出演:ショーン・ペン,ナオミ・ワッツ,ドン・チードル他
前述の『タナカヒロシのすべて』とハシゴしたのがこちら。
2作のあまりの「色」のちがいに、そのギャップもおもしろい1日でした。
製作総指揮にはレオナルド・ディカプリオや
『サイドウェイ』(2004)の監督であるアレクサンダー・ペインも名を連ね、
主演はリベラリストで有名なショーン・ペン。
その面々が1974年に実際に起きたハイジャック事件に鼓吹されて作りあげた作品です。
サム・ビック、44歳。
どんな仕事に就いても長続きしない彼は、妻と3人の子どもに見放されかけて別居中。
彼にはいつの日か親友とともに、タイヤの移動販売会社を経営したいという夢がある。
まずは金を貯めて、妻とよりを戻そうと、事務用家具のセールスマンになる。
上司はこの世でもっとも優秀なセールスマンはリチャード・ニクソンだと言う。
戦争終結を公約しておきながら、それを守らず、
2度目も同じ公約を掲げて、国民に自分を売り込むことに成功したニクソン。
約束は約束、それを守らなくても勝手、嘘八百並べてでも、
とにかく客に家具を売りつけろ。
セールスマンの心得が録音されたテープを四六時中聴き続けるサム。
しかし、彼にとっては悪徳とも思える会社の理念が徐々に心を蝕んでゆく。
ちょっと繊細すぎる普通の男が、
テレビに映るニクソンを見て国家に対して不満を募らせていくさまを
ショーン・ペンは肩の力を抜きつつ大熱演。
ロバート・デ・ニーロにも並ぶ出来。
興味を惹かれたのはサムが融資の依頼に行くシーン。
会社で物を売るとき、本当は30%の利益があるのに、
客には15%がぎりぎりの線だと言えと上司が強要する。
自分は30%が利益であることを客に明かしたい。
そのうえで、「15%ずつ、私とあなたで分ければ、
ほら、ふたりともが得するでしょう」と言って売りたいのだと。
融資査定者が「結局どちらも15%引きなら同じことでは?」と唖然とすると、
「同じではない」ときっぱり言います。
屁理屈かもしれないけど、これはわかるような気がします。
アメリカという名の砂漠の、小さな砂粒のひとつにすぎない人間でも
運さえ味方してくれれば、尊大な権力者に挑めるかもしれない。
現場で射殺された実際のハイジャック犯の言葉です。
とっても左寄りの映画。
でも共感できる部分が多分にあります。
監督:ニルス・ミュラー
出演:ショーン・ペン,ナオミ・ワッツ,ドン・チードル他
前述の『タナカヒロシのすべて』とハシゴしたのがこちら。
2作のあまりの「色」のちがいに、そのギャップもおもしろい1日でした。
製作総指揮にはレオナルド・ディカプリオや
『サイドウェイ』(2004)の監督であるアレクサンダー・ペインも名を連ね、
主演はリベラリストで有名なショーン・ペン。
その面々が1974年に実際に起きたハイジャック事件に鼓吹されて作りあげた作品です。
サム・ビック、44歳。
どんな仕事に就いても長続きしない彼は、妻と3人の子どもに見放されかけて別居中。
彼にはいつの日か親友とともに、タイヤの移動販売会社を経営したいという夢がある。
まずは金を貯めて、妻とよりを戻そうと、事務用家具のセールスマンになる。
上司はこの世でもっとも優秀なセールスマンはリチャード・ニクソンだと言う。
戦争終結を公約しておきながら、それを守らず、
2度目も同じ公約を掲げて、国民に自分を売り込むことに成功したニクソン。
約束は約束、それを守らなくても勝手、嘘八百並べてでも、
とにかく客に家具を売りつけろ。
セールスマンの心得が録音されたテープを四六時中聴き続けるサム。
しかし、彼にとっては悪徳とも思える会社の理念が徐々に心を蝕んでゆく。
ちょっと繊細すぎる普通の男が、
テレビに映るニクソンを見て国家に対して不満を募らせていくさまを
ショーン・ペンは肩の力を抜きつつ大熱演。
ロバート・デ・ニーロにも並ぶ出来。
興味を惹かれたのはサムが融資の依頼に行くシーン。
会社で物を売るとき、本当は30%の利益があるのに、
客には15%がぎりぎりの線だと言えと上司が強要する。
自分は30%が利益であることを客に明かしたい。
そのうえで、「15%ずつ、私とあなたで分ければ、
ほら、ふたりともが得するでしょう」と言って売りたいのだと。
融資査定者が「結局どちらも15%引きなら同じことでは?」と唖然とすると、
「同じではない」ときっぱり言います。
屁理屈かもしれないけど、これはわかるような気がします。
アメリカという名の砂漠の、小さな砂粒のひとつにすぎない人間でも
運さえ味方してくれれば、尊大な権力者に挑めるかもしれない。
現場で射殺された実際のハイジャック犯の言葉です。
とっても左寄りの映画。
でも共感できる部分が多分にあります。