『夜のピクニック』
監督:長澤雅彦
出演:多部未華子,石田卓也,郭智博,西原亜希,貫地谷しほり他
恩田陸の同名ベストセラー小説の映画化。
全校生徒が夜を徹して80kmを歩く「歩行祭」は、
原作者の母校である茨城県立水戸第一高等学校で、
1949年からおこなわれている伝統行事「歩く会」がモデル。
実際は映画の設定より10km短い、70kmのようです。
最初は学芸会を観ているようで恥ずかしかったのに、
気がつけば爽やかな涙。
ベストセラーなので、ネタバレもOKにさせてもらいます。
高校3年生の貴子にとって、歩行祭も今年が最後。
彼女には胸に秘めたひとつの賭けがあった。
それは、一度も話したことのない同級生の融に
歩行祭中に話しかけること。
貴子と融は実は異母兄妹。
融の父親が浮気してできたのが貴子だった。
その事実を知っているふたりは、
お互いが自分のことを憎んでいると考え、今まで避け合ってきた。
どんなに親しい友人にも打ち明けられないまま
高校生活を送ってきたふたりのことを
周囲は勝手に両想いだと決めつけ、
歩行祭の間になんとかくっつけようとするのだが……。
80kmのうち、最初の60kmを徒歩。
残り20kmは自由歩行と名づけられた時間で、走る生徒もいるんですから、
最近、「1km走ろうと思ったら走れる?」と知人から聞かれて
「走れる」と言いきれなかった私には信じられません。
何が嬉しゅうてそんなに歩かなあかんねんと思いましたが、
本作を観たあとにはそれもいいかなと。
貴子と融が何らかの血縁関係にあることは
冒頭でなんとなく匂わされます。
原作を知らず、恋愛物を期待していると
兄妹であってほしくない気はします。
でも、お互い、気になる存在であるのは恋愛物と一緒。
私がとても好きだったのは、避け合いながらも
お互いを目で追い続けていたことがわかる、このやりとり。
歩行途中で足首を捻挫した融に向かって、貴子の台詞は
「足、ほかにもどこか怪我してるの?
最近、歩き方ちがうよ」。
テニスで膝を傷めたと言う融に、
貴子が「満身創痍だね」と笑いかけると、融はこう言います。
「やべっ、その漢字、書けないや。
漢字、強いよな。クラス当番の日誌、漢字だらけ」。
「言ってほしいこと、言ったほうがいいことってある。
それを言わせてくれる力が、歩行祭にはある」。
酔った力を借りないと言えないようなことは
所詮その程度のことだと思うけれど、こんな力ならいいな。
監督:長澤雅彦
出演:多部未華子,石田卓也,郭智博,西原亜希,貫地谷しほり他
恩田陸の同名ベストセラー小説の映画化。
全校生徒が夜を徹して80kmを歩く「歩行祭」は、
原作者の母校である茨城県立水戸第一高等学校で、
1949年からおこなわれている伝統行事「歩く会」がモデル。
実際は映画の設定より10km短い、70kmのようです。
最初は学芸会を観ているようで恥ずかしかったのに、
気がつけば爽やかな涙。
ベストセラーなので、ネタバレもOKにさせてもらいます。
高校3年生の貴子にとって、歩行祭も今年が最後。
彼女には胸に秘めたひとつの賭けがあった。
それは、一度も話したことのない同級生の融に
歩行祭中に話しかけること。
貴子と融は実は異母兄妹。
融の父親が浮気してできたのが貴子だった。
その事実を知っているふたりは、
お互いが自分のことを憎んでいると考え、今まで避け合ってきた。
どんなに親しい友人にも打ち明けられないまま
高校生活を送ってきたふたりのことを
周囲は勝手に両想いだと決めつけ、
歩行祭の間になんとかくっつけようとするのだが……。
80kmのうち、最初の60kmを徒歩。
残り20kmは自由歩行と名づけられた時間で、走る生徒もいるんですから、
最近、「1km走ろうと思ったら走れる?」と知人から聞かれて
「走れる」と言いきれなかった私には信じられません。
何が嬉しゅうてそんなに歩かなあかんねんと思いましたが、
本作を観たあとにはそれもいいかなと。
貴子と融が何らかの血縁関係にあることは
冒頭でなんとなく匂わされます。
原作を知らず、恋愛物を期待していると
兄妹であってほしくない気はします。
でも、お互い、気になる存在であるのは恋愛物と一緒。
私がとても好きだったのは、避け合いながらも
お互いを目で追い続けていたことがわかる、このやりとり。
歩行途中で足首を捻挫した融に向かって、貴子の台詞は
「足、ほかにもどこか怪我してるの?
最近、歩き方ちがうよ」。
テニスで膝を傷めたと言う融に、
貴子が「満身創痍だね」と笑いかけると、融はこう言います。
「やべっ、その漢字、書けないや。
漢字、強いよな。クラス当番の日誌、漢字だらけ」。
「言ってほしいこと、言ったほうがいいことってある。
それを言わせてくれる力が、歩行祭にはある」。
酔った力を借りないと言えないようなことは
所詮その程度のことだと思うけれど、こんな力ならいいな。