夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『フリーダム・ライターズ』

2007年11月09日 | 映画(は行)
『フリーダム・ライターズ』(原題:The Freedom Writers Diary)
監督:リチャード・ラグラヴェネーズ
出演:ヒラリー・スワンク,パトリック・デンプシー,スコット・グレン他

こんな作品を観ると、やはり「実話であること」
人の心をいたぶるものなんだと思ったりして。

ロス暴動の2年後、1994年のロサンゼルス郊外。
低所得者層の子どもが多くを占めるウィルソン公立高校に、
夢と希望に燃える国語科の新米教師エリンが着任する。

生徒のほとんどが銃で脅された経験があり、また、身近な者を殺されている。
ストリートギャングが横行するこの地域では、
生徒たちにとっては毎日が死ぬか生きるかの闘い。
学校内でも人種間の争いが絶えず、まともな授業など困難。
学校側も生徒にお金を使うのは無駄だと判断し、ろくに教材を揃える気もない。

自分の理想とはあまりにかけ離れている現状に
エリンは愕然とするが、本を読むことの素晴らしさ、
自分の言葉でものを書くことの素晴らしさを
なんとか生徒たちに知ってほしいと願う。

エリンは自費で生徒の人数分のノートを購入する。
どんなことでもいいから、毎日書いて。
私は読まないから、好きなことを書いてくれればいい。
でも、読んでほしくなったら、あの戸棚に入れておいて。
授業中は鍵をかけないでおくから。

渋々ノートを受け取ったように見えた生徒たちだったが、
戸棚を開けてエリンは驚く。
そこにはそれぞれの思いが書き綴られたノートの山が。
こうして、生徒たちはエリンに心を開き始めたばかりではなく、
いがみ合っていた同級生同士が手を取り合うようになる。

お嬢様育ちのエリンの言動は、初めのうちは私の気にも障るほど、ズレています。
しかし、その底知れぬパワーに脱帽。
学校をあてにできないと見るや、地区の教育長に直談判。
教材費を工面するため、空いた時間は百貨店の下着売場と
ホテルのフロントのアルバイトを掛け持ち。
そんなエリンについて行けず、夫は離婚を切り出しますが、
それでも泣くだけ泣いたら後には引きません。

基本的には自分の力で乗り切りますが、
彼女の裕福な父親の頼り方は、コネやツテってこんな具合に使うものだと思えます。
余計なことに首を突っ込むなと忠告していた父親も、
いつしか彼女のペースに巻き込まれる様子は、実に自然でいい感じ。

いささかの美化はあるのかもしれません。
でも、こんな教師がいれば、そして、実在したというのは凄いことです。
すべての教師と生徒たちに。

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