夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

部下の盾(タテ)になってくれない上司なんて。

2007年11月16日 | 映画(番外編:小ネタいろいろ)
あっちこっちで偽装問題噴出。
しかし、どうしてこうも、偽装発覚後の会社のトップって情けないんでしょうね。
何でもかんでも部下や取引先のせいにして、
保身を図ったつもりが、逆に自分がダメダメ人間だってことを露呈。

偽装そのものよりも、その後の言いぐさが恥ずかしすぎる。
『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』(1992)は、
高潔さを失ってしまった社長さんたちにぜひともお薦めしたい1本。

名門進学校で寄宿生活を送る苦学生のチャーリーは、
ほかの裕福な学生とちがって、クリスマス休暇といえども帰郷するお金がありません。
なんとか交通費を工面しようと、学校の掲示板でアルバイトを探します。
そこで見つけたのが、退役した盲目の軍人のお世話。
彼と同居している親戚一家が旅行する間の、一見楽勝に思える短期アルバイト。

ところが、その退役軍人スレードはとんだ気むずかし屋。
いちいち嫌みで、偉そうで、わがまま言い放題のスレードに
チャーリーは振りまわされ続けます。

ある晩、校長の自慢の愛車ジャガーに何者かが悪戯をします。
偶然その場を通りかかったチャーリーは、
犯人が同校の生徒であることを知ります。
翌日、激怒した校長は犯人探しに躍起になり、
どうやら目撃者らしいチャーリーともうひとりの生徒ジョージに
犯人を教えるよう、あの手この手で迫ります。
教えればハーバード大学へ推薦してやるとか、教えなければ厳罰が待っているぞとか。

ジョージの親は実力者で、学校への寄付金も多大。
校長のジョージに対する言い様と、
チャーリーに対する言い様はあきらかにちがいます。
退学をも示唆されて、揺れ動くチャーリー。

物語はこの事件で友だちを売る売らないかを基に、
人間としていちばん大切なものは何なのか、
魂を潰すということはどういうことなのか、
そんなことを教えてくれます。

同じ映画を2度観る時間があれば、
1本新しい映画を観たいと思ってしまうので、
同じ映画を何度も観ることは滅多にありません。
でも、この映画は何度でも観たくなります。

どんなに偏屈であろうが、理不尽なことを言われようが、
アル・パチーノ演じるスレードのように
最後の最後に自分を守ってくれる上司なら、
この人について来てよかったと思えるでしょう。

おいしいとこ取りだけして、
部下の盾にもなってやらんくせに、
会社のためにがんばってくれなんていう上司、
絶対信用できませぬ。

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