夜な夜なシネマ

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『ダンガル きっと、つよくなる』

2018年04月20日 | 映画(た行)
『ダンガル きっと、つよくなる』(原題:Dangal)
監督:ニテーシュ・ティワーリ
出演:アーミル・カーン,ファーティマー・サナー・シャイク,サニャー・マルホートラ,
   サークシー・タンワル,アパルシャクティ・クラーナー他

阪神vsヤクルト観戦の前にTOHOシネマズ西宮で3本ハシゴの2本目。
1本目は『映画 クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ 拉麺大乱』
2本目がムビチケ購入済みだった本作です。

タイトルはどうかと思う。
だって、思いっきり『きっと、うまくいく』(2009)を意識したものですよね。
まぁ、原題の“Dangal”だけではなんのこっちゃわからんし、
主演は同じアーミル・カーンだから良かろうということにして。
なお、「ダンガル」とはレスリングの意味だそうです。

女がスポーツなどするものではないと思われているインド。
そんな国に生まれながら、オリンピック選手となったギータとその家族。
実在の一家がモデルとなっています。

レスリングをこよなく愛するマハヴィル・シン・フォーガット。
インドで国内チャンピオンとなった彼の夢は、国際大会で金メダルを取ること。
しかし生活のためには選手を続けるわけにいかず、引退する。

息子が生まれたら必ずレスリングの選手に育て上げよう。
そう決めていたのに、授かった子どもは娘ばかり4人。
夢を託すこともできなくなり、落胆を押し隠したまま年月が流れる。

十数年が経ったある日、ある子どもの両親が怒鳴り込んでくる。
うちの息子がお宅の娘たちと喧嘩してこてんぱんにやられたと。
泣きじゃくるその息子に対して、傷ひとつなくふてくされた顔をする娘たち。
そこでマハヴィルの瞳は輝く。
自分のDNAがまちがいなく受け継がれている娘たちにレスリングを教えよう。

翌日から長女ギータと次女バビータの特訓が始まる。
朝5時に起床、服装も髪型も運動しやすいように変えさせると、スパルタ指導。
娘たちは父親の意を汲めず、レスリングなんてしたくないと思うのだが……。

インドのみならず、中国でも大ヒットを飛ばしたそうですが、
日本では公開2週目には上映回数がグッと減り、早めに打ち切られてしまいそう。
タイトルに二番煎じの印象があったせいではなく、
おそらくレスリングの人気がそれほど高くはないのでしょうね。
オリンピックで盛り上がったと思ったらあのパワハラ騒動だし。

しかし観る価値は十二分にあります。
アーミル・カーンの役作りの素晴らしさ。
現役選手時代を演じるときの体つきは贅肉いっさいなし。
それが引退後に歳を取るにつれてこの腹の出具合。
完璧な役作りをしているからこそ、
「技が古くなったのではなく、お父さんが歳を取った」というバビータの言葉に真実味がある。
シリアス一辺倒のスポ根ものではなく、
父親の鬼ぶりを「ボリウッドの悪役よりヒドイ」と評するところなど、笑えるシーンも。

ネタバレになりますが、特訓を嫌がっていた娘たちが一転、
進んで練習をするようになるきっかけのシーンには涙が出ます。
14歳で結婚する友人の披露パーティーでぼやくギータとバビータに、
花嫁である友人が「あなたたちが羨ましい」。
普通、女の子が生まれれば、料理と掃除を教え込み、
14歳になれば親が決めた見知らぬ人のもとへ嫁がされる。厄介払いよ。
あなたたちのお父さんはそうではない。あなたたちの将来をちゃんと考えていると。

金メダルを取るということは、インドの全女性にとって意味をもたらす。
もしもまだ上映している劇場があれば、ぜひご覧ください。

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