『東京カウボーイ』(原題:Tokyo Cowboy)
監督:マーク・マリオット
出演:井浦新,ゴヤ・ロブレス,藤谷文子,ロビン・ワイガート,國村隼他
これらの前にまずは映画を1本と思い、午前中シアターセブンへ。
主演が井浦新のアメリカ作品です。
監督はこれが長編劇映画デビューとなるマーク・マリオット。
共同で脚本を担当するのは藤谷文子、スティーヴン・セガールの娘ですね。
先に、「最近の日本語おかしくないかしら!?」ということで、ひっかかった台詞を記しておきたい。
「私のことをお見かけしたことがあるかもしれません」って、変じゃないですか。
同様にガソリンスタンドの自動音声も前々から気になっています。
「ご利用するお支払い方法を選択してください」って、正しい日本語ですか。
正しくは「ご利用になるお支払い方法」か「ご利用のお支払い方法」「利用されるお支払い方法」じゃないですか。
いつの頃からか「ご◯◯する」をアナウンサーも普通に使うようになっていて、
毎度毎度ひっかかっているのですけれど、もはやどれが正しいのかわからなくて。
大手商社に勤める坂井英輝(井浦新)は、業績が芳しくない食品会社に再構築を提案して買収を進める達人。
このたびも丹精込めた手作りを謳う老舗のチョコレート会社の買収に成功したばかり。
社長(岩松了)をはじめとする経営陣はこの牧場を切ってしまいたいところ、
英輝は和牛を育てる牧場に変身させてはどうかと提案する。
すでに和牛の専門家である和田直弘(國村隼)にアドバイスを求めていた英輝は、
和田と共にすぐにモンタナ州に飛ぶことに。
英語があまり得意ではない英輝に対して、和田は英語堪能、人の心を掴むのも上手い。
下戸の英輝はアルコールの摂取も断固拒否して、人の輪の中に入ろうとしない。
すべては和田頼みだったのに、その和田が酔っぱらってロデオマシーンに挑戦して負傷してしまう。
ひとりで何もかも乗り切らなければならなくなり、不安いっぱいながらも妙に自信のある英輝。
牧場主の女性ペグ(ロビン・ワイガート)は一応優しく接してはくれるものの、
場違いなスーツ姿のままの英輝に内心あきれている。
牧場で働く者たち相手に「和牛を育てましょう」とプレゼンしたところで、誰の心も動かない。
ペグは英輝の相手を労働者のひとりハビエル(ゴヤ・ロブレス)に任せて事務所に引きこもる。
話は何も進展しないまま時間だけが経ってゆき、英輝は焦りはじめる。
勤務先の副社長で恋人の増田けい子(藤谷文子)から報告をせっつかれるも返事ができなくて……。
冒頭の日本語にひっかかりをおぼえたものの、概ね面白く見ました。
郷に入っては郷に従えとはよく言ったもので、英輝のように自分のことばかり考えて、
彼らに馴染もうとしなければ何も進展しません。
チョコレート会社の買収に関しても、チョコレートを食べてみることすらせずに話を進める。
お宅のブランドを守りますと約束したのに、買収に成功してしまえばどうでもいい。
モンタナにお土産として持って行ったチョコレートを子どもが一口食べて吐き出したのを見て、
これまでの自分が如何に傲慢だったかを思い知ります。
買収する側とされる側両方に本当に良い方法はないものか。
みんなが幸せになれる方法を見つけるのは難しいものだけど、考えて考えて考え抜けば、どこかにあるのかも。