11月22日から25日まで放映された「華麗なるメトロポリタンオペラ(以下MET)」。4日目はオッフェンバック作曲の歌劇「ホフマン物語」でした。オッフェンバック(1819-80)はユダヤ系ドイツ人。パリで活躍し、圧倒的な人気を誇り、オペレッタを数多く上演させた作曲家。「ホフマン物語」は晩年に未完で残した唯一の歌劇。
あらすじ 創作に悩む詩人ホフマンは、酒場で過去の3人の女性との愛を回顧します。機械仕掛けの人形オランピア、虚弱な体質で歌手を夢見ているアントニア、悪魔に魅入れた娼婦ジュリエッタ。これらはみな奇妙な物語で、結局、3人の女性は彼の前から姿を消してしまいます。
第1幕 オランピア ローマ・物理学者スパランザー二の書斎
オランピアを演じるキャスリーン・キムは小柄な女性で、目もくりくりさせて適役でした。私は、歌劇ホフマン物語は初めてですが、以前、幸田浩子さんのリサイタルでオランピアを機械仕掛けの人形らしいパントマイムを演じながら歌うのを聞いたことがあります。彼女は新国立劇場で行われた「ホフマン物語」のオランピア役を演じたとのことですが、動きが途中で止まり、上半身が前に傾いてしまい、ネジを巻いてもらうシーンに、とても興味を持ちました。改めて全編の通した話を見、なるほどと思いました。ソプラノのオペラ歌手にとっては、この役は演じてみたい役柄かも知れません。
第2幕 アントニア ミュンヘン・クレスペルの部屋アンナ・ナトレプコの演じるアントニアは切々と歌い、さすがに聴き応えがあります。ホフマン役のジョセフ・カレヤもそれに応えて熱演し、二人の愛は燃え上がります。しかし、そこにはニクラウスの影とミラクル博士の怪しげな診察が不吉な感じを漂わせます。
第3幕 ジュリエッタ ベネチア・大運河に面する館
ゴンドラの行き交うベネチアの歓楽街の豪華な館、高級娼婦のジュリエッタとニクラウスは、有名な「ホフマンの舟歌」を歌います。
第3幕はMETらしい、ベネチアの賑わいと豪華さがあふれ、退廃的な雰囲気も漂う魅力的な舞台です。そんな中、豪華な衣装のジュリエッタに騙されるホフマンの気持ちがよく分かります。
今回、全編を初めて見た歌劇「ホフマン物語」。歌手も良く揃い、魅力的な歌と演技を見せてくれました。一つ一つの物語に統一性を持たせていたのが各物語に共通なホフマンとニクラウスの衣装。そして各物語に登場する不吉な男、計四人をアランヘルドにした演出は見事でした。「ホフマン物語」はオッフェンバックの作品の中でも演奏頻度が最も高いと言われていますが、ストーリーも奇想天外で愉しんで見ることが出来ました。
詳しくは「めいすいの音楽随想 MET歌劇 ホフマン物語」をご覧下さい。
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