めいすいの写真日記

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映画「北北西に進路を取れ」・・・アルフレッド・ヒッチコック監督作品

2022-05-02 | 映画

                                                                                                                NHKプレミアム・シアター 2022/4/29

    スパイ映画「007ロシアより愛を込めて」(1963)の元祖?
 アルフレッド・ヒッチコック監督の集大成とも言われるサスペンス映画の名作。
 広告会社のロジャー・ソーンヒルは,別の人物と間違えられ、殺されそうになってしまう。
 事実を突き止めようとするロジャーだが、国際的な陰謀に巻き込まれ,逃げ回ることに・・・。
    主演ケーリーグラント、謎の美女を演じるのはエヴァ・マリー・セイント。
 スピーディーな展開と絶妙なラブストーリー、4人の歴代大統領の巨大な彫像のある
ラシュモア山のクライマックスは有名である。

【監督】アルフレッド・ヒッチコック
【脚本】アーネスト・レーマン
【撮影】ロバート・パークス
【音楽】バーナード・ハーマン
【出演】ロジャー・ソーンヒル : ケーリー・グラント
     イヴ・ケンドール :エヴァ・マリー・セイント
        フィリップ・ヴァンダム :ジェームズ・メイソン
        クララ・ソーンヒル(ロジャーの母)
         教授 :レオ・G・キャロル

製作国:アメリカ
製作年: 1959
原題  : NORTH BY NORTHWEST

 広告会社の重役ロジャー・ソーンヒルは、ホテルのロビーでの会合の最中、
偶然別の人物に間違えられて、広壮な邸宅に連れていかれてしまう。
そこで待っていたタウンゼントという男(ヴァンダム一味)は、彼をスパイのキャプランと決めつけ、
 どこまで情報を嗅ぎつけたのかを教えろと迫る。

 ソーンヒルがあくまで否定すると、男の手下たちが強引に酒を飲ませて車に乗せ、崖から転落させて殺そうとする。
泥酔しながらも海岸ベリの曲がり道の多い山道を、カーチェイスが始まる。見栄えのするシーンだ。

 ソーンヒルはUNIPOのタウンゼント氏を証人になるであろうと国連で演説することになっている国連本部を訪る。

 ところが国連のロビーで会ったタウンゼントは、邸宅にいた男とは別の人物だった。
2人が噛み合わない会話をしていると、そのタウンゼントの背中に手下(ヴァンダム一味)
のひとりが投げたナイフが突き刺さる。ソーンヒルは、殺人容疑者として大きく報道されてしまう。

架空の人物とも知らず、なおもキャプランを追い求めるソーンヒルは、シカゴに向かう
特急寝台列車「20世紀特急」に乗る。その車内でイヴ・ケンドールという女性と親しくなる。
彼女はソーンヒルがお尋ね者であることを承知していて、彼を自室に招き入れてかくまう。
ところが同じ列車にヴァンダム一味も乗っていて、実はケンドールは彼らと通じていた。

 ケンドールはキャプランと連絡をとったと言って、ソーンヒルを郊外の広大な平原に向かわせる。
 しかし、その平原でいつまで待ってもキャプランは現れず、そのかわり農薬を散布していたはずの軽飛行機が襲いかかってきた。

  平原を縦横に逃げるソーンヒルを追い回すうち、軽飛行機は通りかかったタンクローリーに衝突して炎上してしまう。
   ロジャー・ソーンヒルは広告会社の重役とはとても思えない、やり手スパイの活躍だ。

ソーンヒルは、こっそりと部屋を出て行った彼女の後を追う。向かった先は骨董品の
オークション会場だった。彼が会場に乗り込むと、はたしてケンドールがヴァンダムと手下に
囲まれて客席に座っていた。ヴァンダムはソーンヒルの出現に驚くが、出展品の人形を落札すると、
ケンドールを連れて会場を出て行く。

  ソーンヒルは手下たちに見張られて動けなくなるが、とっさにオークションの客に扮して、
出展品にでたらめな値を付けて会場を混乱させ、警官に連れ出される形で脱出に成功する。

ソーンヒルは、ケンドールがヴァンダムに連れられて出国することを知らされた。
憤激したソーンヒルは、彼女をヴァンダムから奪う行動に出る。アジトに潜入して様子を
うかがうと、すでにケンドールの正体は見破られていて、彼女を殺害する予定になっていること、
そして彼らが盗み出したものは人形の中にあることを知った。それらの情報をひそかに
ケンドールに伝えるが、近くで待機している飛行機の離陸は間近に迫っていた。

 

 ソーンヒルとケンドールは、ヴァンダム一味が盗み出したものは人形の中にあることを知り、
それを持ち、逃げようとするが、追われた先は4人の歴代大統領の巨大な彫像のあるラシュモア山の
真上だった。その先は、目もくらむような断崖絶壁である。

【感想】スリル、スピード、サスペンス。ヒチコック監督が現在の映画の方向を見越して作った
素晴らしい映画となった。 ケーリー・グラントは「007ロシア寄り合いを込めて」のショーンコネリーと
変わりの無い演技をしていると思う。ラブシーンもボンド・ガールとは言えないまでも楽しめる良いようだ。
   ケンドール 役のエヴァ・マリー・セイントが私の好みでは無かったのが少し残念ではあったが・・・・。

(了)


映画「間違えられた男」・・・ヒッチコック監督作品

2022-04-26 | 映画

                                                                                                                NHKプレミアム・シアター 2022/4/21

  映画は冒頭にヒッチコック監督本人が登場し
「私は、アルフレッド・ヒッチコック。今まで多くのサスペンス映画をお送りしてきた。
   だが、今回は少し違う。異は事実にあり。これは、実際に会った物語である。
   私が今までに作ったどの恐怖映画より-- 奇なる事実があるのだ」と解説する。
  ヒッチコック監督作品には後にも先にも無いことだ。

【監督】アルフレッド・ヒッチコック
【原案・脚本】マックスウェル・アンダーソン
【脚本】アンガス・マクファィル
【撮影】ロバート・パークス
【音楽】バーナード・ハーマン
【出演】マニー(本人):ヘンリー・フォンダ
               ローズ(妻):ベラ・マイルズ
               フランク・オコナー(弁護士):アンソニー・クエイル
 製作国 アメリカ
 製作年  1956
 原題:THE WRONG MAN

【あらすじ】
  ミュージシャンのマニーは,ある日突然、強盗犯として警察に連行される。
 全く身に覚えのないマニーだったが、状況は不利になるばかり。

 さらに妻のローズは、恐怖と絶望によって次  第に精神を病んでしまう。
 犯罪者に間違えられた男の悲劇をリアルに描いている。

ニューヨークのクラブで働くミュージシャンののマーニーは、貧しいながらも平穏な毎日を送っていた。

家に帰ると愛妻ローズは治療費が嵩んでしまったと心配している。

 マーニーは妻のための歯の治療費を借りようとローズの保険証書を持って保険会社のオフィスを訪れる。
 しかし、そのオフィスに2度も強盗に入った男にマーニーがそっくりだったため、警察に連行されてしまう。

目撃者たちによる目視確認が行われる。

 さらに、犯人の残したメモと似た筆跡が行われる。これらは容疑者として認めざるを得ないことになる。

マーニーは強盗容疑で留置所送りになる。

義弟の尽力によって巨額の保釈金が払われ、マーニーは自宅に戻る。

紹介された弁護士 オコナーによって事件当日のアリバイを証明してくれる証人を探すがすでに亡くなっていたりして確実な証人を探せない。

マンハッタンなどのロケ地を廻り、2人の夫婦はなんとか証人を探そうとするが果たせない。

ローズ「何をしようと、不利に運ぶだけよ。いくら無実でも、彼らはあなたを犯人だと。
全て彼らの手中にあって逃げられない。」妻ローズは、精神を病み 入院することになった。

 裁判所ではマーニーが犯人だとする証言が相次ぐ。
 ついには弁護士オコナーは陪審員に問題があるとして裁判を一からやり直すと言い出す始末。判事もそれを認める。

 

【感想】本当に、自分が強盗犯として間違えられ。不利な状況下で罪が確定されていってしまうという事態が
起きるのを考えると、本当に恐ろしい。
 「冤罪(えんざい)」は古くて新しい問題であるが、この映画が作られた当時は科学捜査も進んでおらず、
悲劇は他でも起こったと考えられる。

 やはり、科学捜査を始めとする地道で精査な捜査を積み上げていくことが肝要ではないか。 DNA鑑定は現在大きな
武器となっているが、当初は僅かとはいえ、誤りもあったと聞く。
    AIを活用する方法も行われ始めたようだが、真理を追究する捜査をますます進めて欲しい。

     最後の最後で映画はほっとする解決を迎える。 

 それは、マーニーとそっくりな真犯人が同様な強盗事件を起こし、店長に
取り押さえられ、これまでマーニーが犯人だと言っていた多くの目撃者がこの男が真犯人だ認め、解決する。
 マーニーは喜び入院中のローズに報告するが病は癒えず、退院したのは2年後だったという。 
 その後一家はフロリダで幸せに暮らしていることが紹介される。

   (了)


映画「ウエストサイドストーリー」・・・スティーブン・スピルバーグ監督 封切り版

2022-02-21 | 映画

 巨匠スティーブン・スピルバーグ監督が〈伝説〉のミュージカルを映画化。
「マンボ」「トゥナイト」「マリア」「アメリカ」「サムホエアー」「クール」など不朽の
ミュージカル・ナンバーがダイナミック且つスタイリッシュに蘇る。

【脚本・製作指揮】トニー・クシュナー
【監督・製作】スティーブン・スピルバーグ
【撮影監督】ヤヌス・カミンスキー
【音楽】シモン・ボリヴァル指揮ニューヨーク・フィル他
【配役】
  トニー・・・アンセル・エルゴート
  マリア・・・レイチェル・ゼグラー
  アニータ・・・アリアナ・デボーズ
  ベルナルド・・・デビット・アルバレス
  リフ・・・メイク・フェイスト
  チノ・・・ ジョシュ・アンドレス・リペラ

  ダンス・アット・ザ・ジム:マンボ The Dance at the Gym: Mambo

 前作の体育館のダンスシーン。その中の中心的な曲がマンボ。
 バーンスタインのウエストサイドストーリー(組曲)の中にマンボが入っていた。
 このマンボの演奏で名を馳せたシモン・ボリヴァルの演奏。この映画のニューヨー
 クフィルの指揮者をしている。

  マリア Maria

 鉄製の屋外階段からマリアを訪れるトニー。「ロミオとジュリエット」、ヴェローナの
ジュリエットの部屋のヴァルコニーと言ったところである。

   歌詞のなかの「Beautiful sound ofIevver heard,Maria」との言葉が50年以上経った今も
 頭の中に残っていて響き渡る。

  トゥナイト Balcony Scene (Tonight)

 トニー(左)、(右)
 前作では、当時ラジオで(今ならSNS?) で数限りなく流されていた曲である。

    アメリカ America

 前作のウエストサイドストーリーのアメリカは、ビルの屋上のシーン。アニータ(リタモレノ)の踊りはすばらしく、
最も印象的であった。
 今回のシーンは大きな通りの交差点。この映画の中ではアップした画面がさらに最高の見せ場となつた。

アメリカでのベルナルド(左)とアニータ(右)

 マリアとトニーのデート、地下鉄に乗ったり、教会に寄ったりする。本作映画の新しいシーンである。

 ワン・ハンド、ワン・ハート One Hand, One Heart

 クロイスターズ美術館内にあるゴシック様式のチャペルでマリアによって歌われる。 
 音楽はリメイク版ということで、バーンスタイン作曲のものが用いられているかが
 この映画のために作曲された唯一の曲?

 ■ 今回と前回の比較

  ①前回の方が時間をかけて丁寧に作られている。
  ②スピード感と音響効果は今回が上。
  ③女性が入る踊りは、今回の方が迫力がある。
  ④男性だけの踊りは,前回に比べると統制が取れていない。
  ⑤今回はウエストサイドの街が再開発中ということで、街が乱雑なのは残念
  ⑥ウエストサイドストーリーはアメリカ版「ロミオとジュリエット」と言われるが
     ト ニーとマリアのラブシーンは力を入れて作られている。

(了)


映画「東京物語」・・・ 名匠 小津安二郎監督作品 4Kデジタル修復版

2022-01-23 | 映画

                                                                                      wowow 2022/1.23

名匠・小津安二郎の代表作で、東京で暮らす子どもたちを訪ねた老夫婦の姿を通し、
戦後日本における家族関係の変化を描いた不朽の名作。ローポジションやカメラの固定といった
“小津調”と形容される独自の技法で、親子の関係を丁寧に描き出す。

 尾道で暮らす老夫婦・周吉ととみは、東京で暮らす子どもたちを訪ねるため久々に
上京する。しかし医者(医学博士)の長男・幸一も美容院を営む長女・志げもそれぞれの
生活に忙しく、両親を構ってばかりいられない。唯一、戦死した次男昌二の妻・紀子だけ
が彼らに優しい心遣いを見せるのだった。

【監督】 小津安二郎
【脚本】 野田高梧、小津安二郎
【撮影】撮影 厚田雄春
【製作】松竹 1953年 2時間16分

【配役】
 平山周吉・・・笠智衆  尾道に妻と次女と共に暮らしている。
 とみ・・・東山千栄子       周吉の妻。
 紀子・・・原節子           戦死した次男の妻。アパートで暮らしている。
 金子志げ・・・杉村春子  周吉の長女。美容院を営む。         
    平山幸一・・・山村聡     周吉の長男。内科の医院を営む。
 文子・・・三宅邦子         幸一の妻。
 京子・・・香川京子     周吉の次女。小学校の教員。
 平山敬三・・・大坂志郎      周吉の三男。国鉄に勤務している。
 服部修:十朱久雄           周吉の旧友      
 沼田三平・・・東野英治郎    周吉の旧友。

【あらすじ】

東京に着いた日の顔合わせ、手前 平山周吉(笠智衆)・平山とみ(東山千栄子)
後列左から 平山幸一(山村 聰)・平山文子、紀子(原節子)、金子志げ(杉村春子)。

             熱海の海岸で話をす周吉ととみ

 幸一と志げは金を出し合って両親を熱海に送り出す。しかし志げの選んだ旅館は
品のない安宿で、夜遅くまで他の客が騒いでいるため二人は眠ることができない。
翌日、二人は尾道に帰ることに決め、予定を切り上げていったん志げの家に戻る。
ところが志げは、今夜は同業者の集まりがあるのでもっと熱海でゆっくりしてきて
ほしかったと迷惑そうな態度を取る。

 ふたりは「とうとう宿なしになってしもうた」と言いながら今夜泊まるところを思案し、
狭い紀子のアパートにはとみだけが行くことにする。
 紀子ととみは親しく語り合い、紀子の優しさにとみは涙をこぼす。
一方周吉は尾道で親しくしていた服部(十朱久雄)を訪ねるが、服部は家に泊める
ことはできないから外で飲もうと言い、やはり尾道で親しかった沼田(東野英治郎)にも
声をかけて三人で酒を酌み交わす。結局周吉はしたたかに酔い、深夜になってから
沼田とともに志げの家に帰ると、ふたりとも美容室の椅子で眠り込んでしまう。
志げは夫に対して父への文句をぶちまける。

 翌日、皆に見送られて帰路の列車に乗ったふたりだったが、とみが体調を崩し、大阪で途中下車して
三男の敬三(大坂志郎)の家に泊めてもらう。回復したとみと周一は、子供たちが優しく
なかったことを嘆きながらも、自分たちの人生はいいものだったと語りあう。

ふたりが尾道に帰ってまもなく、母が危篤だという電報が届き、三人の子供たちと紀子
は尾道にかけつけるが、とみは意識を回復しないまま死んでしまう。 

   葬儀の朝、海岸を眺めていた周吉に 敬三が倉敷に戻ってきたと呼びに来る紀子。
「今日の朝焼けは美しかった。昼は暑くなりそうだ」と語る周吉。

とみの葬儀が終わった後、幸一、志げ、敬三の三人は紀子を残してさっさと帰ってしまい、京子は憤慨するが、
紀子は義兄姉をかばい、若い京子を静かに諭す。

 紀子が東京に帰る日、周吉は紀子の優しさに感謝を表し、早く再婚して幸せになってくれと伝えて、
妻の形見の時計を渡す。紀子は声をあげて泣く。

小学教員の三女の京子は、紀子の乗っている東京行きの列車の時刻を測っている。

そして、教室の窓から東京行きの列車を見送る。

 帰りの車中で周吉から貰った時計を手にする紀子。

【感想】落ち着いた表現で丁寧に描かれた作品であり、出演者の気持ちが
  よく伝わって来る。出演者は適役で演技も素晴らしい。
  名画にふさわしい内容といえる。 
    ポスターには「香り高き詩情 美と哀愁の芸術作!」とあるが看板に偽りはない。
    「美」というのは、作品全体の雰囲気を言っているのだろうが、私には原節子、香川京子
  の二人の美人女優があてはまるように思えたので二人の場面を追加した。

(了)


映画「晩春」・・・ 名匠 小津安二郎監督作品 4Kデジタル修復版

2022-01-19 | 映画

 

                                   wowow 2021/1/17

小津安二郎監督が広津和郎の小説「父と娘」を原作に父娘の絆を描いた名作ホームドラマ。
小津監督が娘の結婚や親の孤独を題材にした初めての作品で、その後の小津作品の作風を決定づけた。
1949年度の「 キネマ旬報 ベスト・テン」の日本映画部門で1位に輝いている。
  日本国外でも非常に高い評価を得ており、英国映画協会(BFI)選定の2012年版「批評家が選ぶ
史上最高の映画トップ50」で15位となっている。

【監督】 小津安二郎
【原作】 廣津和郎「父と娘」より
【脚本】 野田高梧、小津安二郎
【撮影】撮影 厚田雄春
1949年製作/108分/松竹

【配役】
 曾宮周吉 ・・・ 笠智衆
 紀子 ・・・原節子
 北川アヤ ・・・月丘夢路
 田口まさ ・・・杉村春子(文学座)
 勝義 ・・・青木放屁
 服部昌 ・・・宇佐美淳
 三輪秋子 ・・・ 三宅邦子
 小野寺譲 ・・・三島雅夫

【あらすじ】
  大学教授の周吉は早くに妻に先立たれ、娘の紀子と2人きりで鎌倉に住んでいる。
いまだに独身の紀子を心配する周吉だったが、周吉の妹まさが縁談を勧めても紀子は頑なに受け入れ
ようとしない。周吉はそんな紀子に、自分も再婚を考えていると告げる。

【感想】
 この映画は公開が戦後4年しか経っていない時期のものである。この時代はまさに貧困の時代で、
多くの人が満足に食物すら取ることが出来なかつた。服装、住居も勿論である。
 そして、この映画を見て、裕福な理想の家庭を思い浮かべたことだろう。

 紀子のなんでもない服装にも優雅さを感じさせる。イチゴの大きなショートケーキも手に入らない貴重品である。

 従って、この映画に描かれているのは,本当に裕福な人々の人の話である。
また、個人がカメラを持つことも考えられない時代だった。映画の中でも結婚式の記念写真を珍しそうに見ている場面がある。
 お見合いの場は能楽堂というのも裕福な人達しか出来なかったことだろう。電話は一般家庭には普及していない時代である。
 銀座でバイオリンの演奏会を聴くというのも同じである。映画では「巌本真理 提琴 独奏会」となっていた。
ピアノ伴奏もないみたいです。

 鎌倉の七里ヶ浜をサイクリングする紀子と服部(周吉の部下後に別の女性と結婚)
 このシーンも、将来はこうしたことも出来るようになるのかなということ。

周吉は紀子に見合い話を進めようとする。

 紀子の花嫁姿。いかに戦後まもなくとはいえ、さすがに三つ指を立てて別れの挨拶を告げる紀子の美しさは
特筆すべきものである。

 映画の撮影は当時の撮影機材の可搬性の問題もあり、ローアングルでの固定である。
それがかえって、この映画の安定感を印象づけている。カメラワークも苦労したと思う。
その撮影手法の一部が現在にも引き継がれているのではないだろうか。
 封切りしてから70年以上、経過してしまったけれど、ホームドラマとして、あまり違和感を感じない
のは不思議なことでもあり、素晴らしいことだと思う。映画が封切られた当時の方が明るい未来を感じ、
夢見ることがことができたのではないか。


映画「あなたの番です」劇場版

2021-12-28 | 映画

2019年日本テレビで放映され、SNS や Yutube で謎解きが白熱化し、Twitterで世界トレンド1位を5度獲得したテレビドラマ。
これを日本テレビが映画化した。

             出演:原田知世 と田中圭 他

 平穏な日々をおくる菜奈と翔太は、引っ越して2年後、晴れて結婚!
住民会を通じて仲良くなったマンションの住人たちを招待して
船上ウェディングパーティーを開催することに。
幸せいっぱいの菜奈と翔太と住人たちを乗せて出港するクルーズ船カッチャートーリ号。
そして、起こる、連続殺人…!

   この中に殺されてしまう人が何人か・・・。そして犯人もいる。そこには、思わぬ殺意が交錯している…!!?

 謎解きに乗り出す、菜奈と翔太(中央)と住人たち。

 テレビドラマとは異なり、映画化したため資金が豊富になった?ためなのか。
 豪華クルーズの逃げ場のない船上で、一人、また一人と殺されていく。殺人事件はとても派手な演出となっている。
なぜこれほどまでゲーム化されたストーリーになったのかは知るよしもないのだが・・・・
 若い人向けのショー的な映画作品と言えるのかも知れない。


映画 ライフ・イズ・ビューティフル

2021-12-10 | 映画

                                   2021/12/7 NHK BS シネマ

 アカデミー賞3部門(主演男優賞、作曲賞、外国語映画賞)を受賞。
数々の映画賞に輝いたイタリア映画。ユダヤ系イタリア人のグイドは、
美しい女性ドーラと出会って結婚、子供と3人で幸せに暮らすが、第2
次世界大戦で駐留してきたナチスによって強制所へ送られてしまう。過
酷な日々の中で、グイドは幼い息子を悲しませまいと、「これはゲーム
だ」とユーモアを忘れず,生きる希望を与え続けるが・・・。監督・主演・
脚本を手がけたロベールト・ベニーニが絶賛された感動の名作。

【監督・脚本】ロベルト・ベニーニ
【音楽】ニコラ・ビオパーニ
【出演】
   グイド ・・・ ロベルト・ベニーニ                 
   ドーラ ・・・ ニコレッタ・ブラスキ
  ジョズエ・・・ ジョルジオ・カンタリーニ
【製作国】イタリア
【原題】La vita è bella 、 Life Is Beautiful (英題)
【製作年】1998 イタリア語  1時間57分

グイドとドーラの初めての出会いは、ドーラが農家の二階から麦わらの中に落ちて来て、
蜂に刺された足の毒をグイドが吸いだすことから

 ドーラは良家のお嬢様(グイドはお姫様と呼ぶ)で、小学校の先生。

 グイドはドーラ小学校へのローマからの視察官に化けて、本物の視察官の到着前に、
バーフォーマンスを行う。左が校長右一人置いてドーラ。ドーラに日曜のオペラの鑑賞の予定を聞き出す。

オペラはオッフェンバック作曲「ホフマン物語」。舞台はベネチア。有名な4幕の「ホフマンの舟歌」
が歌われる。ゴンドラも登場。

グイドは、オペラはそっちのけで、ドーラがじぶんの方を向くようにまじないをかける。
右側の性の女性に「自分は左側しか聞こえない」と言いながら・・・。

市役所の幹部との結婚が進み婚約の式まで行われたのに、駆落ち同然のようにして、
グイドはドーラと結婚し、ジョズエが生まれる。ここまでは、とても幸せな家族三人であったが。

グイド(中)とジョズエ(左)は強制収容所行きの護送列車に乗せられる。二人はドーラが
列車に乗り込むのを見守る。

強制収容所についた列車。収容所にイタリア系ユダヤ人が降ろされる。

 グイドはジョズエに「これからゲームが始まるんだ」と元気づける。

 強制収容所の一室に二人は入れられる。

ジョズエからは思わず、本音が・・・。

 これはゲームなんだ。泣いたり、ママに会いたがったりしたら減点。
いい子にしていれば点数がもらえて、1000点たまったら勝ち。勝ったら、
本物の戦車に乗っておうちに帰れるんだ」。

グイドは強制収容所の辛い仕事をこなしていく。

グイドとジョズエ強制収容所の放送施設に忍び込み、お姫様(ドーラ)に語りかける。

放送施設から、収容所全体に二人の放送が流れる。

二人の放送が流れ、僅かな時間ではあるがドーラに安堵の表情が・・・

 たまたま、配膳が狩りになったグイドは食堂内のレコードから「ホフマンの舟歌」を見つけ出して収容所全体にながす。

夜の時間に「ホフマンの舟歌」は再生される。

その曲を聴き、当時のことを思い浮かべるドーラ。

収容所の老人や子供達はシャワー室(ガス室)に連れて行かれ、いなくなっていく、ジョズエは隠れ通し、危機を乗り越えて行く。

 そして終戦でドイツ軍は撤退。強制収容所がなくなると分かったグイドは錆びたロッカーにジョズエに最後の隠れ場所を与え、「誰もいなくなったら外に出る」ようにと伝える。

ロッカーの外を見ると

グイドが機関銃を突きつけられ連行される姿を見る。ウィンクをし踊るような陽気な仕草で・・・。
その後、グイドはドイツ軍の「憂さ晴らし」のため、見えないところで射殺されてしまう。

誰もいなくなった収容所。錆びたロッカーから出たジョズエ。

連合軍がドイツ軍の強制収容所に入ってきた。グイドが常々言っていた「ゲームに勝て
ば戦車が家に送ってくれる」ことが現実になった。

収容所から解放され、故郷に戻る人々。

 戦車の中から母親のドーラを見つけ再会する。「1000点取ったよ」「ゲームに勝ったんだ」と喜ぶジョズエ。

 「父が命をかけた私への贈り物」「これが私の物語である」と終わる。

【感想】
  強制収容所という死まで繋がった極限までに恐ろしい世界、そこになんとか、喜びを見
つけ励ましていこうという姿。明るく生きていこうとする姿。将来を見据えた、子への、
妻への配慮も際立っている。
  全編を通して描かれるロべルト・ベニーニ演じるグイドの愛らしいキャラクターはイ
タリア人らしい持って生まれた天性のものと片付けるのは簡単だか、心に深く染み入るも
のがあったのは事実である。


愛と追憶の日々

2021-11-03 | 映画

                             NHK BS シネマ 2021/11/02

 シャーリーマックレーンとデブラ・ウィンガー、共演。強い絆で結ばれ支えあってきた母の娘の人生を
愛と笑いで綴り、アカデミー作品賞を受賞した感動作。

【製作・監督・脚本】ジェームズ・L・ブルックス
【原作】デリー・マクマ・リー 
【撮影】アンジェイ・パートコウィアク
【音楽】マイケル・コア
【出演】
      オーロラ・グリーンウェイ・・・シャーリーマックレーン 主演女優賞
   エマ・グリーンウェイ・・・デブラ・ウィンガー
   ギャレット・ブリードラヴ・・・ジャックニコルソン 助演男優賞
   サム・バーンズ・・・ジョン・リスゴー
   フラップ・ホートン ・・・ ジェフ・ダニエルズ
【製作国】アメリカ 1983 1時間12分
【原題】TERMS OF ENDEARMENT

 強い絆で結ばれた母と娘の人生を愛と笑い。涙で綴る感動のドラマ。
夫を早くに亡くしたオーロラは,母とエマと2人、ときにはけんかをしながらも、
互いに支えあって生きてきた。
 ところが成人したエマは、オーロラの反対をよそに結婚、故郷を離れることになってしまう。
 一方、隣には元宇宙飛行士が引っ越してくる。
    そしてある日、三人の子持ちのエマには深刻な事態が・・・。

 

このカラー版のビデオはあらすじは分からないが、このドラマの雰囲気がとても良く出ている。音楽がとても美しい。

      ギャレットとオーロラ

【感想】  家庭内の出来事が何かと起こる日々を綴っている。そうした日々を共感を持って知ろうとすることは
どうも私には不得手なことであるのだが。


映画「無法松の一生」

2021-10-10 | 映画

                                                                                                 2021/09/7 NHK BSシネマ

 "阪妻(バンツマ)"の愛称で親しまれた日本映画の大スター・板東妻三郎(1901-1953)
の代表作のひとつで、岩下俊作の小説「富島松五郎伝」の最初の映画化がとなった名作。
北九州・小倉を舞台に,無法松と呼ばれる人力車夫・松五郎の献身と純愛を描く。
 粗野だが人情味あふれる松五郎を演じる阪妻の名演技、撮影を手がけた宮川一夫の
繊細で大胆なカメラワーク、稲垣博監督の演出は圧巻で、日本映画史上に燦然と
輝く名作となっている。

 映像と音声を最新技術で修復した4Kデジタル修復版での放送。

【監督】 稲垣浩
【原作】 岩下俊作
【脚色】 伊丹万作
【撮影】 宮川一夫
【音楽】 西悟郎
【製作】 東宝、1943、白黒

【出演】
 富島松五郎・・・阪東妻三郎 (人力車夫)
 結城重蔵・・・月形龍之介 (土木請負 親分)
 吉岡小太郎・・・永田靖 (陸軍大尉)
 夫人よし子・・・園井恵子
 吉岡敏雄・・・川村禾門
 敏雄の少年時代・・澤村アキヲ(長門裕之)
   撃剣の先生(若松警察師範)・・・山口勇

 

明治から大正にかけての九州小倉を舞台にして,無鉄砲さのために
〈無法松〉と呼ばれた人力車夫松五郎(阪東妻三郎)が,ふとした縁で
知りあった軍人の未亡人とその息子に一生をささげる純愛・献身の物語で
ある。
人間の素朴な美しさや悲しさ以上に,極度に抑圧された恋愛を描いた小説で、
映画のシナリオは日本映画の名作の1本に数えられている。

松五郎が車を引いて帰る途中、価格交渉で回り道なので値段を高く告げると値下げしろと相手に言われ
断ると車に手をかけたので、松五郎が殴りかかると持っていた木剣で頭を割られる。相手が撃剣の若松警察師範であった。
木賃宿で3日間寝込んでいたが、喧嘩ぶりとその間に食べたうどんが16杯だったというのが武勇伝。

芝居小屋で車引きの法被を名刺代わりに、これまでのように顔パスで入ろうとするが木戸番に断れる。

 嫌がらせに、仲間と芝居小屋の枡席で、酒の肴として、ニンニクを炊事、周囲を困らせる。
 木戸番達が押し寄せてきて、大喧嘩になる。

 結城重蔵の仲裁で、観客に迷惑をかけたことを素直に謝ったので、「意気と侠気」があり、
「顔を立ててくれた」と結城には㝖ばれる。

 松五郎は堀に落ちて怪我をした少年・敏雄をを助け、陸軍大尉の吉岡小太郎邸に連れてくる。
さらには、よし子夫人の了解を得て、医者に連れて行く。ただ、お礼は固辞した。

 後日、吉岡小太郎大尉が「無法松」の噂を聞いて知っているとのことで、自宅で接待をする。
 松五郎は「謡い」を披露するなどし、気に入られる。
 しかし、大尉は雨天の演習で風邪を引き、急死する。


  吉岡小太郎の墓に手を合わせる松五郎。

  夫人のよし子は敏雄が気が弱いことを心配し、松五郎を頼りにする。松五郎は
「学問のない、車引き」が出来ることではないといいながらも、吉岡家に出入りするようになる。

 「福岡県立小倉工業学校 秋季大運動会」の棒倒し、松五郎はよし子夫人、敏雄の前で
 異様に大きな声で応援する。


 

運動会の会場で配られた号外、芳子夫人に読んで貰うと、飛び入りで500mの徒競走がある
ことが分かり、松五郎は参加し、一等賞となる。敏雄も我がことのように興奮する。
その姿を見て夫人もまた、敏雄の身に良いことが起きたと感銘する。


 節分豆まき、 風呂屋での水泳、など松五郎は、その時々に男らしさを表現し、夫人と敏雄に
献身的に尽くしていく。
 やがて敏雄は小倉中学の4年生になり、青島陥落を祝う提灯行列の日に他校の生徒と喧嘩(偽装?)
をすることになる。
 松五郎は敏雄が喧嘩をするような年になったかと喜び、危険を感じて逃げようとする敏雄の喧嘩に加勢する。
 一方、夫人はそのことを知っていてハラハラし神棚に祈り続ける。

 その後、敏雄は五高に入学、熊本に旅立つ。
 ボンボンと呼んで親しみを持って育ててきた敏雄との生活は疎遠になっていった。

 小倉祇園太鼓の日、夏休みのため敏雄が五高の先生を連れて帰省した。本場の祇園太鼓を聞きた
がっていた先生の案内役をしていた松五郎は、山車に乗って撥を取り太鼓を打つ。流れ打ち、勇み駒、
暴れ打ち。長い間、聞くことのできなかった本場の祇園太鼓を叩き、町中にその音が響いた。
これが、松五郎の最後の晴れ姿となった。

  その後、松五郎は夫人に対する思慕を打ち明けることもできず、彼女のもとを去り、酒も飲まずに
精神的に尽くしてきた日々が終わりとなり、雪降る日に倒れる。
  遺品の中には、夫人と敏雄名義の預金通帳と、吉岡家からもらった祝儀が手を付けずに残してあった。
これらが夫人の前で披露された後、結城重蔵の「珍しく気っぷの良い男だったな」
との一言があった。

 【感想】大分古い映画で、表現方法が現在とは異なる面があるが、松五郎の軍人の未亡人
  への献身と純愛は、他には例が無く灌漑深く、胸を打つ。

  また、よし子夫人役の園井恵子が広島の原爆で落命したのは悲しく、残念なことである。


映画「駅馬車」・・・ ジョンフォード監督

2021-10-04 | 映画

                              2021/10/1  NHK BSシネマ

 ジョン・ウェインと巨匠ジョン・フォード監督、名コンビの原点となった傑作西部劇。
モニュメント・バレーを疾走する駅馬車に乗り合わせた乗客の様々な人間模様、
アパッチの襲撃、無法者との決闘を描く。ダイナミックなアクションと映像美、
繊細な人間描写・・・。
映画を知り尽くした演出は、今なお世界中の映画作家に影響を与えている。

【製作・監督】ジョン・フォード
 【出演】ジョン・ウェイン ・・・リンゴ・キッド
     トーマス・ミッチェル・・・ 医者ブーン
     クレア・トレパー ・・・ 娼婦ダラス
           ルイーズ・プラット ・・・貴婦人 ルーシー
     ジョン・キャラダイン・・・賭博師ハット・フィールド
           バートン・チャーチル・・・銀行頭取ヘンリー
           ドナルド・ミーク・・・酒商人ピーコック
        ジョージ・バンクロフト ・・・保安官カーリー
           アンディ・ディバイン・・・御者バック            
  【製作】アメリカ、1939年 白黒1時間37分
  【原題】STAGECOACH

  モニュメント・バレーを疾走する駅馬車と騎兵隊
   美しい景色と駅馬車の疾走感が素晴らしい。

   ステーション・・・ドライフォーク に到着した駅馬車
        ここにいた夫のマロリー騎兵隊中尉が傷つきローズバークに運ばれたと聞いた
  ルーシーがショックで産気づいたため、ここで一行は足止めを余儀なくされ、急遽
  飲んだくれの医者、ブーンがコーヒーをがぶ飲みし正気となり、ダラスが看護婦
  として女児の出産を成功させる。

 ダラス(右)が抱く女児をみて、乗客仲間は喜ぶ。

  この夜、リンゴはダラスにプロポーズする。リンゴは敵討ちを止めて、メキシコに逃げようとするが山の
向こうにアパッチの狼煙を発見し、川を渡ってローズバーグを目指ざるを得なかった。
しかし、ローズバーグへの川の渡し場は全体が焼き討ちに遭っていた。

 なんとか筏を作って駅馬車を載せ川を渡ってローズバーグを目指そうとした。
 現場でのアパッチの襲撃はなかった。ただ、ハットフィールドだけは光信号のようなきらめきを見ていた。

 目的地のローズバーグが近づき、無事を乾杯しようとブーンが声をかけた途端、
アパッチの矢がピーコックの胸に突き刺さる。

駅馬車は、大群のアパッチの襲撃を逃れ、乾燥湖(カルフォルニア州)を疾走していく。

 乾燥湖でアパッチとの熾烈な戦闘となり、御者バックが右腕を負傷したため、
リンゴは駅馬車を引く先頭の馬に乗り移って行き、先頭馬の手綱を引く。

 アパッチ族も打たれて落馬し引きずれて死んでいく。リアルな戦闘場面である。

 やがて駅馬車のメンバーの弾も尽き、ハットフィールドの銃もあと一発で終わりとなった時、
 ハートフィールドは貴婦人に辱めを与えまいとルーシーを撃とうとする。
 しかし、アパッチに自分が撃たれる。

 その時、ちょうど騎兵隊の救助隊が到着する。 危機一髪で駅馬車は難を逃れた。結局一人の犠牲者と
二人の負傷者とだけでローズバーグに向かう。

 駅馬車の一行はローズバーグに到着する。
 リンゴは父と弟の敵討ち・・・ローズバーグ無法者(ルークを筆頭とするプラマー三兄弟)との決闘との場に臨む
 奥に3兄妹、手前はリンゴ

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【駅馬車に乗り合わせた乗客の人間模様客】
   前半部分は意外に長く、立場も目的も違う9人の前には、皆が恐れるインディアンも現れない。
  それぞれに異なるキャラクターがあり、興味と親しみも持てるようになって来る。
                              
【戦闘シーン】
 後半部は急に激しい戦闘シーンが現れる。これは恐ろしくリアルで迫力がある。
当時は実写であることを考えるとスタントマンは命がけであったろう。
 現代ではCGで済まされてしまうところだ。当時は映画技術を駆使して完成させたものであろう。
 この実写であることが、現代まで長く名画として評価され続けてきた。

  また、一瞬の決闘シーンも名場面となっている。

【西部劇】
    巨匠ジョン・フォード監督の映画史に残る不世出の名作西部劇で
 「駅馬車」は徹底したエンターティンメント、もう一つ「荒野の決闘」は芸術作品として並び称されている。

【アカデミー賞】
  1939年、7部門にノミネートされ、酔いどれ医師に扮したT・ミッチェルはアカデミー助演男優賞、
また音楽賞を受けた。

  しかし、この年には『風と共に去りぬ』があり、作品賞は13もの賞にノミネートされ、8つの賞を獲得した
『風と共に去りぬ』が受賞した。

(了) 


シャーロック・ホームズの冒険 ・・・ まだらの紐

2021-09-18 | 映画

 NHKで始まっている、シャーロックホームズのドラマシリーズ(全41回)。
世界中の人々に愛されている探偵物語です。今回放映された「まだらの紐」は、
作者コナン・ドイルが一番気に入っていると言った作品です。
 

【あらすじ】

朝早く、ヘレンという女性がおびえた様子でシャーロックホームズの所へやってくる。
義父のロイロットと暮らす彼女は結婚を控えているが、同じように結婚を控えていた
姉ジュリアが2年前の嵐の夜、謎の死を遂げる。

 姉ジュリアは夜中に聞こえるという口笛に悩まされており、嵐の夜「まだらのバンド」という謎の言葉を言い残し、
苦しみ、もだえながら死んでいった。その意味は謎のままである。体にはなんの傷もなかった。
 その部屋は扉は内側から鍵がかかり、窓には太い鉄の棒がついたよろい戸が降りていた。
 また、壁も床も変わったところはなかった。

 そして2年経った今、ヘレンが屋敷の改築のため寝室が使えなくなり、仕方なく姉の部屋で寝ていると、
やはり真夜中に口笛が聞こえてきたという。
話し終えたヘレンは,その時の恐ろしさを思い出したらしくわなわなと震えていた。
 
   ホームズは「たいへん難しい事件です。今すぐ出かけて、お父さんに気づかれぬように,そっと部屋を調べることが
出来ますか?」「父は、今日は一日留守にするから大丈夫と思います」とヘレン。

一息ついた途端に、入口のところに大男がにゅっと立ち、「ホームズはどこだ」「お節介者の、出しゃばりめ」
と大声を出す。ヘレンの義父であるロイロット博士だった。
「この警視庁スコットヤードの木っ端役人め!我が家のことで余計な口を出すな。
わしを敵に回すとただでは済まぬ」と一歩前に出て暖炉の火かき棒をねじ曲げた。

 その後のホームズの調べで、母親の遺産は当初は年間1100ポンド・・・これならば豊かであるが、
それが農産物の目減りで750ポンド、姉・妹に3分の1づつ分割すると、ロイロット博士は今は無職なので
貧乏人に転落してしまう。

「医者の豊富な知識を悪事に使うと恐ろしい犯罪となる」とホームズ

 問題となっている寝室の外側を調べるホームズ。

部屋の内側、2年前に付けられたという「呼び鈴の紐」換気口に繋がれていて本来の役目を果たしていない。

 床を調べていくと、ベッドがちょうつがいで固定されていた。

 隣のロイロツトの部屋、金庫の上部にはミルク皿が置いてあった。

 その夜は、ヘレンは昔の部屋に移り、ホームズとワトソンは入れ替わりでヘレンの寝室で待機する。

 外には、インドから取り寄せたヒヒが放し飼いに。

  狩猟用の豹〈ひょう〉も放し飼いにされている。

*************** 以下はネタバレ注意 ***************

 隣の部屋の「換気口」から「呼び鈴の紐」を介して渡ってくる毒蛇を棒で叩くホームズ。

ヘビは叩かれて興奮したのか、もと来た換気口から隣の部屋に戻り、飼い主のロイロットにかみつき、
ロイロットは即死する。

こちらは、2年前に毒蛇にかまれて無念の死を遂げた姉ジュリア。この時はかみついた後、口笛で
もと来た場所(ロイロットのいる場所)に戻った。

***************** 問題点 ********************
  てんとう虫ブックス〈小学館〉まだらのひも 1988年8月20日 初版本 より
****************************************
①ヘビは音を聞いたり、ミルクで調教出来るのか。
②ホームズにステッキで思い切り叩かれたヘビはなぜ下に落ちないで、もう一度
 もとのところまで帰えれたのか。
③噛まれたら10秒後には死ぬというのに,姉はなぜ部屋の外まで出てきて「ああ!ヘレン!」
などと叫ぶことが出来たのか。 
  との記載がありました。
 シャーロック・ホームズは100年ほど前に書かれた物語なので、一度犯人を知ってからも、
いろいろな読み方をして楽しまれてきたようです。

 【感想】このドラマは、本を何度か読んでいても、恐怖感があり、とてもスリリングで見ていて
充実感を感じることが出来た。原作にとても忠実で、イギリスの雰囲気も良く出ていてると思う。
  なお、ドラマでは触れられていないが、原作では「このあとの警察の取り調べは、いたって呑気で、
結局はロイロット博士は蛇に、間違って噛まれて死んだということでけりが付いた。
 しかし、その結論が出るまでにかなり時間がかかった」となっている。

(了)


科捜研の女 - 劇場版 -

2021-09-08 | 映画

                               2021/9/6 東宝シネマ・ららぽーと冨士見

1999年の放送開始から20年以上にわたり、人気ドラマとして愛され続けている「科捜研の女」。
常に最先端の技術を取り入れ、解決した事件は250を超える「科学捜査のミステリー」の世界が、
その集大成としてスケールアップし映画化された。

【脚本】 ・・・ 櫻井晴
【音楽】 ・・・ 川井憲次
【監督】 ・・・ 兼崎涼介
【出演】出演
  榊マリコ ・・・ 沢口靖子
  土門 薰 ・・・ 内藤剛志
  風岡 皐月・・・ 若村麻由美
  日野和正 ・・・ 斉藤 暁
  宇佐見裕也 ・・・ 風間 トオル
  橋口呂太  ・・・  渡部 秀
  涌田亜美 ・・・  山本 ひかる
  金田明夫 ・・・ 藤倉 甚一
  蒲原勇樹 ・・・ 石井一彰
  
  微生物学教授・・・ 加賀野 亘
  大学院生 森奈々枝 ・・・ 駒井蓮
    〃   森友希惠 ・・・ 水島麻理菜
 【撮影】東映 2021  1時間48分

【あらすじ】
   榊マリコを始めとする”科捜研(科学捜査研究所)” のスペシャリストたち、
捜査一課の土門刑事、解剖医の風間教授ら挑むのは「世界同時多発不審死多発事件」。
京都を皮切りに世界中に広がる死の連鎖。現代の科学では解き明かせないトリック
を操る「最強の敵」。数々の複雑な謎を解かなければ死の連鎖はとめられない・・・。

  京都洛北医科大学の研究棟に突如、悲鳴が響く、発見された白衣の遺体はウィルスを研究する女性科学者。
 転落する直前に解剖医の風岡教授が「助けて、殺される」と叫んでいるのを聞いていた。

   続いて、京都在住のウィルスの研究者が遺体となって発見された。

 マリコたちはなんとか殺人事件であるということを確認する。京都府警には「殺人の対策本部」が設けられ、
これまでのように、科学捜査を多面的に進めていく。

しかし、事件に結びつくはずの検出データが微量成分のため、思うように捜査は進展しない。

CTスキャナの脳のデータも事件の原因となった影響は出ているようだということが分かるのだが・・・。

  帝政大学の微生物学教授の加賀野亘は、「ダイエット菌」と呼ばれる腸内細菌を発見し世界規模
での実用化を目指しているのだが、マリコは死に至らしめる毒性があるのではという疑いを持っている。
 しかし、科学的な証明が困難となっていて壁にぶつかっていた。加賀野教授に話を聞くマリコ。

 加賀野教授の実験の被験者。中央、右は森奈々枝で、ダイエット菌を摂取している。左は森友希惠で摂取しない
被験者である。二人は一卵性双生児である。 

 加賀野教授の持つ現代科学の知識の最高難度のトリックを前に、”衝撃の最終実験”に臨むマリコ。

 燃えるような夜景の紅葉が鮮やかです。

【感想】劇場の大画面にふさわしい映像が撮影されていて、迫力十分でした。
 ふだんテレビ番組で見る「科捜研の女」より、背景の情報量量が多くなっていました。
 テレビカメラを変えたり、ドローンを使ったり、1カットシーンの時間を多く取ったりして、
 緊張感を増す努力をしたようです。効果は現れていました。
 誰もが「やはりテレビと映画とでは。表現出来る内容が違う」と感じると思います。
 一方、20年間という歴史を感じさせる歴代キャストたちが出演したということも良かった
と思います。私は一時期、一人のファンとしてずいぶんと「科捜研の女」の再放送番組を
見たものです。
 ですから、「ああ、あの時のあの人か!」と思い出したりもしました。

 ただ、日々の「科捜研」の地道な捜査とマリコの知識の冴えの積み重ねが事件を解決に導いて行く
といういつもの良さが出ていないような気がしました。
また外国まで手を広げて大げさにするのが良かったのかについても疑問が残りました。
 それは、テレビ番組とはひと味違うストーリーを作らねばならないという背景があったから
かも知れません。
 
 そのため、ラストの衝撃なシーンは確かに素晴らしいのですが、中間部のストーリー
の面白さがが少々抜け落ちてしまったような気がしました。

〈完〉


映画「山桜」

2021-09-02 | 映画

                                   2021/9/1 NHK BSシネマ

  藤沢周平の海坂藩を描いた短編小説を映画化した時代劇。
 家風に馴染めず、不幸な結婚生活を送っていた野江は、ある日、手塚弥一郎という武士に出会う。
 手塚は以前,縁談を申し込んだが、野江は会う前に断った相手だった。初めて会った手塚からの優しい言葉を支えに
 現在の夫、磯村との辛く苦しい生活をなんとか耐える野江。
 その後手塚は不合理な年貢に苦しむ農民を救うために自らを犠牲にして国を動かす事件を起こす。
 城内での刃傷ではあったが長期の投獄にとどまつた。野江は離縁し、藩主が江戸から帰り、
 手塚が許される日を手塚の母・志津と共に待ち続けるのであった。

【原作】藤沢周平
【監督】篠原哲雄
【出演】
  磯村野江・・・田中麗奈
  手塚弥一郎・・・東山紀之
  浦井七左衛門・・・篠田三郎
  浦井瑞江・・・檀ふみ
  手塚志津・・・富司純子
  諏訪平右衛門・・・村井国夫
【製作】日本、2008

 春咲きに実家に戻り、久しぶりに叔母の墓参りを済ませた野江。
 帰り道の丘の上にあった美しい山桜の花に手を伸ばすが届かない。

「手折って進ぜよう」その時、声をかけてきたのは、手塚弥一郎であった。
 別れ際に手塚は「今は、お幸せでござろうな」、「はい」と野江。
「案じておったが、それはなにより」と言い残して去って行く。

 3年ほど凶作が続き藩の財政が危うい時に乗じて、譜代の家柄の諏訪平右衛門は私腹を肥やしていた。
 また、取り巻きの多くがこの諏訪に取り入って儲ける算段をしていた。磯村もその一派であった。
 藩内のくすぶる不満や凶作で苦しい百姓の激しい申立も諏訪は握りつぶした。

 藩主が江戸詰めで留守の中、行き詰まる藩内の状況に手塚は、城中で諏訪平右衛門を襲い殺傷する。

 諏訪を切り捨てた手塚を「痴れ者」と罵った磯村に対し、野江は「言葉を慎みなさい」と言う。
 磯村は剣を野江に向ける。母親が止めに入るが。野江は磯村家を出て行くことになる。

 辛い磯村家の日々であったが下男の源吉は、畑仕事を野江に懇切丁寧に教えてくれた。源吉は別れを惜しみ
「お体を大切に」という。
 磯村家では内職もさせられて、裁縫を身につけることも出来た。生活力が付いたことにはなった。

一方、手塚は事件のあと、大目付の屋敷まで歩いて行く。申し開きは一切せず、長期の投獄という咎め
を受けることになる。

手塚の将来を祈り、「お百度参り」をする野江。

 手塚の留守宅を訪ねる野江。手塚の母親は温かく迎えてくれた、持っていった山桜の花は活けて
 床の間に飾ってくれた。

その頃、江戸詰めだった藩主が海坂藩に向かっていた。

【感想】古き日本の良さを伝える物語。静かに話は進むが1本芯の通った人達の生き方が感動的だった。
 浦井瑞江役は檀ふみは浦井家の品格が良く出ていたと思う。
 タイトルの黒幕の表示で、「難波田城址公園」と出て来た。これは埼玉県富士見市の公園。
 古い民家などが移築されている。隣の市にあるロケ地に使われたようで親しみが持てた。


映画「花のあと」

2021-08-25 | 映画

                             2021/8/24 NHK BSシネマ 

 藤沢周平の短編小説を映画化。海坂藩の要職を務める寺井家の一人娘・以登(いと)は
幼い頃から父の手ほどきを受けた剣の達人だった。
 以登は、一度だけの試合で剣を合わせて以来、下級武士で藩内一の剣士・江口孫四郎に、
ひそかに思いを寄せていた。
 ある日、孫四郎が幕府に対する江戸の使者となった折りに、自害したことを知る。
 以登は、許婚片桐才助の手を借りて事件の真相を調べると孫四郎の妻、加世の不倫相手である
藤井勘解由の卑劣な罠にかかって自ら命を絶ったことが分かる。
 以登は勘解由を呼び出して詰問しようとしたが、勘解由が口を封じようと刀に手をかけたため、
懐剣で一刺しに返り討ちする。 

【原作】藤沢周平
【監督】中西健二
【出演】以登・・・北川景子、
    江口孫四郎・・・宮尾俊太郎
    片桐才助・・・甲本雅裕
            江口孫四郎・・・宮尾俊太郎、
    藤井勘解由・・・市川猿之助
【製作】東映、2009  

 

 満開の桜の下で、江口孫四郎に声をかけられる以登。
 孫四郎に一度手合わせをしたいと申し出られ、以登は同意する。

  以登は、藩内一の剣士・江口孫四郎と竹刀での手合わせを父・寺井甚左衛門の立ち会いの下、行う。
 敗れはしたが以登は、孫四郎に竹刀を打ち込む中で胸を焦がしている自分がいることに気がつく。
 それは紛れもなく初めての恋心であったが、互いに家が定めた許婚がいるため、以登は孫四郎への想いを断ち切る。

 
 剣の手合わせのあと、孫四郎に茶を出す以登。茶道の礼儀・作法をばかりでなく、襖や障子の開け閉めなどの所作も美しい。
これは、登場する女性の多くに言えることで、当時の女性を魅力的に描いている。 

 月山(鶴岡市・・・日本百名山)をはじめとして、東北地方の桜の季節、新緑の季節、紅葉の季節、冬景色など、
その時々に応じて豊かな自然が描かれているのが魅力的である。

 父より孫四郎が江戸で自害したと聞き。悲しみに沈む以登

 この知らせの前後で映し出される雪景色。この寂しげな風景は、以登の心象風景か?


 

 藤井勘解由を河原に呼び出し、敵討ちに臨む以登。勘解由の取り巻きを3人すでに切り捨てたが、
この時、右手に怪我を負ってしまっている。

 敵討ちのあと、けがを負った以登に応急手当をし、後始末をする許婚の片桐才助。

【感想】一度、剣の手合わせをし魅力を感じるが、お互いに許婚がおり、以登はひそかに熱い思いだけを抱かざる
を得なかった。敵討を果たした後も心は晴れなかったようである。それは、題名の「花のあと」にも出ている・・・
 しかし、ラストシーンで語られる50年後、以登はたいへん幸せになっている。
 実は夫となった片桐才助はすごい男であった。
 北川景子の美貌は凜として爽やか。殺陣も見事だった。全般的に静けさをたたえる映画だが、詩情豊かな名画である。


映画「猿の惑星」

2021-07-10 | 映画

                                      NHK BSシネマ 2021/7/6

 宇宙飛行士テイラーらが不時着したのは、高度な文明と知識を持つ猿たちが支配し、人間は下等動物として扱われる惑星だった。
 テイラーは猿たちに捕らえられるが、その高い知能に興味を持った猿、ジーラ(獣医学博士)とコーネリアス(考古学者)の協力を得て脱出を試みる・・・。
 寓意と皮肉に富み,あっと驚く展開と、名優たちが特殊メークで演じる個性あふれる猿たちが人気となり大ヒットとなった作品。
 その後シリーズとなり近年も映画化されているSF映画の名作である。

【監督】 フランクリン・J・シャフナー
【原作】ピエール・プール
【製作】アーサー・P・ジェイコブス
【音楽】ジェリー・ゴールドスミス 
【撮影】レオン・シャムロイ
【出演】 船長テーラー・・・チャールトン・ヘストン
          ジーラ(チンパンジー、獣医学博士)・・・キム・ハンター
     コーネーリアス(ジーラの婚約者、考古学者)・・・ロディ・マクドウォール
     ザイアス(オランウータン、獣医学博士)・・・モーリス・エヴァンス
【製作】1968年 アメリカ 113分
【原題】PLANET OF APES

4人の宇宙飛行士を乗せてケネディ宇宙センターから飛び立った一隻の宇宙船が6ヶ月の宇宙飛行を経て、地球への帰還を目指していた。

船長テーラーは準光速航行が、ハスライン博士の時間の理論に従って船内時間が1972年7月14日、地球時間が2673年3月23日であることを確認し、
他の三人と同じように冬眠状態に入った。

 しかし、何らかのトラブルが発生し,とある惑星の湖上へと不時着した。着水と同時に冬眠装置が自動的に開き、
テーラー、ドッジ、ランドンの男性隊員は脱出したが、
女性隊員のスチュアートは装置の故障による空気漏れですでに死亡していた。

生き残った3人は,ゴムボートで川を遡り、砂漠を通り抜け、ジャングルに入り、滝のある沼にたどり着く、幸いにもこの惑星は、地球と同じような環境が保たれていた。

 この原始人なら征服者になれると思ったのもつかの間、銃で武装し、馬に跨がった猿の騎兵たちが現れる。猿たちは逃げ惑う人間に銃撃を加えて追い詰める。
 この時の銃撃でドッジは射殺され、ランドンは捕まり、テイラーは首に重症を負う。

テーラーは猿の”動物病院”で獣医のジーラ博士から手術を受ける。しかし、口を利くことが出来ないままとなった。

猿たちの街は、それなりの施設が整っている。

 ジーラ博士は、猿は元々人間から進化したものと考え、それを立証しようと考えていた。また、人間の脳の機能が解明されれば、猿の医療にも役立つと考えていた。
  そして、まずは文字で考えを伝えようとし、また言葉を発しようとするテイラーに興味を示していた。
  考古学者のコーネーリアスはジーラの学説には少し懐疑的であったが、タブーとされている「禁断地帯」を調査して、
これまでの審理とされてきた考えに疑問を持っていた。

 ジーラとコーネリアス及び言葉を話すテイラーの出現により、猿社会の科学アカデミーの臨時総会が開かれることになる。
 アカデミーの長老たちの考えは、「人間を脳手術の実験に使用するのはかまわんが人間自体に研究価値はない。
 我々の学べることなど皆無なのだ。」として猿社会の権威を守ろうとし、ジーラとコーネリアスをの異端的な言動を断罪しようとした。

  また、テイラーが言葉を発するかどうかを議論はせず、閉廷後は禁断地帯からやって来た、ミュータントと自白するように,
 そうでなければ、去勢と脳手術を施すと脅した。
 一方、ランドンは脳手術が施さ、廃人と化していたのだった。

 審理の結果、重い処分を下されたジーラとコーネリアスは自ら「禁断地帯」に向かい異端の無実を証明しようと決意し、馬車を仕立てて出発する。
 テーラーにはジーラの甥のルシアスが助けにやって来た。テーラーもノバを伴い出発する。

ジーラ、コーネリアス、ルシアスそしてテーラー、ノバたち5人は海岸線をめざす。

  海岸線までやって来た彼らは追ってきたザイアスを釈明のため、岩壁の洞窟へと連れ込む。
  ここにはコーネリアスが以前に発掘した出土品があり、高度な技術が使用された遺物がいくつも発見されていた、ザイアスは「聖典」が覆ることを恐れ、認めようとしない。
  その時、ザイアスの部下たちが攻撃を仕掛けてくるがテイラーはザイアスを人質に取り,自分とノバのための武器と馬を要求する。テイラーはノバとともにジーラたちに別れを告げ、海岸線を進んでいく。

    ザイアスは,とうとう実は自身も、現在の猿の文明は過去の人類文明の遺産であると考えていたことを白状する。
 ザイアスはテーラーたちを追わないことにし、部下に命じて洞窟をただちに爆破させた。そして、ジーラとコーネリアスを改めて裁くとした。

 このあと、テーラーとノバが海岸線で見た衝撃的な事実とは?

【感想】この映画はSF映画とされているのだが、未来的なシーンはほとんどなく、とても見やすいと言えよう。
 この惑星での「猿」と「人間」との確執が興味深い。また、猿のメークが良く出来ていて感心する。
 通常の世界とは全く逆の世界が広がっているので、始めは認識のレンズを変えなければならないのが面白い。

 (了)