今年も1月3日に放映されたNHKの「ニューイヤー・オぺラ・コンサート」。テーマは「幻想と現実の間」。興味を持って見ることができたので概要をまとめてみようと思います。司会は高橋美鈴アナウンサー、語り手は井上芳雄。演奏は沼尻竜典指揮、東京フィルハーモニー交響楽団。
始まりは、ワーグナーの歌劇「タンホイザー」から大行進曲「歌の殿堂を称えよう」。
タンホイザー第2幕の歌合戦に先立ち演奏される華やかなこの曲は、このコンサートの出演者全員が集まり挨拶する場面にもふさわしい曲でした。
コンサートは3部構成となっていて、第1部は「モーツァルト・ファンタジー」、モーツァルト円熟期に書かれた7つのオペラ・・・フィガロの結婚、ドン・ジョヴァンニ、魔笛、後宮からの誘拐、皇帝ティートの慈悲、イドメネオ、コシ・ファン・トゥッテ を再構成し、一つの物語にしたものでした。
最初に登場したのは、道化 黒田博。「魔笛」第1幕のパパゲーノの歌う「私は鳥刺し」
何やら、後ろでパパゲーナが姿を見せる幻想的なシーン。
続いての登場は姫 砂川亮子。恋人と生き別れになった悲しみを歌う。
フィガロの結婚 第2幕 アルマヴイーヴァ伯爵夫人の歌うアリア「愛の神よ、安らぎを与えたまえ」 本来は夫の愛情が冷めていくことを嘆く歌。
次に登場するのは 少年 林美智子。
歌劇「フィガロの結婚」第1幕 ケルビーノの歌うアリア「自分で自分が分からない」
以上、三者三様の愛の嘆きの表現ということらしい。
ここで登場するのが王子 櫻田亮。離ればなれになった姫との再会に心をときめかせている。
歌劇「後宮からの誘拐」第1幕より、ベルモンテはトルコの後宮にさらわれた恋人コンスタンツェを救いに来る。
その後ろを姫が通り過ぎていく幻想的なシーン
少年は、少女 嘉目真木子との出会いがあり、恋仲になって結婚することに。
歌劇「皇帝ティートの慈悲」から セルヴィーリアとアンニアの二重唱
しかし、ここに色男 ドンファン 黒田博が登場。
歌劇「ドン・ジョバンニ」第1幕より、ドン・ジョヴァンニが歌うアリア
少年と少女の結婚を祝う合唱
歌劇「フィガロの結婚」第1幕より、フィガロとスザンナの結婚を祝う村人達の合唱
そこに、色男 ドンファンが割って入り、少女を奪ってしまう。
色男 ドンファン が少女をだまし、結婚を誓おうという。歌劇「ドン・ジョヴァンニ」第1幕 ドン・ジョバンニは「あちらで手を取り合い、誓いを交わそう」を歌う。
女性をたぶらかすドン・ファンに天罰が下る。歌劇 「イドメネオ」第2幕 合唱「何という新たな恐怖」。海神ネプチューンのイドメネオの裏切りへの怒りを歌うものである。
この曲はドンファンへの怒りではないが代用されている。ドン・ファンは地獄に落ち少女とは引き裂かれたのか?
王子の熱唱。
歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」第1幕 フェランドの歌うアリア「恋人の愛のいぶきは」から。
道化と姫との愛の賛歌。
歌劇「魔笛」より第3幕から。
天使達が、王子につれなくされたと勘違いし悲嘆に暮れる姫を勇気づける
歌劇「魔笛」より第3幕から3人の童子とタミーナ。
この後、姫は王子に再会する。
娘は道化と出会い、意気投合する。道化(パパゲーノ)、娘(パパゲーナ)
歌劇「魔笛」第3幕。パパゲーノとパパゲーナの愉快な二重奏「パ、パ、パ」
道化 パパゲーノと娘 パパゲーナとの間にはたくさんの子供(パンダ)が・・・・。
王子と姫の結婚。
歌劇「イドメネオ」から第3幕。王家の新郎イダマンテと新婦イリアの戴冠式から
道化パパゲーノとパパゲーナは登場後、服を着替えて色男ドンファンと少女に変身・・・ガクッとする少年。
でも、目立たし、目出たしというところでしょう。7つのオペラを再構築し一つの物語としたため、
曲名が示されないことでちょっと戸惑いがありました。むしろ本来の曲名などは気にせず楽しむのが良いのでしょう。
モーツァルト・ファンタジー 《了》