NHK BSシネマ 2021/7/6
宇宙飛行士テイラーらが不時着したのは、高度な文明と知識を持つ猿たちが支配し、人間は下等動物として扱われる惑星だった。
テイラーは猿たちに捕らえられるが、その高い知能に興味を持った猿、ジーラ(獣医学博士)とコーネリアス(考古学者)の協力を得て脱出を試みる・・・。
寓意と皮肉に富み,あっと驚く展開と、名優たちが特殊メークで演じる個性あふれる猿たちが人気となり大ヒットとなった作品。
その後シリーズとなり近年も映画化されているSF映画の名作である。
【監督】 フランクリン・J・シャフナー
【原作】ピエール・プール
【製作】アーサー・P・ジェイコブス
【音楽】ジェリー・ゴールドスミス
【撮影】レオン・シャムロイ
【出演】 船長テーラー・・・チャールトン・ヘストン
ジーラ(チンパンジー、獣医学博士)・・・キム・ハンター
コーネーリアス(ジーラの婚約者、考古学者)・・・ロディ・マクドウォール
ザイアス(オランウータン、獣医学博士)・・・モーリス・エヴァンス
【製作】1968年 アメリカ 113分
【原題】PLANET OF APES
4人の宇宙飛行士を乗せてケネディ宇宙センターから飛び立った一隻の宇宙船が6ヶ月の宇宙飛行を経て、地球への帰還を目指していた。
船長テーラーは準光速航行が、ハスライン博士の時間の理論に従って船内時間が1972年7月14日、地球時間が2673年3月23日であることを確認し、
他の三人と同じように冬眠状態に入った。
しかし、何らかのトラブルが発生し,とある惑星の湖上へと不時着した。着水と同時に冬眠装置が自動的に開き、
テーラー、ドッジ、ランドンの男性隊員は脱出したが、
女性隊員のスチュアートは装置の故障による空気漏れですでに死亡していた。
生き残った3人は,ゴムボートで川を遡り、砂漠を通り抜け、ジャングルに入り、滝のある沼にたどり着く、幸いにもこの惑星は、地球と同じような環境が保たれていた。
この原始人なら征服者になれると思ったのもつかの間、銃で武装し、馬に跨がった猿の騎兵たちが現れる。猿たちは逃げ惑う人間に銃撃を加えて追い詰める。
この時の銃撃でドッジは射殺され、ランドンは捕まり、テイラーは首に重症を負う。
テーラーは猿の”動物病院”で獣医のジーラ博士から手術を受ける。しかし、口を利くことが出来ないままとなった。
猿たちの街は、それなりの施設が整っている。
ジーラ博士は、猿は元々人間から進化したものと考え、それを立証しようと考えていた。また、人間の脳の機能が解明されれば、猿の医療にも役立つと考えていた。
そして、まずは文字で考えを伝えようとし、また言葉を発しようとするテイラーに興味を示していた。
考古学者のコーネーリアスはジーラの学説には少し懐疑的であったが、タブーとされている「禁断地帯」を調査して、
これまでの審理とされてきた考えに疑問を持っていた。
ジーラとコーネリアス及び言葉を話すテイラーの出現により、猿社会の科学アカデミーの臨時総会が開かれることになる。
アカデミーの長老たちの考えは、「人間を脳手術の実験に使用するのはかまわんが人間自体に研究価値はない。
我々の学べることなど皆無なのだ。」として猿社会の権威を守ろうとし、ジーラとコーネリアスをの異端的な言動を断罪しようとした。
また、テイラーが言葉を発するかどうかを議論はせず、閉廷後は禁断地帯からやって来た、ミュータントと自白するように,
そうでなければ、去勢と脳手術を施すと脅した。
一方、ランドンは脳手術が施さ、廃人と化していたのだった。
審理の結果、重い処分を下されたジーラとコーネリアスは自ら「禁断地帯」に向かい異端の無実を証明しようと決意し、馬車を仕立てて出発する。
テーラーにはジーラの甥のルシアスが助けにやって来た。テーラーもノバを伴い出発する。
ジーラ、コーネリアス、ルシアスそしてテーラー、ノバたち5人は海岸線をめざす。
海岸線までやって来た彼らは追ってきたザイアスを釈明のため、岩壁の洞窟へと連れ込む。
ここにはコーネリアスが以前に発掘した出土品があり、高度な技術が使用された遺物がいくつも発見されていた、ザイアスは「聖典」が覆ることを恐れ、認めようとしない。
その時、ザイアスの部下たちが攻撃を仕掛けてくるがテイラーはザイアスを人質に取り,自分とノバのための武器と馬を要求する。テイラーはノバとともにジーラたちに別れを告げ、海岸線を進んでいく。
ザイアスは,とうとう実は自身も、現在の猿の文明は過去の人類文明の遺産であると考えていたことを白状する。
ザイアスはテーラーたちを追わないことにし、部下に命じて洞窟をただちに爆破させた。そして、ジーラとコーネリアスを改めて裁くとした。
このあと、テーラーとノバが海岸線で見た衝撃的な事実とは?
【感想】この映画はSF映画とされているのだが、未来的なシーンはほとんどなく、とても見やすいと言えよう。
この惑星での「猿」と「人間」との確執が興味深い。また、猿のメークが良く出来ていて感心する。
通常の世界とは全く逆の世界が広がっているので、始めは認識のレンズを変えなければならないのが面白い。
(了)