紅白歌合戦の裏番組として2時間半に渡って放映されるその年の日本のクラシック界のまとめの「クラシックハイライト」。
毎年必ず生放送で見ることにしています。
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まずは、日本を代表する若手演奏家二人、スイスロマン度管弦楽団の首席客演指揮者の山田和樹とベルリンフィルの
第一コンサートマスター樫村大進が共演するチャイコフスキーのバイオリン協奏曲。
樫村大進のコンサートマスターとしての経験が演奏をリードし、山田和樹は、それを支えるといった状況でしたが、
聴き応えのある骨太の演奏になっていました。
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今年生誕150年のリヒャルト・シュトラウスの楽劇「サロメ」の「サロメの踊り」は。やはり劇中の白眉の部分。
妖艶なサロメが義父の王の前で踊りを披露し、ヴェールを1枚づつ脱いでいくという場面ですが、この曲を聴くと
異様な気持ちになってきます。ワレリー・ゲルギエフはマイリンスキー劇場管弦楽団の演奏能力の向上を図るため
積極的にリヒャルト・シュトラウスの作品を取り上げているようです。ロシアの作品の演奏は超一流ですが、さらなる
飛躍をしているようです。
この日は演奏会形式でしたが、ヌードダンサー的な魅力ある踊りを鑑賞しながら曲を楽しみたいものです。
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今年、ロリン・マゼールと共に世を去った、追悼のクラウディオ・アバド。私はウィーンフィルと共に来日した時に、
生演奏を聴いたことがあります。ただ、メンデルスゾーンの管弦楽全集などCDでは良く聴いていたのですが、
気がついてみるとテレビ画面で見ることは少なかったように思います。
番組ではムソルグスキーをオペラも含めて、積極的に取り上げていたとの話がありました。
この日の演奏は1994年のベルリンフィルとの日本公演。さすがは、アバドという「はげ山の一夜」の演奏でした。
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器楽曲の演奏では、庄司沙矢香(Vn)など何人か。その中ではアンドラーシュ・シフ。シューマンの「交響的練習曲」
個人的には「森の中の演奏会」で放映された、カティア・ブニアティシビリ(Pf)を取り上げてもらいたかった。
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今年10月から、国立劇場の音楽総監督になった飯守泰治郎。今後の新国立劇場の運営に期待がかかるところです。
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バイロイトで長く音楽助手をつとめていたのでワーグナーを得意としています。
飯守泰治郎は東京シティーフィルハーモニーで指揮をしていた頃演奏会に4~5回に行ったことがあります。
話手がいて、いつも飯盛泰治郎と対話形式でピアノを弾きながら、楽曲の解説をするので聴きに行きました。
新国立で、今度はワグナーを聴きたいと思っています。
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こちらは藤原歌劇団80周年記念公演のプッチーニの「ボエーム」。しっかりとした演出で歌手もそろえました。
11月の公演、プレミアムシアターで3月に全曲を放送するとのことです。
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クラウディオ・アバドが主催していたルツェルン音楽祭。アバドの音楽を引き継ぐともいわれているアンドレス・
ネルソンスが指揮したルツェルン管弦楽団のブラームスの第2番の第1楽章は柔らかく雄大な演奏。
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フィラデルフィア管弦楽団の指揮者であるネゼ・セガン。このハイライトではマーラーの交響曲第1番の終楽章
を聴きました。指揮する動きが速く細やかで、音に切れがあるように思えました。
ともに、若手の指揮者として将来が楽しみな2人です。
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一方、今年10月にNHK交響楽団の首席指揮者に就任するパーヴォ・ヤルビー。11月に演奏したドイツ・
カンマーフィルハーモニー管弦楽団との演奏は交響曲第1番の第4楽章。クラシックの中のクラシックともいえる
この曲を番組最後に持ってきたのは、パーヴォ・ヤルビーにNHKがかける期待がいかに大きいかを知ることが出来ます。
この曲の全曲放送は1月に行うとのことでした。