ベルリン・フィルの夏のコンサートとして歴史のある「ワルトビューネコンサート」
世界の名の知れた演奏者を呼んだり、ちょっとしたお祭り気分もあり、軽い気分でも
聴けるコンサートという意味合いがこれまでにはあった。
それが、今回は指揮者が、首席指揮者で芸術監督でもあるキリル・ぺトレンコで、素晴らしい
録音状態とともに真剣さが如実に伝わってきて、ベルリンフィルの定期演奏会並の雰囲気となっていたと思う。
管弦楽:キリル・ぺトレンコ指揮ベルリンフィルハーモニー
日時:2022年6月25日
場所:ワルトビューネ音楽堂(ベルリン)
今回の2つの曲目は、ともにロシアもの。ロシアのウクライナ侵攻とともにヨーロッバでは
ロシアものは排除されるような雰囲気があったような気がするが、良い音楽は不変ということなのだろうか・・・。
曲目 1.「ピアノ協奏曲第2番」ハ短調作品18(ラフマニノフ)
キリル・ゲルシュタイン(ピアノ)
20代後半、作品の不評が重なり創作意欲を失いかけていたラフマニノフ
周囲の助けもあって少しずつ復唱し、1901年にこの協奏曲を完成させた
重厚な響きで始まる冒頭は,ロシア正教会の鐘を模したと言われている。
この曲はラフマニノフ自身によって初演され、大成功を収めた。彼は歴史的にもヴィルトーゾの一人に
数えられるほどの腕前だった。また、長身で舞台に出るとコンサート用のグランドピアノが小さく見えたという。
緑の深いワルトビューネ(森の舞台)で弾かれた今回の演奏はとても迫力ある演奏となった。
冒頭の鐘の重厚な響きも演奏者のキリル・ゲルシュタインによって、ラフマニノフらしさが良く表現されていたと思う。
録音の質も高かった。
曲目2.組曲「展覧会の絵」(ムソルグスキー作曲、ラヴェ.ル編曲)
1874年ムソルグスキーは画家で建築家の友人ガルトマンの遺作展を訪れる。
その印象をもとに作品は書き進められ、半年後10曲からなるピアノ組曲が完成した。
1992年ラヴェルによって編曲され、世界的に知られるようになった。
ラヴェルによって編曲されて,世界的に知られるようになったということは、ムソルグスキーの
ピアノ原曲も含めて、あまり知られなかったかも知れず、ラヴェルの偉大さを改めて知ることになる。
この組曲、いろいろな曲からなるが、個性的な曲も多く楽しめる。今回はキエフの大門の鐘の音が
はっきりと聞こえてきて、とても感動した。写真にも左上に鐘が映っている。
毎度おなじみ アンコール 「ベルリンの風」パウル・リンケ作曲
ワルトビューネコンサートではこの曲が観客達の指笛や手拍子により響き渡る。
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テレビで見ていると、会場の人がマスクを誰もしていない。真面目にマスクスをするのは日本人だけ?
(了)