NHK BS プレミアム 2021/5/17
パレエのチャイコフスキー作曲「白鳥の湖」(全4幕)が、英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパル高田茜に
よりオデット姫とオディールを踊ります。同バレエ団では、日本人では吉田都(現 国立歌劇場舞踊芸術監督)
以来の傑出したバレリーナで、美貌に優れ、長い手足を優雅に用いて踊り、役作りにも秀でた彼女を現地の方々
は大絶賛しました。
【音楽】 ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
【原振付】 マリウス・プティバ レフ・イワノフ
【追加振付】 フレデリック・アシュトン
【改訂振付】 リアム・スカーレット
【舞台美術】 ション・マクファーレン
【照明】 デーヴィッド・フィン
【管弦楽】 英国ロイヤル・オベラ・ハウス管弦楽団
【指揮】 コーエン・ケッセルス
【出演】
オデット:高田茜 白鳥に姿を変えられた姫 呪いを解くのは真実の愛だけ
オディール:(高田茜 一人二役) 黒鳥 ロットバルトの娘オディールのふりで
王子を誘惑
ジークフリート: フェデリコ・ボネッリ
ロットバルト:女王の側近 妖術師 オデットを白鳥に変えてしまう
トーマス・ホワイトヘッド
ベンノ :ジェームス・ヘイ 王子の友人 いつも王子を気にかける
【プロローグ】
湖の畔で一人 遊ぶオデット。妖術師ロットバルトがやって来てオデットの姿を白鳥に変えてしまう。
呪いを解くただ一つの条件は誰も愛したことのない男性に不滅の愛を誓って貰うこと。オデットが,
ロットバルトによって人間から白鳥に変えられるのは、日本人配役の前田紗。
【第1幕】宮廷の庭
今日はジークフリート王子の誕生日。ベンノや友人達から祝いを受ける。
母である女王は 王子に花嫁を見つけるよう迫る。その横に人間に化け側近として振る舞う
ロットバルトの姿がある。
中央は母、その右、明日のロットバルトからわたされた舞踏会のプログラムを持つジークフリート、
さらにその左はロットバルト
【第2幕】湖のほとり
「白鳥の湖」の代名詞といわれるほど有名な旋律の「情景」は、第3幕では、冒頭のシーンと第3幕の最終で演奏される。
王子はジークフリートと出会い愛し合うようになる。
オデットとジークフリートのグランド・パ・ド・ドゥ
ハープとヴァイオリンの甘美で艶麗な旋律によって踊られる。オデットの踊りではこの場面が白眉といえる。
ロイヤルバレエ団の男子プリンシパルでは随一のサポート役といわれるジークフリート役のボネッリも見事な
サポートで高田茜を引き立てている。彼女もこの踊りに充足感を味わったことだろう。
有名な「四羽の白鳥の踊り」。いつも見ていて楽しい気分にさせられる。
第3幕【宮殿の広間】
各国の姫達を招いた舞踏会が始まる。
ファンファーレが鳴り、各国の姫たち4人の踊りがあり、女王は4人の姫の中から花嫁を決めろるように迫るが
オデットとに心を奪われた王子はそれを拒む。さらにファンファーレが鳴りオデットそっくりのロットバルトの
娘・オディールが登場する。
その後、「ハンガリーの踊り」「スペインの踊り」「ナポリの踊り」「マズルカ」などが行われる。
これは異国情緒が溢れていて、おおいに楽しめる
続いてオディールの踊りが行われるが、そのオディールの踊りは見事。長い手足がのびのびとし、表現が繊細で
しなやかで引き込まれてしまう。誘惑する女性としては気持ちがリラックスするのだろうか?
表情も艶やかである。まさに絶賛に値する名演技。(オデットとの一人二役だが、まるで別人のよう)
そして、黒鳥オディールの最大の見せ場、32回転 グラン・フェッテ・アン・トゥールナン。
ウルトラC級の技ですが、高田茜の軸は保たれ、らくらくとこの難技を見せてくれた。
ジークフリート王子はロットバルトの娘・黒鳥オデットを花嫁とすべく申し込みをするのだが、ロットバルト
によって阻まれ、宮殿内は騒然となる。奥には王子に裏切られたオテットの姿が一瞬、現れ「情景」の旋律が流れて消えます。
【第4幕】湖のほとり
王子の裏切りを知ったオデットは仲間の白鳥に宮殿での出来事を涙ながらに訴える。許しを請うため王子がやっ来る
が,オデットの出した答えは・・・
王子は許しを請うためにオデットのもとにやって来るが、受け入れられない。後にはロットバルト。
また、4幕では「情景」の旋律が、ロットバルトが現れオデットが身を投げるまでを劇的に盛り上げる。
オデットは湖に身を投げ入れてしまう。王子はロットバルトを倒すこともできず、湖から助けだすことは
できなかった。身を投げた岩にはオデットの亡霊が立つ。
「白鳥の湖」の結末は、白鳥たちに悲劇的な結末となるものと、ロットバルトを倒し、めでたしめでたしとなるもの
とがあるが、今回は、前者ということになる。
【感想】
良く訓練され、丁寧に作られたバレエでした。英国ロイヤルバレエの舞台はロシアのボリショイや
マイリンスキーなどと比べるとやや暗めで地味ですが。今回はそれがかえって白いチュチュが見事に映えたと思います。
今回の演出は「日本人プリンシパルの高田茜が、長い手足を優雅に用いて踊る姿が『輝き』『きらめき』に
満ちていて、彼女が手足を動かすたびに,金の粉がきらきら振りまかれて見える」と書いていた人が
いた通りでした。もともと音楽は素晴らしいので何度でも見たくなる魅力的なバレエでした。
2021年6月6日(木)にNHKの4k、8K放送で再放送とのことですが期待に応えてくれる放送
となるでしょう。
(敬称略)
(了)