マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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多観音堂ボダイボダイ

2008年02月07日 07時55分33秒 | 田原本町へ
正月三日の早朝、田原本町多の観音堂に観音講の方々が集まってくる。

十一面観音さんを祀る壇上にはカンピョウで束ね「ゴオゥ」と呼ばれるエダマメを擂って炊いたものがかけられている牛蒡や梅の花を象ったハナモチが供えられる。

座前に青竹を並べた講衆は、僧侶を迎えてボダイボダイと唱える観音経を唱える。

読経がしばらく続くころ、講衆は手に青竹を持ってお堂の床をバシバシと叩く

突然始まった叩きはいわゆる正月修正会オコナイの乱声(らんじょう)行法で悪病を叩き出すという意味がある。

一瞬の乱声が終わると再びお堂は読経が静かに流れる。

先が砕けた青竹は当屋と副当屋が新しいものに取り替え床に置く。

そして再び床叩きの乱声が行われる。

なぜにこのようなことをするのか、謂れを知っていた長老がなくなったので教わってなく、所作は続けているんだとおっしゃる。

お経を終えると直会が始まる。

ハナモチはコメアライと呼ばれる包丁でぶ厚く切ったキリモチを奉書で包んで配られる。

別途に用意しておいた牛蒡はゴマをまぶしたスゴボウ味。

小皿に盛って座に配膳される。

講衆は直会の座でこれをヨバれる牛蒡食い行事。

本来は入講認知する儀式で、講入りする者が担いで持ってきたものだが昭和三十年代に現在の形式になったという。

(H20. 1. 3 Kiss Digtal N撮影)

今里の蛇巻き

2006年06月29日 07時48分13秒 | 田原本町へ
毎年6月第一日曜、田原本町今里の杵築神社で行われる「蛇巻き」は大和平野部で見られる子供が主役で祭典される野神行事です。

ハダカムギで作った長さ18mの蛇を満12~15歳の頭持ちが先頭を担ぎ、地区を練り歩きます。

巡行する前、参拝者や見物客に当屋が用意したモチ米のスエで括ったワカメの味噌汁が振舞われます。

蛇巻き行事は農作物の豊穣を祈り、男子成人を祝い大人への仲間入りが認められる農耕儀礼のひとつ。

蛇は地区を巡行する途中で、突然暴れ出し周囲にいる者を巻き込みます。

巻かれると一年を無病息災で過ごせるというが逃げ回るのが精一杯。

南や北へ地区を練り歩いたあと再び同神社へ戻ってくると、境内祠の「八代龍王」さんの大きな榎木にとぐろを巻くように蛇を巻きつけます。

下には蛇作りで使われた女竹と樫の木枝を一緒に巻きつけていきます。

祠に牛と馬を描いた絵馬やミニチュア農耕具と洗い米、神水、塩、スルメを供え、灯明を灯します。

陽が落ちる頃、一同は地区の平和と繁栄を祈り、豊作を祈願して一連の行事を終えます。

蛇を同神社境内の榎木に納めるようになったのは戦後のこと。

それまでは同神社の北東方の地区の外れにあった一本木だったのですが、台風で倒れたことと宅地化が進むにつれ移設されています。

なお、旧地は今でもハッタはん、野神さんとも呼ばれています。

(H18.6.4 Kiss Digtal N撮影)