ストローバレイ家の介護奮闘記

90→→92歳の母を支える4姉妹の泣き笑い奮闘記・・とその後

映画「一枚のハガキ」新藤兼人作・監督

2012-05-10 11:20:22 | 日常
               
               映画「一枚のハガキ」のちらし

昨日、中野ゼロ・小ホールで自主上映された「一枚のハガキ」を見てきました。4月に100歳になった新藤兼人監督が、自らの実体験を元に作った『映画人生最後の作品』ということです。

 女主人公「友子」は、夫が戦争末期に徴収され戦死し、その後再婚した義弟も間もなく徴収され戦死。そのショックで同居していた義父母も死亡。立て続けに家族を失い、彼女は『古家屋とともに朽ち果てようとしていた』。
 そんなある日、最初の夫の戦友「啓太」が、嘗て友子が夫に送った「一枚のハガキ」を持って、彼女のもとを訪れる。それは夫がクジでフィリピン赴任が決まった時に啓太に託したものだった。
 深い絶望と虚無の中にいる友子。生きて帰ったことの罪の意識に苦しむ啓太。全てを失った後で、もう一度生きていこうと2人は麦を育てる道を選ぶ。

・・・というようなストーリーです。

大竹しのぶはまさに熱演。体当たりの演技は私には少々過剰に見えましたが、それでも優れた演劇人という評判を「成る程」と思わせるものがありました。豊川悦司は思っていた以上に渋く品が良く、好感が持てました。その他六平直政、柄本明、倍賞美津子、大杉漣、津川雅彦など、ベテランの俳優達が惜しみなく力を出して、新藤作品にある種の風格と温かみを添えています。

広島を舞台にしたと思われる映像は、自然は勿論、貧しさや家が焼ける光景さえも美しく、最後の、麦が黄金色に輝く光景は感動的です。何もかも失った後に「一粒の麦」をまくことから再生し生き抜こう、というメッセージは、去年地震・津波・原発事故で被災された人たちに贈る、新藤監督からの心を込めた励ましのようにも思えました。(三女)
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