中野ザ・ポケットで昨日から始まったシニア劇団「かんじゅく座」の公演「ぼくらの未来」を見てきました。
戦後70年、集団的自衛権行使が容認され、戦争に参加する可能性が高まった日本で、自衛隊から高齢者のリクルートが始まった。定年退職や倒産で仕事を失い、家に居場所がなくなったお年寄りたちが、第二の人生を求めて次々に応募、結果、誰彼かまわず採用され、彼等の自衛隊生活が始まり、やがて、、、。というようなお話です。
話の展開の中で、若者の引きこもりや、自衛隊の高校生向けリクルートや、福島原発事故や、武器輸出解禁など、今日本社会で露わになっている問題が次々に語られ、「かんじゅく座」主宰者で脚本・演出も担当している鯨エマさんの、今の社会に対する危機感が伝わってきます。
エマさんは、パンフレットの中で、テーマを提示した時に団員から「いまさら戦争なんて」「来てくださるお客様が楽しめない」など反対の声が上がったと書いています。それでも『生まれも育ちも価値観も・・・違う私たちが、心を一つにして同じ目標に向かってゆけることを、かんじゅく座の小さな稽古場で証明したい。・・・それが世界平和に向けて「共存」する第一歩になると思う。』と並々ならぬ決意を語っています。
舞台そのものは、メッセージ性が前に出ているせいかストーリーはやや平板。終り方も尻すぼみの感が有り、少々不満が残りました。やはりハッピーエンドにするにしても、悲劇の結末にするにしても、クライマックスが欲しかったな。私ならどうするか、ちょっと考えて、やはりハッピーエンドのどんでん返しで終らせたいと思いました。アイディアも湧いたのだけれど、それはまあ私の心に止めておきましょう。
いずれにしても、平均年齢72歳の団員さんたち、声に張りが有り、自衛隊体操の複雑な動きも見事にこなし、生き生きと若々しくて、素敵でした。(三女)