11月2日。今日の朝食は「カワハギの一夜干し、大きなアゲを半分に切った物、朴葉味噌」を自分で網で焼きながら食べる、茶碗蒸し、ホーレン草のお浸し、漬物、ご飯、味噌汁という懐かしい旅館の朝御飯でした。最近のホテルの朝食はバイキングか和定食だとやたらに品数が多かったりですが、前夜結構飲んだり食べたりしているお腹に、今回は丁度良い量でした。
8時にホテルを出発。まずは飛騨の千光寺へ。今回のコースはガイドさんがつかないので、バスの移動中はお喋りしたり居眠りしたり自由に過ごします。さすがに同じ目的の人々。あちこちで円空仏の話、旅の話に花が咲いていました。
今日も朝から良い天気でしたが、時々曇ったり山の中腹に雲がたなびいたりしています。お寺に向かって山を登って行くと、だんだん霧が流れて来て紅葉の綺麗な木々をうっすら包み、そこに日が差してとても素敵でした。お寺の山門をくぐって行くと、敷地のすぐ横がかなりの斜面になっていて、木々を濃い霧が包んでいました。ふと反対側の建物を見ると「霧の景勝地」という看板が掲げてありました(なるほど)。
予定の時間より少し早かったのですが住職さんの御厚意でご本尊千手観音像御開帳の法要を行う事になりました。はじめに住職さんによるお寺の歴史などのお話があり、次に巻き紙に書かれたお寺の縁起が詠まれ、良く通る声のお坊さん4人のお経が終わると、御開帳された秘仏にあえます。まず御焼香、次にお坊さんからお清めの水をふりかけてもらい、ご本尊の前に立ちました。うーん、はるか1番奥のかなり上の厨子にいらっしゃる仏様はあまりにも小さく、残念ながら姿は良くわかりませんでした。皆の感想「拡大鏡置いて欲しかった。」
その後は自由行動。64体の円空仏が展示されている「円空仏寺宝館」を見る人、108段の階段を降り三途の川を渡り地獄絵を見て、又階段を登って煩悩を落として来る人。日向ぼっこをしながらお喋りする人(そうそう法要が終わる頃には霧も晴れ良い天気になっていました)。それぞれに過ごしていました。
私はすぐに寺宝館に円空仏に会いに行きました。誰も居ない静かな館内でまず出迎えてくれた「立木仁王像」に圧倒されました。この像は先日東京でも会っていますが、誰も居なかったので間近でゆっくり、その壮大な圧倒される雰囲気にひたることが出来ました。その他何体かは係員の言葉を借りれば「東京に出稼ぎに行っていました」ので見覚えがありましたが、博物館のような広い会場でなく、こじんまりした会場でゆっくり見ると彫りの様子などよくわかり また 三十三観音像の1体ごとの表情の違いなどじっくり見る事が出来て楽しい時間でした。(上の写真は「円空仏寺宝館の両面宿儺(りょうめんすくな)」)
その後すぐに昼食会場に行く予定でしたが、参加者の1人が来る途中にある五本杉を見に行き(バスの中で添乗員さんが「往復30分位で五本杉に行けます」と言っていましたが、行くのは良いけど帰りは急坂を上らなければならないので行く人はいなかったのですが、彼女1人「帰り道だからそこで待っている」と添乗員さんに告げて行き、帰りは通りすがりの車に乗せてもらったようです)、とても素晴らしいからぜひ皆さんにも見て欲しいので早く集合できたら途中下車して見学するようにと添乗員さんに頼みこみ、添乗員さんは次の昼食会場入りの時間もあるのであまり良い顔はしませんでしたが、皆さん5分前に集合したので寄る事になりました。バスで5分位下った所に看板があり そこから林の中を少し下った場所にそれはありました。根元は1つ そこから5本の立派な木が立ち上がりそれは見事な物でした。
あわただしく見た後は昼食会場のホテルへ。昼食は飛騨牛を用いた和定食。そしてその飛騨牛は?薄切りの小さめの肉が朴葉味噌の上に3切れ位、しかも私の1切れは噛んでも噛んでも噛みきれない肉でした。皆さんの感想は「うーんなんだかわからない」でした。
昼食後はバスですぐの飛騨国分寺へ。ここは小さなお寺ですが、この地方では珍しい三重の塔があり、そのそばにあるもみじが紅葉していて綺麗でした。ここでも仏様の前で住職の話を聞いた後、格子の仕切りの後ろに置かれている「阿弥陀如来」、「薬師如来」、「聖観世音菩薩」、そして、円空上人作の「弁財天」(頭の写真)を間近に見る事が出来ました。弁財天は円空仏の中でも全体に丸みがあり優しい雰囲気の仏様です。
その後は今回のツアー最後の円空仏に会いに「飛騨高山まちの博物館」へ。ここは、あの有名な高山の街並みから2本位通りを隔てた、本当に「街の博物館」と言う感じで、高山の歴史、文化、芸術の紹介、作品などが15の部屋に展示されています。でも帰りの新幹線の時刻が決まっているし、土曜日で道の混雑状態も考え、私達は円空仏の展示部屋だけの見学でした。そこにも10体以上の仏様が展示されていましたが、中でも思惟菩薩像のなんとも優しい微笑みのお顔、いつまでも見ていたい仏様でした。
集合時間まで少し時間がありましたが、古い街並みまで行く時間は無いので駐車場までぶらぶらお店を見ながら歩きました。途中 豚饅頭ならぬ牛肉饅頭を売っていたので新幹線内での夕食用に買いました。皆さんも円空仏以外に見る所も無いので早く集合し、名古屋に向かい出発しました。名古屋まで2時間半ちょっと、ただひたすら東海北陸自動車道を走ります。途中標高の高い所は山全体が紅葉して黄色、オレンジで彩られ、夕陽に照されとても綺麗でした。山々の秋の夕暮れは幻想的で好きな風景ですが、楽しむ間もなく日が沈み辺りは暗くなりました。
途中一宮近辺で3キロの渋滞に会いましたが、止まってしまう事無く無事通過。新幹線時刻まで30分位あったので皆さん夕食やお土産の買い足しをしました。今回の旅行は寺社巡りなので円空仏関係の物はありましたが、いわゆるお土産は お昼に寄ったホテルで買えただけでした。そうそう八ヶ岳宴会(=次回の月命日)用に、大辛口のお酒と飛騨牛角煮少々を買いました。
名古屋から「ひかり号」で2時間で東京です。その間最後のお喋りをする人 食事をする人、居眠りする人様々に過ごしていました。私達は勿論牛肉饅頭をさかなにビールで乾杯!そして居眠りでした。今回のツアーは円空仏好きと言う共通の趣味、目的を持った人達のせいか誰彼無くすぐ打ち解け、和気あいあいの楽しい旅でした。(次女)