《アスパラガス・スプレンゲリー》
学名: Asparagus densiflorus cv. Sprengeri 和名: スギノハカズラ
科名: キジカクシ科(ユリ科) 属名: アスパラガス属
台風前、庭に出ている鉢を玄関に運んだ。
重い半球型の鉢を胸の前に抱えると、
細かいアスパラの葉の間に、住人発見。
そういえば少し前、
葉っぱと同じサイズのお仲間のグループに逢ったっけ。
あの中にも、君は居たんだろうか?
台風の日、夫は葬儀に列席するために早朝から関東に向かった。
故人の死は、癌との戦いに勝利を収めたかに見えた後の急変。
海外赴任の夫君は急遽帰国し、数日を看取った。
近年、音信が途絶えていた。
最後に彼女と逢ったのは、我が家に夫婦お揃いで来てくれたとき。
仕事から帰ると、芝生にカンガという派手なアフリカの布を敷いて、
夫婦そろって座っていた。近所の人からは奇異に見えた行動。
でも、私はとても嬉しかったっけ。
誰よりも伸びやかで、有能で、自信に満ち、明るく元気だった人。
『神様に愛されすぎると、夭折する。』
いつか聞いた言葉に当てはまる人が、又一人逝ってしまった。
アスパラと一緒に家に入ったカマキリは、翌朝姿が見えなくて
私は必死で探した。家の中に居たら、気付かれないままに
なんで命を落とすかわからない。殺生をしたくなかった。
カマキリは、鉢を置いた場所に近い玄関の隅で見つかって
鉢と共に庭に戻された。
雨音を聞きながら、命・生・・・を久しぶりに考えた時間。
その間にも、自然は何人もの人の命を奪って行った。
昨日も、又一人行方不明だった方が命を落とされていた。
だれでもいい。
死が避けられないものなら、せめてその時、誰かと一緒にいたい。