トリオ・アコーステックというベルギーのグループが今、活動しているのか知りませんが2007年録音の「GIANT STEPS」というとてもお買い得なアルバムをタパス・レコードから提供してくれたばかりです。
評価が随分ばらつきましたが、私はとても音、選曲、演奏と良いアルバムだと思っています。
そのトリオのピアノZoltan Olah、ベースのPeter Olah兄弟がドラムスのGyorgy Martonosiが作曲したバルトークへのトリビュート作品に付き合ったプロジェクトです。
しっかりとした音楽構想があり、素晴らしいセットに仕上がっています。
1曲目はタイトルにもなっている“Impression in The Bartok Music House”幾つかのパートに分かれた演奏です。
まず不思議な管の旋律からはじまります。
テリンコーというモルドヴァ地方に見られる指孔の無い縦笛で、息の強さで倍音列による音階を奏でるそうですが、これは不思議な存在で、ベルギーならではのゲストにかんじます。
すぐにピアノの演奏にはいりますが、いきなり即興に様な演奏で、フレーズを積み重ねていきます。
次のパートは、スカボロ・フェアみたいな牧歌的なテーマから力強いピアノ、あふれ出るフレーズに翻弄されるような、ピアノフレーズ集のようです。最後のパートのドラムスのソロは安定した、構成者の趣です。
2曲目は小川のような鈴や小鳥の鳴き声みたいな音から始まるいかにも曲名“Norwegian Forest”のような美しい曲。
3曲目は例の管楽器からはじまりますが、これって相撲の呼び出しみたいな役割に感じてしまいます。
呼び出しが済むと緩やかなハーモニーのつながりの中から、そこにに隠された見事なフレーズを探し出していくように進みます。ベースソロもここにきて見事です。
4曲目はオリエンタル風の管のメロディからタブラが入り、ピアノのメロディも中近東風、シタールみたいな音が加わります。
5曲目はヨーロッパに戻った感じ始まると、一瞬A列車が走ります。
このTrio OlamarのアルバムはドラムスのGyorgy Martonosiがプロデュースし、作曲していますので、そちらの色が強いのですが、アレンジはゾルタンがしていて、ピアノがリーダーのようになっています。
トリオ・アコーステックがスタンダードなどのメロディを強烈に弾ききる感じですが、こちらはオリジナルの民族性を強調して質は似ていますが、が逆に耽美的です。
ベルギーの古くからある伝承が語り継がれていくような、秘めた美しさが見え隠れするイメージでそんなことを考えていたら、お皿に印刷されている写真が艶かしくかぶさってきました。
フレーズの洪水みたいに感じますが、ちょっと荒っぽいし、それを差し引いても薦める事が出きるとおもうのですが、ちょっと人の意見も聞いてみたくなりました。
プロのジャズ・ピアニストでとても実力のある人を知っているので感想を聞きました。
「かなりゴツいピアノでびっくりしましたが仰るとおりアイデアは豊富ですね。
スイングしてるときの左手がラウドなのが僕の個人的な好みからは反れますがボサノバ風の曲や3拍子の曲ではそれもコントロールされていて共感できました。 やはりタッチは命ですから。」
なるほど、さすがプロ、明解でした。
IMPRESSIONS INTHE BARTOK MUSIC HOUSE / Trio Olamar
Zoltan Olah(p)
Peter Olah(b)
Gyorgy Martonosi(ds,per)
special guest:
Edina Szirtes(tilinko)
1.Impression in The Bartok Music House
part1 Hunyadi Street 50
part2-3 Hungarian Collections
2.Norwegian Forest
3.The Carpathian Mountains
4.Sadi Okba
5.The Last Years
2008年作品