一年間に聴くアルバムはかなりの量になりますが、これは驚いたというものはそれほど多くはありません。
今年になって驚いたものとしては、フランスのピアニストなどがいますが、このアルバムも驚いているのです、イタリアのリイシューです。
ベースのGiorgio Azzoliniが強力フロントを揃えたクインテットの演奏です。
1曲目太くしっかりしたベースラインで始まると、あっという間に怒涛のソプラノ・サックスという感じでモーダルな世界になだれ込みます。続くダンドレアのピアノもそのサックスにまけません。
2曲目も形のよいピアノで始まり、続くトランペットは先日聴いたセルジオ・ファニーの若いときの演奏です。
この後テナーはコルトレーンのサウンドをうつした、1曲目よりかよりスパニッシュな演奏です。スパニッシュというより、モーダル、この後リーダーのベースのこと書いていませんが、ちょっとチャーリー・ヘイデンに似たところのある低音の音から、かなりのベースソロを聴かせます。
マッコイ・タイナーの3曲目、やはり凄いテナーの後はタイナーばりのエモーション、ドラムスがまた輪をかけて手数が多い、コルトレーンカルテットを彷彿させると思っていると、そこで止まりません。
続いて吹き出すトランペットのソロの凄いこと、このアルバムの全てを持っていってしまうような演奏、白熱のVSOP、フレディー・ハバートのライブでのソロみたいです。
4曲目は一番現代のフリーに近い演奏で最近のアレンジといってもおかしく感じません。
録音は1972年、コルトレーンがなくなって数年後、そのスタイルがしっかり把握したクインテットのこれがこの時代に完成されていたのか、それがイタリアなのか、驚くべきアルバムです。素晴らしいの賛辞です。
SPANISH PORTRAIT / AZZOLINI'S
1 Spanish Portrait
2 Ervo
3 Vision
4 Summit Soul
Sergio Fanni (tp)
Eraldo Volonte (ts,ss)
Franco D'Andrea (p)
Giorgio Azzolini (b)
Bruno Biriaco (ds)