
ジョン・テーラーは昔からあまり聴いてこなかったけれど、CAMから2008年にでた「whirlpool」は青磁のの器をながめるような静けさと深さを持ったアルバムだった。
同じCAMから同じメンバーのアルバムが出たのを知ってすぐ買ってきたけれど、よく見ると2006年の録音でちょっととまどった。
でもCAMのwhirlpoolは2005年の録音だから、順番が違うわけではないので、ちょっとだけ残念なだけだけれど、この組み合わせを聞ける方がよっぽど良い。
1曲目、ちょっと優雅にはじまって、前作とは感じが違う展開です。
2曲目になると、哀愁ありのメロディ、これは映画「イタリア式離婚狂想曲」のテーマ曲、このアルバムほとんどカルロ・ルスティケッリというイタリア映画音楽界の巨匠の曲を演奏したものです。
ですから1曲目は「バクダットの盗賊」5曲目は「祖国はだれのものぞ」7曲目は「クレオパトラの息子」という映画のテーマですから、映画内容があるので曲調は微妙に異なりますが、そこは大きなイタリア映画の枠があって基調はあるのです。
3曲目が「ローマの恋」で4曲目は2曲目と同じ映画、甘いメロディは一寸人工甘味料を加えたような感じ、これは悪い意味でないのです。自然な甘さをただただ賞賛する甘さの世界ですが、こちらは意識した甘さ、イタリア映画音楽のもっている作為的な曲になるのです。
6曲目、これは知ったメロディで「誘惑されて棄てられて」古い映画だから見立てはいないけれど、音楽は知っている。
このルスティケッリの作為ある曲を、ジョン・テーラーに弾かせることの絶妙、前作と間をあけて出されたこともわかるような気がする。
内容を見れば、このアルバムはテーラーにとって異色としか言いようがないけれど、聴いているうちにはまってしまった。
GIULIA'S THURSDAYS / John Taylor
John Taylor(p)
Palle Danielsson(b)
Martin France(ds)
1. Titoli-Main Titles
2. Canto D’amore
3. Un Amore a Roma
4. Marcia Funebre
5. Tarantella della Liberazione
6. L’onuri di L’ascaluni
7. Guerresco ed Elegiaco
8. I Giovedi della Signora Giulia
9. Partons Partons
このアルバムはなぜあまり話題にならないのか不思議なぐらい甘美な響きを持った作品だと思います。John Taylorとイタリア映画音楽というのはなかなか結びつかないので,ミスマッチ的に思えるにも関わらず,出てきた成果は私たちの想像よりずっと素晴らしい,イタリア的な甘美さを醸し出していました。
私はこういう音楽が結構好きですから,もっとプッシュしてしまおうかなぁなんて思っています。
ということで,こちらからもTBさせて頂きます。
このアルバムのような、面白さ秘めたアルバムを楽しむ人たちがたくさんいるといいですね。
仲間が増えるような気がします。
とにかく、良いものを発信していくのが努めかも知れません。