時間を遡って書いています。
YOKOHAMA JAZZ SUMMIT 2008 “ Midnight Jam Session ”の開場のモーションブルー・ヨコハマは、わが家から1時間ちょっと、待ち時間も有るので、読みたいと思っていた本が文庫になって積まれていたので買ってきました。付くまでの電車とBARで最初の1編を読み終わりました。(残り2ページだからって、BERではちょっと奥さんに怒られてたけど)そして開演までの時間でこれを書いています。
11時を過ぎて観客はどんどんふえて、まだはじまらないのに、もう立ち見になる人がでてきました。早くに並んだので、センター前から4番目の席に着くことができ正解です。
この小説集はちょっと不思議な事を(最初の1編しか読んでいない)綴った中編集です。読んだのは最初の1編「偶然の旅人」で、ここでは村上自身が語り部の役を勤める書き出しです。日常が大きく変わるほどでもないけど、注意すると気づく、かなり驚く事が、私はJAZZに関係して起こると思っています。「シインクロニシティー」(必然的な偶然)と呼ばれるもので、この小説集の最初の1編もそのような話です。
火曜日の午前、郊外のモールで、とてもめずらしい本を読んでいると、隣の女性も同じ本を読んでいると言う、偶然から話ははじまります。
本編の内容はさておき、ここに来る前、駅前の本屋さんで見つけて読んだこの1編、気が付くと、ちょっと偶然に近いこと起こっている感じです。
ライブを待ちながら読んだ作品の冒頭はJAZZのライブの不思議な体験の回想で、ちょっとドキッとしています。
江戸川乱歩を思わせる、語り部調ではじまる導入部分で、村上が体験したJAZZライブの不思議な偶然がつづられます。これがとてもおもしろく、なお素晴らしい表現です。
マサチューセッツ州に住んでいた時の話、トミー・フラナガンのトリオ・ライブをみて、あまりのらない演奏に対しての村上の表現が良い。
「体調がすぐれなかったのかもしれない。夜もまだ早いので気分がもうひとつ乗らなかったのかもしれない。決して悪い演奏ではないのだが、我々心を別の場所に送り届けてくれるような何かがそこには不足していた。」
本当にうまい表現だと思います。この後そんな生ぬるい演奏を残念に感じていた村上が、ふとこう考えます。本文のストーリーとは直接関係がないので書かせてもらいます。
「もし今、トミー・フラナガンに二曲リクエストする権利が自分に与えられたとしたら、どんな曲を選ぶだろう?」と。しばらく思いをめぐらしてた末に選ばれたのは『バルバドス』と『スター・クロスト・ラヴァーズ』の二曲だった。
ここで丁寧にも曲の説明がありこの2曲があまりポピュラーでないことが解ります。そしてステージ最後にこの二曲が演奏されます。
「僕はワイン・グラスを手にしたまま、あらゆる言葉をうしなった。ジャズ・ファンならわかっていただけると思うが、星の数ほどあるジャズ曲の中から、ステージ最後にこの二曲が続けて取り上げるられる確立なんて、まさに天文学的なものであるはずだ。そして-ここがこの話の大きなポイントなのだが-それは実にチャーミングな素晴らしい演奏だった。」
何とも村上春樹らしいチャーミングな表現です。
11時半になって凄い人数に成りました。演奏が開始されても人が増え続けます。
そちらは昨日既に書いた通り。
さて物語の終わりでは本編の主人公になる調律師がこの偶然について考えを語り、村上がそれに答えることで完結していきますが、それはストーリーと関わるので、本の方でお読み下さい。
でそこに書かれた調律師の考えかなり同調できるのです。
何度か書いた記憶が有りますが、そんな私の偶然体験はこんな事です。
1
ヨコハマJAZZでハクエイが良いと思っていると、キース・ジャレットのコンサートの席に入っていく人がその人だったという。(ちょっと驚く記憶と現実)
2
いつもはそんなことしないのに、その人をおってハクエイに声をかける。「Are You HAKUEI ? 」(普段はそんなことしたことないのに、それをしたこともかなりの驚き)
3
ハクエイの師匠の古いアルバムを私が持っていてそれが海を渡ってハクエイの手でマイク・ノックの手に渡っていきました。(まあ、ありえることですが感動しました、ご丁寧なメールももらいました。)
4
2007年のキース・ジャレットのコンサート会場休憩時間に再びハクエイが横に立っていました。(まあありえるけど、これもおどろきました。)
5
ハクエイの新しいアルバムのなかで、thankes forで名前が書かれた方は、まるで知らなかったのですが、義姉のお友達でした。(アルバムに同じように名が載ること自体驚くのに、それが知り合いというのはかなり驚きました。)
6
またハクエイ以外で、O・ピーターソンのアルバムがなぜか気になって2枚買って帰るとその夜彼の死をしりました。
など、たいしたことではありませんし、考えればありえることも多いと思います。
でも良く考えると、なぜだか不思議に思うことでした。
キースのコンサート会場からはじまった偶然は、私の音楽環境をずいぶん変えたようです。
みなさんも京都や名古屋のハクエイのライブに行ってください。きっと素晴らしい偶然がスタートしますよ。
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