二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

絶やすな。昭和文学の火を。 <その1>

2024年05月24日 | 小説(国内)
タイトルの標語は小学館P+D BOOKSのコピーである。 「絶やすな。昭和文学の火を。」かあ、苦笑いせずにはいられんけど(笑)。 P+Dがなんのことかというと、ペーパーバック+デジタル・・・とのこと。 わたしのように、昭和20年代生まれのじいさんには、たしかに愉しみの多い昭和文学である。 https://pdbooks.jp/index.html P+D BOOKSは以前から知っていたし、うち何 . . . 本文を読む
コメント

スロットル全開、織田作之助の世界 ~「放浪・雪の夜」の周辺

2024年05月13日 | 小説(国内)
■織田作之助「放浪・雪の夜  織田作之助傑作集」(新潮文庫 令和6年刊) 西村賢太の本を物色するため戸田書店をうろついていたら、こんなのが目についた。 「おや、新潮文庫の新刊だな?」 そうかんがえながら手にしてみると、新たに編集されたおださく(織田作之助)だった。 織田作之助については、以前短く書いたことがある。 ■二草庵摘録:2019年3月 https://blog.goo.ne.jp/n . . . 本文を読む
コメント

開高健の周辺をとぼとぼ歩く

2024年04月12日 | 小説(国内)
読み返しもしないで、その人物の周辺をとぼとぼ、うろうろ。 近ごろこういういやな病気を発症しているな(ノω`*) ううん、まいったぜ。 そろそろ元の路線に復帰! ・・・といきたいのだが、どうもまだしばらくかかるようだにゃ。 先日買った文庫本「夏の闇」に、新潮社の“お知らせ”が紛れこんでいた。 ふ~~む。 TOPに掲げた一枚が、いわば内容見本である。 2010年5月31日発売で、定価3360円 . . . 本文を読む
コメント

開高健のいる光景

2024年04月08日 | 小説(国内)
開高健与えられたのは58年。 https://www.youtube.com/watch?v=h2FB-mS9Tbs この時代の人物としては比較的多くのフィルムを残した。 スコットランド紀行もすばらしい♬  デスクに座っているのに飽きると、世界中へ出かけていった。 いつも“奇蹟”のとなりに彼がいた。 輝かしき58年! あんな豪勢な絢爛たる笑いで周囲の人びとを巻き込む作家が、ほかにいただろうか(´ . . . 本文を読む
コメント

開高健はほんまに巨人か ~この人をめぐるよしなしごと

2024年04月06日 | 小説(国内)
河出書房から出ているMOOKに「開高健 永久保存版」がある。そこに「今よみがえる巨人の全貌」というキャッチコピーが添えられている。 開高さん自身の著書に「ピカソはほんまに天才か」があるが、それにひっかけていえば「開高健はほんまに巨人か」といっても許されるだろう。 かねてから気になっていた開高健さん。サントリーの宣伝部から身を起こし、CMコピーの制作者から一流の小説家になった。同じくサントリーの宣 . . . 本文を読む
コメント

「老いたるえびのうた」と「どですかでん」にまいったぞ♪

2024年02月27日 | 小説(国内)
   (講談社学芸文庫に付された室生犀星の写真よりスキャンさせていただきました) けふはえびのように悲しい 角やらひげやら とげやら一杯生やしてゐるが どれが悲しがつてゐるのか判らない。 ひげにたづねて見れば おれではないといふ。 尖つたとげに聞いて見たら わしでもないといふ。 それでは一体誰が悲しがつてゐるのか 誰に聞いてみても さつぱり判らない。 生きてたたみを這うてゐるえせえび一疋。 . . . 本文を読む
コメント

本の話 2024年

2024年02月24日 | 小説(国内)
「御宿かわせみ」は現在第3巻「水郷から来た女」をクルーズしているところ。 「湯の宿」は少しおもしろかったけど、ほかはそれほどでもない。あまりに型にはまっているのが多いせいか、読書をしながらスリルがまったく感じられない。 これを書きながら平岩弓枝さんは事件というか、ミステリにすり寄っている。海外作品をしばらく読んでいたせいか、いかにも物足らないなあ(´Д`) 「お茶を濁しているんじゃないの」と、つい . . . 本文を読む
コメント

時代小説から見えてくる昭和のエートス(2) ~ドル箱的ロングセラー

2024年02月16日 | 小説(国内)
   (「御宿かわせみ読本」に付された関係図からコピー) 御宿かわせみは大川端にある。 永代橋の対岸が深川であり、そこに長寿庵というそば屋がある。この時代設定と背景が、本シリーズの成功の秘訣だろう。 全篇を6回も読みなおしたという豪傑がいるようである。わたしの友人の奥さんも、2回読み返し、お気に入りの作品を、また読むといっていた。 「蓬田やすひろさんの挿絵がいいのよ♪」と。 どちらかといえば . . . 本文を読む
コメント

時代小説から見えてくる昭和のエートス(1) ~平岩弓枝「御宿かわせみ」をめぐって

2024年02月16日 | 小説(国内)
平岩弓枝さんが「小説サンデー毎日」で「御宿かわせみ」の連載を開始したのが、1973年(昭和48)である。33話までいったところで雑誌が休刊(廃刊)となったため、「オール讀物」に舞台を移し、1982年4月号から連載が再開された。 文春文庫では「幽霊殺し」からあとが、文藝春秋に変わったのちの作品集のようである。 第34巻「浮かれ黄蝶」の刊行(2006年4月)をもって正編が終了し、「新・御宿かわせみ」 . . . 本文を読む
コメント

時代小説へキキっと急カーブ( -ω-)  ~池波正太郎「藤枝梅安」へ復帰する

2024年02月08日 | 小説(国内)
■仕事人藤枝梅安 三「梅安最合傘」講談社文庫(新装版)   同      四「梅安針供養」 同   (新装版) ジャック・ヒギンズを読みながら、そうだなあ、日本のハードボイルド小説あたりへ戻ってみようか・・・と思いはじめた。例によって、わたしの“気まぐれ”ですけどね~。 少々我慢して「深夜プラス1」は読み了えたんだけど、どういうわけか気分が飛んでしまうので、本棚をあちこちと探し回った。 探し . . . 本文を読む
コメント