二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

葡萄棚を通り抜けて ~永井荷風のかたわらで(2)

2019年06月18日 | エッセイ(国内)
荷風にハマって、このところいままで読もうとしなかった小品を書庫から取り出し、丁寧に読みはじめた。 ここに引用するのは「葡萄棚」と題された小品(あるいは随筆)。 《今わが胸に浮出る葡萄棚の思出はかの浅間しき浅草にぞありける。 二十の頃なりけり。 どんよりと曇りて風なく、雨にもならぬ秋の一日、浅草伝法院の裏手なる土塀に添える小路を通り過ぎんとして忽ちとある銘酒屋の小娘に袂(そで)引かれつ。大きなる潰 . . . 本文を読む
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