(「墨東綺譚」に添えられた木村荘八の高名な挿絵。現在岩波文庫版に収録されている)
永井荷風の文学が、過ぎ去った時代の記憶の貯蔵庫であることは、以前からぼんやりと意識していた。アーカイブズということばがあるが、これは本来公文書館、公文書の保存所という意味である。彼が遺したものは公文書ではなく、私文書と写真。
極めてパーソナルなものであり、視線であった。彼を愛する者は、そこに価値を認める。
だ . . . 本文を読む
古本で川本三郎「荷風語録」(岩波現代文庫)を手に入れ、パラパラと読んでいるうち、またしても荷風熱にとりつかれた。
荷風が「断腸亭日乗」の筆をおろしたのは1917年、2017年が100年目にあたる。
この写真は雑誌「東京人」の“愛すべき散歩者永井荷風”特集号。
彼は時空の探索者であり、偉大な記録者であった。
難読漢字が多く、腰を据えて読もうとすると難渋し、注釈がないとすぐにつっかえてしまう(^^ . . . 本文を読む