二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

天候の激変と「深夜に目覚めて(ポエムNO.45)」

2011年08月20日 | Blog & Photo


昨日から天候が激変。
あれほどの猛暑だったのに、ただいまの室温27℃、湿度71%。
ほっと一息つけるようなすずしさであ~る。
ことしの夏はフィールドへはほとんど出ることなく終わってしまった。
5月にあった地殻変動によって、三毛ネコが詩作を再開したからだが、原因はそれだけではない。9月か10月には、小さな旅に出よう・・・と目論んでいる。
ここにある「北斎館」へいってみたいのである。
http://www.hokusai-kan.com/treasure01.htm
大好きな北斎と、小布施の風光をめでながら、小さな写真旅。
時間があるようなら、もうずいぶんご無沙汰している善光寺詣でもしてみたい。
http://www.zenkoji.jp/about/index.html
ご本尊は阿弥陀如来。開基1400年を超えているというから、この近辺ではほかに比べるもののない古刹で、わたしの祖父などがよく出かけていた。ほんとうのところは、高野山へいきたいのだけれど、遠くて、とても日帰りではむりである。
仏教徒たちの「聖地」。浅草と同じように「仲見世」があるのもうれしいではないか。

そんなことを考えていたら、また、つぎのような詩が生まれてきた。


深夜に目覚めて(ポエムNO.45)

なにか書こうとするのだけれど
なにも書けない。
なにか読みたいのだけれど
なにも読む気がおこらない。
腹はへっているのに
食べたいものはない。
電話をかけたいのに
かけるべき相手がいない。

深夜にひとり ポツンと目覚めて
虫の声を聞いている。
もういっぺん 高野山へ出かけてみようか?
日々はたえまなく更新され
ぼくのこころはゆれている。
ゆれて まわって 傾いて。
気がつくと ぼくは猫のいない猫町にきているんだ。

このさきの角をまがったら
――息せききって駈けていったら
荷風の「お雪」さんに逢えるんだろうか?
ぼくはいま 風景の裏側から表を見ている。
まぶたをとじれば いつだって風景の裏側が見えてくる。
こころが煮つまってしまい
お焦げみたいな臭いがして・・・。

ほろ酔い気分で娘っこを抱いて
歌ってはじけたらどこかへ抜け出せるんだろうか。
あのときはそうだった。
だけどあの人は消えてしまったな そしてあの人も。
変成岩のように
傷だらけの積み木のように
さっきからずっと動かないヤマトシジミのように
きみの中のキラキラした幻影のように。
悩まされつづけた**のように。
ああ ぼくはいつからここにいるんだろう。

すべっていく すべっていく。
つるつるした日常の床の上を。
真っ青な空よりもふかい空虚のはずれに腰をおろし
日本海を眺めながらひとりの詩人がたばこをふかしている。
その後ろ姿に ゴツンとぼくはぶつかる。
「なにしているんです? さがしものですか」
「ああ。その通り。おれはいつだってなにかをさがしている。
見つかるなんてめったにないが・・・」
「さがしているって たとえばなにを」
「たとえば・・・たとえばそれはことばさ。砂金のように
ほんの微量がこの砂浜に溶け込んでいる」

やがて朝と夜がねじれあって
うっすら朝焼けが東の空ににじみ出す。
ここまでは歩いてきたということなんだ。
詩人はやがてその浜を遠ざかって消えていく。
むろんあしあとなどは残さずに。
猫のいない猫町のはずれ。
ある一夜の出口のあたりで
ぼくはそんな物語を耳鳴りのように聞いている。


※トップの写真と記事内容には補完的な関係はありません。
(利根川の河川敷にもうけられた社。洪水または水難事故と関連がありそうである。遠くに赤城山が見える。)
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« mixiとgoo | トップ | サンドイッチなネタ(猫のテ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Blog & Photo」カテゴリの最新記事