二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

事実は小説より奇なり

2010年07月31日 | Blog & Photo
2日間ほどはとてもしのぎやすく、
ほっと一息つけたけれど、
今日は予想最高気温約36℃で、もうかなり蒸し暑い(^^;)


ところで、このところ、日記が書けないくらい、ばたばたしている。
公私ともに(^^;)
例年なら7、8月は不動産屋はヒマなのに、
今年はパラパラと、五月雨のように仕事がつづいている。

この時期にお引越をする賃貸のお客様は、いい意味でも、悪い意味でも、
よんどころない事情をかかえているので、2つの例をあげてみよう。

1. Yさん
刑務所の看守(国家公務員)で、50代半ば、独身。
これまで借りていた一戸建を貸主の都合により立ち退かねばならなくなった。
自宅は市内S町にあり、80代の老いた両親がいる。
運転免許はもっているが、30年以上、乗ったことはなく、どこへいくにも自転車。銀行もカードも信用していない。利用しているのは「郵貯」のみで、
趣味はモデルガン(あるいは輸入の実銃)。
トラクターを改造し、キャタピラをつけて、「戦車」にしている。むろん、公道は走れないが。
「遊び部屋」として借りたいというのだけれど、利用目的は判然としないものがある。当社が仲介し、8帖のワンルーム(ロフト付き)を27日に契約。

2. Tさん
68歳で、内縁の妻あり。いま住んでいるアパートが大改造のため、
立ち退きをせまられ、当社へ。代行の運転手。
いまのアパートに、180万円もの滞納あり。市役所の福祉課に「生活保護申請」をしているとのことであった。
滞納の理由は、妻のガンの治療に多額の出費を強いられたからという。
生活保護世帯の場合、入居審査にオーケーを出すのは、代位納付が基本条件。
ところが、市の福祉課へ問い合わせたところ、Tさんは収入があるため、初期費用(契約金など)は市が負担するが、以降は「代位納付」しないとのこと。
いったんはお断りしたのだが、7月31日(土)には立ち退きを約束してしまったので、もうほかを探しているいとまがない。
半信半疑ながら、家賃の保証会社の審査にかけたところ、OKが出たので、本日契約。
(180万円の滞納金に関しては、その貸主と返済方法につき、合意書をかわしているらしい)


「事実は小説より奇なり」なんである。
111歳の男性、最高齢者がじつは30年前に死亡していた・・・というニュースにびっくりした人は多いだろう。
あきらかに、現実がフィクションを追い越している。
「そんなことありうるのか?」
新聞やTVのニュースをもとに、かりにそういった物語を書いたとしても、読むほうはその物語にリアリティーを感じなかったりする。

虚構なんだから、なんだって書けるし、あまりに恣意的。
・・・と判断されかねない。

7月もアパートがけっこう動いたが、決まったのは、
「初期費用が極端に安い物件」
「単身者向けで家賃3万円台、ファミリー向けで4.5万円以下の物件」
にかぎられている。

低所得層の人々の半数あまりが、ますます追いつめられている現実が、いやおうなしに見えてくる。友人で「うつ病」に苦しんでいるのがいるし、この2年で、3回も転職し、いまは派遣の仕事をしてしのいでいる知人がいる。
また、不動産投資家のなかには、「いまこそ買い時」とばかり、競売物件を落とす人がいて、その片棒をかついだりもする。しかし、そういった事業家の収益性は、年々悪化しているのである。
夢のもてない時代・・・事実は小説より奇なりという現実に対し、あたふたと対応をせまられて、ますます汗をかいている。



<註>
事実は小説より奇なり(じじつはしょうせつよりもきなり) 世の中に実際に起こる出来事は、虚構の小説より却(かえ)って奇妙で不思議である。イギリスの詩人、バイロン(George Gordon Byron)の言葉。
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