二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

上信電鉄根小屋駅まで

2012年03月29日 | Blog & Photo


驚いた!
近隣の住民たちが、国有地たる烏川河川敷を不法占拠している。
それは、かなり広大な面積におよび、ご本人たちが、手作りした住居や農作業のための小屋が、憶測でおおよそ0.8km~1.9km四方にわたって、点在している。
それを知っていて、わたしはここを撮影地に選んだのではない。偶然きあわせ、こういう光景に遭遇した。
河川敷といっても、広大な昔の氾濫原である。

わたしは20代のころ、精神科の病院に事務スタッフとして勤務したことがあり、高崎から下仁田へ向かう上信電鉄が、烏川の鉄橋をわたり、左へカーヴしていくこのあたりで、自殺した青年の遺体収容にあたった経験がある。うつ病の回復期は、自傷行為や自殺のおそれのある患者がたまにいて、スタッフは気をくばっていた。
片方の脚が轢断されたり、内臓の一部がはみ出してたれ下がったりした遺体を担架にかき集め、そのあとで、轢断現場を浄めるため、買っていった大量の日本酒を鉄路にそそいだ。さいわい顔には大きなキズはなかったものの、それからおよそ1ヶ月、わたしは牛肉・豚肉をいっさい受け付けなかった。
・・・あれから、30年もの時が流れた。

曇の量が多く、北風が冷たかった。
ドラマチックトーンを使いすぎるといやだな、と考え、この日はじめてのアートフィルター、ファンタジックフォーカスを使ってみた。被写体によっては、期待以上の効果があらわれるから、女子だけに占有させるのはもったいない(笑)。





いつも地図はクルマに積んであるが、そんなものは見ずにふらふらと散策を愉しんでいるので、「おや? あの駅はどこだろう」とおもって、回り込んでみたら、そこが上信電鉄根小屋駅。

まだ新米の女性の駅員さん、お一人だけで勤務している。
駅舎がシック&フレッシュなパープルに塗られていたのでお訊ねしたら、今年になって塗装したばかりだという。わたしは切符売り場に飾ってあった「銀河鉄道999」のバッヂ(420円)をカメラバッグのアクセサリーにするために買った。

左側にあるのは、サクラ。
花の季節にはもっと風情のある、ローカルな私鉄の小駅となる。
お気に入りのカメラがあれば、いまのわたしはたぶん・・・どこへいっても十分愉しめるだろう(^^;)
春の気配が濃くなって、田んぼのあぜには草や草の花がいつのまにか顔を出している。
考えすぎないようにしながら、眼にした風光を切り取っていく。
撮影直後は、どれもこれもいい写真のようにおもえる^^;
貧しい風土。そして、その貧しさが奏でる音楽・・・のようなもの。人間のいわば「心のかけら」のようなものを、拾いあつめていくと、こんなところすら、楽園のように見えてくる。北方に立派すぎる高崎市役所が遠望できる。





こちらからあの建物はよく見えるが、むこうからこちらは見えはしない。
どこもかしこも、掘っ立て小屋ばかり。なぜ?
不法占拠だから、建築確認がとれないのだ。田んぼのあぜで、草摘みをしている老人がいた。犬小屋に犬の姿はなかった。
「こんな風景が見たかったのだ。そうだ・・・そのただ中に、いま、おれはいる」。






☆mixiアルバム「上信電鉄、根小屋駅までの旅」はこちら(友人の友人まで公開)。
http://photo.mixi.jp/view_album.pl?album_id=500000054848479&owner_id=4279073

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