二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

「<情報>帝国の興亡 ──ソフトパワーの五百年史」玉木俊明(講談社現代新書 2016年刊)レビュー

2019年02月20日 | 歴史・民俗・人類学
わたし的な評価はまことに低く、☆☆レベルにとどまった。
理由はいたって明快、同じ著者の「ヨーロッパ 繁栄の19世紀史」を、さきに読んでしまったからである。
内容的には2/3がかぶっている。どちらか一冊読めば事足りると判断したため、あとから読んだ「<情報>帝国の興亡」の評価が下がったのだ。
刊行の順にこちらからさきに読んでいたら、違った印象をもったかもしれない。

《情報を制する国家が覇権を獲得する!
17世紀オランダの活版印刷、19世紀イギリスの電信、20世紀アメリカの電話――、世界史上のヘゲモニー国家は、情報革命の果実を獲得することで、世界の中核となった。しかし、インターネットがもたらしたのは、中核なき世界だった!
情報の非対称性がなくなっていく近世から、情報の不安定性が激しさを増す現代まで、ソフトパワーの500年の歴史を辿りながら、「近代世界システム」の誕生、興隆、終焉を描きだす一冊。》(本書内容紹介)

17世紀オランダの活版印刷、19世紀イギリスの電信について、やや詳しく解説されている。
失礼ないい方かもしれないが、玉木俊明先生は、“文献”を渉猟し、一所懸命に勉強さなったのだ(^^;)
まめに引用し、出典はきちんと明らかにしてある。結果的には「だれもがいいそうなこと」に落ちついていく。ご苦労さまです。
でも、ほかの切り口はなかったの?

わたしのようなすれっからしの読者は、玉木先生、またですかと、授業というか、講義に身が入らない。
それでも文章が読みやすいから、途中斜め読みはあったものの、最後まで読み通すことができた。

本書が悪いわけではない。あちこちの出版社からオファーがあるのだろう。出版社は何とか売ろうと懸命になる。そのあたりを見極めるのは、読者の責任。
「ヨーロッパ 繁栄の19世紀史」があれば、わたし的には、この本は蛇足であった( ´ー`)ノ 残念。
いま調べたら、amazonの評価も高くない。



評価:☆☆

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