二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

「エドガー・アラン・ポー スペシャル」 その他の書評

2023年01月08日 | 歴史・民俗・人類学
■「物語 ウクライナの歴史 ヨーロッパ最後の大国」黒川裕次(中公新書 2002年刊)



パソコンではしばらくログインしなかった。
スマホではどんな方がどのようなコメントをつけてくれたのかがわからない。
要するにモチベーションが低下しているのですね(;^ω^) 
冬の寒さも原因だけど。

中公新書の世界の歴史物語シリーズは、イギリス、フランス等、これまでも3~4冊は読んでいる。わたしのような素人が読むには、うってつけのシリーズだとおもっている。「物語 チェコの歴史」もスタンバイしてある。すべて国別となっているため、大きすぎる網で一網打尽にすることが多い世界の歴史ものの中では、素人が要点を絞り込むのが容易なのですね。

ウクライナは、ロシア史の一部として記述されることが多く、わたしもそのようにかんがえていた。それが誤りであることを、本書は諄々と説いている。
著者の黒川裕次さんは、歴史家ではなく、ウクライナ大使を務めたことがある外務省の高官である。ウクライナ語を知らない人には、ウクライナの歴史は書けるはずがない。

バラスがとれた労作である。
本書を読めば、まずそのことは認めざるをえないだろう。ウクライナは部分的にはロシア史と重なるが、違った要素の方がはるかに大きい。
「物語 ウクライナの歴史」から、わたしは多くのことを学ばせてもらった。これまで知らなかったのだから“評価”などしようがない。

YouTubeを通じてプーチンの戦争を眺めていたら、ウクライナの歴史をどうしても詳しく知りたくなった・・・ということである。
大国化したポーランドに長らく占領されていたことがあったのだ。日本人には理解しにくい苦難の歴史を歩んできたのだし、旧ソ連からの独立は、ついこのあいだのこと。第二次世界大戦でも、日本人300余万に対し、ウクライナは3000万人に近い犠牲を払っている。

いずれまとめて読もうとかんがえて集めてある小説家ニコライ・ゴーゴリも、出身はウクライナである。
読んで損はない、高レベルの一冊。
いずれにせよ、評価なしが妥当だろう。黒川さん、ありがとうございますと率直に感謝申し上げておく♪


評価:なし



■「エドガー・アラン・ポー スペシャル」巽孝之(NHKテキスト 100分で名著 2022年刊)



BOOK OFFで見かけたので、買ってきた。
エドガー・アラン・ポーの作品4篇を取り上げてある。
1.アーサー・ゴードン・ピムの冒険
2.アッシャー家の崩壊
3.黒猫
4.モルグ街の殺人

「アーサー・ゴードン・ピムの冒険」をのぞき、ほか3篇はかつて読んでいる。しかし、もうずいぶんと昔なので、記憶はかなり薄れている。
以前は一般的にポーではなくポオと表記されていた。いまでも岩波文庫の八木敏雄さんはポオとしるしている。

期待した以上におもしろかった。これは“拾い物”といえる。
訳者の巽孝之さんはアメリカ文学の気鋭の専門家で、ポーに関する研究書も、複数出しておられる。
新潮文庫にはつぎの3冊がラインナップ(^^♪
黒猫・アッシャー家の崩壊  ポー短編集I ゴシック編
モルグ街の殺人・黄金虫  ポー短編集II ミステリ編
大渦巻への落下・灯台  ポー短編集III SF&ファンタジー編

ゴシック、ミステリ、SF&ファンタジーと分けて編集してあるのがミソである。カバーデザインが現代的で、読書欲をそそる。訳者はもちろん巽孝之さん!
100分de名著の内容も、とても刺激的なもので、愉しく読ませていただいた。
巽さんも本書でふれておられるが、ポーはリアリズムの作家ではなく、ロマンの作家である。リアリズムに依拠した小説は、一般的にノベルと呼ばれ、ロマンとは区別される。

いうまでもなく、ポーほど先駆者として輝かしき栄光に包まれた文学者はほかに存在しない。
わたしは“ノベル”といわれる小説の方が好きなので、ストックはしてあるものの、ポーはなんとはなしに敬遠してきた。
しかし、しかし・・・。
ドリトル先生シリーズに大ハマりしたことをきっかけに、いくらか風向きが変わってきたのだ。
小説のうち半分はノベルなのだが、のこり半分はロマンというべき領域にある。司馬遼太郎さんはその双方にまたがっているし、わたしが好きなシャーロックホームズはどちらかといえばロマンの部類に属する小説であろう。

本書「エドガー・アラン・ポー スペシャル」は、ある自覚を促してくれたという意味で、わたくしめにとっては得難い読書体験となったようであ~る(^^;


評価:☆☆☆☆☆

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