二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

単焦点50mmレンズのポテンシャル

2012年06月13日 | Blog & Photo

このところ、単焦点レンズの出番がとても多くなっている。
なかでも、50mm(35mm換算)レンズ。
いちばんはじめに「おや?」と思ったのは、M型ライカを使っていたとき。
ご存じのように、レンジファインダー機種はボケ(被写界深度)の確認ができない、パララックスがあるため近距離に弱く、マクロ撮影ができないという欠点がある一方、撮影範囲の外側まで見ることができるという長所がある。ライカだから、ということではないが、ファインダー視野の中に、撮影範囲をしめす半透明のフレームが浮かんでいるのはおもしろい。
「へええ、50mmレンズの画角って、こんなに広かったのか!」
そのときは、これ一本でなんでも撮れるような気分を味わった。
学生時代、バイトをして買ったキヤノンAE-1にはFD50mmF1.4のレンズがついていた。
翌月だったか、翌々月だったか、銀座へいって、中古で広角28mmf2.8と200F4を買った。
そうして神田や白山下、上野公園界隈を歩いた。
あれから40年の歳月が流れたなんて、信じられない。「アサヒカメラ」の熱心な読者だったから、木村伊兵衛さん気取りだったのだろう(笑)。

ズームレンズはずいぶん使ってきたし、いまでも使っている。だけど、わたしの感性が古いせいか、「ここイチバン!」というときには、単焦点を持ち出したくなる。
このところよくお見かけする、少し気になっている写真家に、森山大道さんの教え子、尾仲浩二さんがいる。この人の撮影データを拝見すると、ニコンF3Pに、35mmF2のレンズ一本槍。なにもかも、この組合わせで撮影している。いまのような時代、この徹底ぶり、禁欲ぶりには、人を敬服させるものがある。師匠の森山さんが28mmレンズの使い手であることは、よく知られている。森山さんのあの写真の世界は、28mmレンズが生み出す世界だといっても過言ではないだろう。

わたしの場合はどうかというと、どうも単焦点では、50mmレンズの出番がもっとも多い。
町中の雑踏で近距離からスナップするときは35mmとなったりするが、気がつくと、また50mmに戻っている。撮影しながら50mm遣いの巨匠、木村伊兵衛さんやカルチェ=ブレッソンを意識することはまったくないけれど、このレンズはわたしにはベストフィットする・・・ようにおもわれる(^-^)
「50mmレンズ論」のようなものがネット上にたくさんあるかとさっきググってみたが、たいした記事は発見できなかった。

わたしはこのところ、50mmレンズのポテンシャル、つまり潜在能力にあらためて眼をみはっている。ローライフレックス3.5Fには、75mmレンズ、ヤシカマット124Gには80mmレンズが標準装備され、これは35mm換算で、それぞれ41mm、44mmに相当するそうである。散歩写真にはベストフィットのすばらしい画角である。
二眼レフはレンズ交換ができない(マミヤにはレンズ交換可能な機種もあったが)ので、これを持って撮影にでかけると、なんでもこれで撮影することになる。迷いがないから、これ一本で、被写体と向かいあう。

「いいかね、腕を研きたかったら、50mmレンズを極めるんだぜ」
もし、わたしに弟子がいたら、いまのわたしはそういって、50mmレンズ論を語りだすだろう(笑)。
「寄ってよし、引いてよし、あるいは絞ってよし、開けてよし・・・こんなに遣いでがあるレンズはほかにない」などと。

28mmの出番は、まずない。F3でいえば、ときどき35mmや55mmマイクロにレンズ交換し、気分をリフレッシュ! そうして、また50mmに戻る。F値が1.4と明るいので、絞りの選択範囲がとても豊かで、薄暗い日でも、ISO100のフィルムが使える。
むろんあまり絞り込まず、F5.6以下に設定し、レンズの味を引き出すようにしている。

この時代のレンズは、レンズの収差がいろいろ残っている。絞り込んだら、いまどきのレンズと同じように、似たり寄ったりの優等生。まあそれはそれでいいのだが、間口はやたら広いけれど、深みのない男のように退屈で、ときどき「わかった、わかった・・・もうたくさん」といいたくなる(笑)。

さきほどちょっと気になってニコンレンズのカタログを調べたら、ニコンにはなんと、50mmだけで、6本の現行品がそろっている。歴代の50mmをすべて合わせたら、いったい何本になるのやら?
ズーム全盛の昨今、50mmレンズって、そんなに人気があるの? いや、たぶん・・・わたしの推測ではたいして商売にはなっていないだろう。ニコンファンのわたしにいわせれば、そんなレンズをラインナップに残しておく、というのが、ニコンの偉さ!
ところが、ニコンの一時代昔のレンズは、必ずしも名玉とはいえない。
「ボケがきたない」
「シャープだが、ガチガチに仕上がり、ソフトなニュアンスにとぼしい」
な~んていう悪評は、よく眼にする。わたしもそういう経験をいくらかしているから、これはあたっているだろう。ライカでいえばズミクロン(あるいはズミルックス)、ツァイスでいえばプラナーにはおよばないとしても、ニコンだって、そう捨てたものじゃないぞとわたしは考える(^^;)





あばたもえくぼだっていいじゃない。恋をするとは、そういうことだから――。アッハハハ♪



☆松任谷由美「輪舞曲~ロンド」背景に流れる映像がすばらしいですぞ~。 3回、いや4回は笑えるし、カメラが大活躍!
http://www.youtube.com/watch?v=9cjcfDJsRkk

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