小川さんは、不偏不党の立場から、日本の平和、日本の安全保障について、数字をあげ、具体例を列挙して、とてもリアルに語っている。「戦争力」とはいささか刺激的なタイトルだが、読んでいくとこれが平和力のことだと理解されてくる。
インタビュー形式をとっているので、とても平易。防衛問題の素人にもわかるように、注釈が完備している。
日本はアメリカの安全保障問題の最重要国家であり、日米安保とは、アメリカが主導する世界平和にどんなふうに貢献しているのか、眼からウロコだった。そういう意味では、わたしにとっては、たいへん貴重な啓蒙の書であった。
現実を知らずに、憲法改正論議はなりたたない。わが国には、感情論によりかかった、ひとりよがりの平和主義者のなんと多いことだろう。
そういう読者にとって、この書は「良薬口に苦し」という役割を果たすだろう。
日米安保なくして、日本の六十数年のこの平和はありえなかったろうとの確信を、わたしは本書によって深めた。
安全保障には人的、金銭的負担がつきもの。冷戦構造が終結し、21世紀型の戦争が、アメリカの同時多発テロによってはじまった。それに日本の平和主義はどう対応し、貢献するべきかについて、まことに示唆にとむ発言がなされている。
極東が尖閣諸島問題、竹島問題で緊張感をたかめているいま、小川さんのような専門家の意見に心して耳を傾けるべきだろう。
理念としてのご立派な平和論ではない。いまそこにある危機に、自衛隊や海上保安庁は対応を迫られているのだ。
憲法九条を金科玉条のごとく担ぎ回るまえに、国際関係のパワーバランスに透徹したまざざしをそそぎ、わが国が直面する安全保障上の重要課題を正しくリアルに認識すべきだろう。小川さんは右翼でも左翼でもない、真の憂国の徒であり、本書は多くの日本人に向けて発せられた、情熱あふれるすぐれた労作である。
※本の写真はネット上からお借りしてあります。
(紀伊國屋書店ネット)
インタビュー形式をとっているので、とても平易。防衛問題の素人にもわかるように、注釈が完備している。
日本はアメリカの安全保障問題の最重要国家であり、日米安保とは、アメリカが主導する世界平和にどんなふうに貢献しているのか、眼からウロコだった。そういう意味では、わたしにとっては、たいへん貴重な啓蒙の書であった。
現実を知らずに、憲法改正論議はなりたたない。わが国には、感情論によりかかった、ひとりよがりの平和主義者のなんと多いことだろう。
そういう読者にとって、この書は「良薬口に苦し」という役割を果たすだろう。
日米安保なくして、日本の六十数年のこの平和はありえなかったろうとの確信を、わたしは本書によって深めた。
安全保障には人的、金銭的負担がつきもの。冷戦構造が終結し、21世紀型の戦争が、アメリカの同時多発テロによってはじまった。それに日本の平和主義はどう対応し、貢献するべきかについて、まことに示唆にとむ発言がなされている。
極東が尖閣諸島問題、竹島問題で緊張感をたかめているいま、小川さんのような専門家の意見に心して耳を傾けるべきだろう。
理念としてのご立派な平和論ではない。いまそこにある危機に、自衛隊や海上保安庁は対応を迫られているのだ。
憲法九条を金科玉条のごとく担ぎ回るまえに、国際関係のパワーバランスに透徹したまざざしをそそぎ、わが国が直面する安全保障上の重要課題を正しくリアルに認識すべきだろう。小川さんは右翼でも左翼でもない、真の憂国の徒であり、本書は多くの日本人に向けて発せられた、情熱あふれるすぐれた労作である。
※本の写真はネット上からお借りしてあります。
(紀伊國屋書店ネット)