
このあいだ足利で初撮りしたネガカラーがあがってきた。
そのネガを、キタムラのライトボックスでしげしげ眺め、時間が10年以上逆行するような軽い目眩を覚えた。
66の密着はかなりの大サイズ。記憶に残っているコマがあるし、そうでないコマもある。
――11日間。
撮影してから、それだけの時間が経過しているので、この行為というのは、写してその場でいつも確認しているデジカメの映像とはずいぶん質がことなる。
じつはこの約20,000円で買ったヤシカマット124Gには、3ヶ月間の保証期間があるが、心配だったので、ラチチュードのきわめて広いネガカラーを使用。そして、フォローのため、撮影枚数の半分はPENデジでメモしておいた。
ブローニーサイズのこのフィルムでとらえたスローライフなフィルム映像と、デジカメの映像は、似ているようで、本質的になにかが違っている。それがなにかを、いまはうまく表現できない。ライトボックスの上のフィルムを見た瞬間「ああ、あー、あーん」と声が出そうになった(笑)。
いってみれば、体の奥からこみあげてくるある種のよろこびを、たしかに――感じることができたのであった。
数日中には、フィルムスキャナにかけて皆さんにもお目にかけたいと思う。
そこで、アナログなフィルムとデジタル画像の違いについて、あらためて若干の考察をくわえてみたい(=_=)
さてさて、今日のお題は「点景人物をいれて写真を撮る」である。
いつだったか、マイミクのいーさんが、点景人物がはいっていると、
俄然写真がおもしろくなるという意味のことをいっておられた。
それはたしかに、あたっている・・・とわたしも思う。
トップに掲げたのは、CX6のB/Bで撮っている。
クルマで走行中、ちらっと見かけた光景を、いい加減にフレーミングし、シャッターボタンを押している。
背景はほとんど意味のまとわりつかない、インターチェンジ周辺の雑駁な風景だが、そこに一対の男女の後ろ姿がとらえられた。
「そうか、こういう写真をもっと撮ってみよう」

そして成功作とはいいがたいが、ようやく撮れたのが、これ。
烏川右岸、S橋付近から、対岸を撮影している。若かったころ、この付近に仕事場があったので、わたしは向こう側から、つまり烏川左岸の高台から、こちらを見ていた。何年もその仕事場にいたから、その当時は「日常見なれたなんの感動もない光景」だったのである。
だから、・・・いわば反転した陰画のような風景の中を、一人の女性が遠ざかっていく。
この女性は、この場合の“わたし”にとっては、必要欠くべからざるアクセントであったわけである。点景人物がいなかったら、シャッターを押すことはなかった・・・という意味で。
うん、それがどうしたといわれると困るけれど、わたしは「写真のおもしろさ」について、考えている。写真におけるディープな味わい、ビターな味わいとはなんだろう。
ソフトで甘っとろいものがいけないわけではないが、それとは違った味わいをどうしたらとらえることができるのか?
いろいろなカメラを使用しながら、イメージの言語を駆使する。あと一歩。いや、あと半歩。
わたしは“わたしの写真”を探し回る。
