二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

「マーラー」カラー版作曲家の生涯シリーズ/船山隆(新潮文庫)

2010年08月19日 | 音楽(クラシック関連)
今日はどんよりした雨模様のお天気。
気温がずいぶん下がって、涼しいな・・・と思って温度計を見たが、
室温は30℃、湿度70%。
これで「涼しい」と感じるのだから、いままでいかに猛暑つづきだったかわかる。

昨日、水曜日は定休日。
どんな風の吹き回しか、浴室、トイレ、台所の掃除をはじめたら、あっちもこっちもと気になってきた。 1時間のつもりが、その倍の時間をかけて、汚れ落とし。
また、わが家はシャッター雨戸つき。
そのシャッターとアルミサッシの隙間に、スズメが巣を作っている。
しかも、2カ所。汗まみれになりながら、その巣の始末もした。

猛暑疲れ=夏バテなんだろうか? アルコールの呑み疲れなんだろうか? あるいは・・・。
とにかく、カメラ3台をクルマに積み込んで撮影に出かける気力が出ない。
掃除がおわったあと、エアコンの効いた部屋で、新潮文庫の「マーラー」を読みながら、 ソファに横になって、マーラーの交響曲をたてつづけて聴いてすごした。

CDは――、
第1番「巨人」(ワルター&コロンビア響)、
第2番「復活」(ズービン・メータ&ウィーン・フィル)、
第4番(ロリン・マゼール&ウィーン・フィル)、
第5番(バーンスタイン&ウィーン・フィル)、
第6番(ジョージ・セル&クリーヴランド・フィル)、
「大地の歌」(ワルター&ウィーン・フィル)、
第9番(バルビローリ&ベルリン・フィル)をもっている。

第1番「巨人」をのぞくと、どれもが60分は優に超える大作ばかり。いや、70分、80分の超大作もあるのだ。
マーラーは、この第1番以外は、これまでどこがいいのかさっぱり理解できず、その長大な楽曲のヴォリュームをもてあますばかりだった。
しかし「ブルックナーのつぎは、マーラーを攻略し、自分のものにしよう」と、漠然と考えてはいた。最近はつきあいのとぎれてしまった友人も「マーラーをまったく聴かないのはもったいないなあ」といっていたものだ。
攻略ステップとして、「4番、5番あたりはなかなかいいぞ」というところまではきている(笑)。

もう絶版になっているらしいが、新潮文庫の「マーラー」はおもしろい。
初心者向けだし、写真・図版が豊富で、楽譜が読めないわたしは、こんなところから、いつも理解の手がかりを得ている。
読みながらウトウト。音量があがって、クライマックスのフォルテシモとなると、はっと目を覚ます(笑)。
やっぱり夏バテなのだ。
こんな風にして、図書館から借りてきた、デュ・プレ演奏のエルガー「チェロ協奏曲」はじめ、「巨大なビーフステーキ」みたいな、食べごたえ十分のマーラーの大作4曲を聴いた。
ハイドンやモーツァルトの交響曲と較べ、どれもがまるでモンスターのよう・・・。しかも、文学的で、おおげさで、奔騰する感情の落差たるや、すごいものがある(^^;)
2回や3回聴いたくらいで、とても、攻略できたとはいえない。まだまだ、さきは長いのだ(=_=)フゥム、アセアセ。

指揮者としては頂点にのぼりつめたとはいうものの、彼のシンフォニーはめったに演奏されなかった。しかし「やがて私の時代がくる」(妻への手紙)と確信していた作曲家マーラー。
爛熟の文化都市、世紀末ウィーンに生きて、たびたびアメリカとヨーロッパを往復し(当時はむろん汽船の時代)、死んだのは1911年。
墓碑には「Gustav Mahler」のほか、一字も刻ませなかった。
まるで森林太郎みたいに潔い死に方といってもいいだろう。
彼と同じユダヤ系のワルターやバーンスタインがコンサートで熱心に取り上げ、そして彼の時代が、ほんとうにやってくる。それは1980年代になってから、という(=_=)



評価:★★★☆(3.5)

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