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写真用語かどうかはよく知らないけれど、アベイラブル・ライト(available light)ということばがある。
「いま、そこにある光」という意味だし、自然光ともいう。
ある意味で、スタジオライティングの反対語。
いま、自分はどんな光につつまれているのか?
写真を撮るとは、まず、光の性質を見極めるところから、スタートする。
トップにあげた画像は、利根の河川敷でとらえた一枚。
木の右側には、野球場のバックネット、野球用具を入れるためのプレハブが建っている。
LUMIX LX5を手にして、それまで、被写体をさがしていたのだが、めぼしいものが発見できなかった。
こんな日は「仕事やりたくねぇなあ」な~んて気分が、かなり強い。
カメラ雑誌は読み飽きたし、コーヒーは飲みすぎて、胃がちょっとしくしくしている。
見あげたら、白っぽい実をたくさんつけた、こんな木が眼についた。
いい光を浴びて、風に全身を晒しながら佇んでいる。
それが、カラマツであろうが、ケヤキであろうが、クスノキであろうが、大きな見あげるような木が太陽を浴びて佇む姿には、たのもしい、なんともいえない風韻が感じられる。
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この木である。
太陽の恵みをうけて、うれしそうに、枝と枝、幹と幹が、会話を交わしている。
ザワザワと、風の音にまじって、実りの秋(とき)を迎えたよろこびを奏でている。
ピアノの右半分の鍵盤の響きが、そこから聞こえる。
トップにあげた逆光の中の木と、この木は、同じ一本の木である。
だけれど、光やフレーミングを変えると、聞こえてくる音楽は、驚くほど違い、トップの画像には、ややパセティックなイメージが入り交じる。しかし、空というか、雲の表情は案外おだやかで、受容的。
LX5特有の、やわらかな色再現である。
夕陽と木々の、コラボレーション。音のない音楽。
「木」という、この単純な表意文字も大好き(^_^)/~
眺めているだけで、いくらかリラックスできる。
「仕事をしたくない日には、わたしのところへおいで!」
そうして、一本、あるいは数本の木が、わたしを呼び寄せる。
「あなたを尊敬し、敬愛し、思慕しています」
そんなことばを発するかわりに、わたしは写真を撮る。
祈りをこめて・・・と書くと、美辞麗句になってしまうけれど。
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