二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

ささやかな時間旅行 ~2019年夏 桐生市の巻

2019年08月01日 | Blog & Photo
  (拝み倒してようやくOKがもらえた貴重な数枚のなかの一枚♪)


ハードオフで買ったカメラ(オリンパスOM-1Nブラック&50ミリF1.4・・・1万2千円)が毀れていたので、つぎの日はそれを返品するため、片道およそ一時間かけてふたたび桐生市へいった。
そこで出会った、O眼鏡店のご主人。
つぶやきでも取り上げたけど、味のある、じつにいいお顔をしている。

錦糸町の交叉点といえば、桐生のランドマーク!
O眼鏡店はその交叉点の一角にある。





CMコピーの洪水のような外観(*゚ー゚)v
この付近はこれまで、数回歩いているが、なぜかこの眼鏡店には関心を向けなかったのだ。
年齢はお訊ねしなかったが、80歳をいくらか過ぎたお年であろうか?
このお店の周辺だけ、アーケードが残っている。



わたし的には、“パリのパサージュ”を連想しないわけにはいかなかった。

《十九世紀のパリをこよなく愛する私のようなレトロ人間にとっては、この「十九世紀の化石」(パリのパサージュ)はバルザックやフロベール、あるいはボードレールやヴェルレーヌの作品の雰囲気を味わう上でまたとないよすがとなるばかりか、十九世紀に流れていた時間にそのまま入りこむような感覚が味わえるので、エジプト学者にとってのピラミッド以上の価値をもっている。》(鹿島茂「パリ時間旅行」1993年刊 8ページ)

ささやかな時間旅行。
そのために、わたしはこれまで10回は桐生を訪れている。武田花さんは「眠そうな町」で1990年に第15回木村伊兵衛賞を獲っているが、「眠そうな町」の撮影の舞台裏は“東武線沿線”の町々。
パリにはいけないが、「両毛線に沿って国道50号を走ってみたらおもしろそうだぞ」と、
そのとき気が付いたのだ。

それから十数年たって、“カメラ熱”が再発したとき、わたしはまず桐生市の魅力に取憑かれた(^ー゚)ノ
と同時に「街撮り」のおもしろさに開眼したのだ。

町にはそれぞれのいわば時間の地層が存在する。それを発掘し、カメラに収める。微細なかけら、おもかげのようなもの。
そういった断片をジグソーパズルみたいにつなぎあわせる。
すると、かつてにぎわっていた「○○町の昭和」が、ぼんやりとではあるが、あぶり出されてくるのではないか!?

わたしの「郷土遊覧記」とは、そういう意味で時空を滑空する旅なのである。
桐生のさきには、足利があり、佐野、栃木がある。
そうして範囲が徐々に拡がっていった。

「フィルム写真工房 ~2019年春 桐生市の巻」より
https://blog.goo.ne.jp/nikonhp/e/c70759bca3b86070b66f6a2802d62a46

この日、つまり2019年5月18日(いったのは前日)。
このときわたしは「くらまたカメラ」の建物を一度撮影している。
しかし・・・レンズのAFスイッチがなぜかOFFになっていたため、ピンぼけ写真となってしまったことに、気が付かなかった。
だから、撮り直すことにした。





円を4分割し、その一片でデザインされたような外観。そして、この薄さ(*゚▽゚)
一度見たら忘れられない特徴があるではないか!
シャッターが下りて何年たつのだろう?
わたしは建物の周りをぐるぐる回りながら、薄型40ミリレンズでトライした。

鹿島茂さんは、パリのパサージュに出かけると《十九世紀に流れていた時間にそのまま入りこむような感覚を味わえる》といっている。
わたしの場合は、十九世紀のパリではなく、北関東の昭和という時代へのタイムスリップなのである。その“場所”を、桐生に発見しにいった・・・ようなものである。

ところどころに、何十年も昔の地層が顔を出している。そのころ生きていた人たちも、わずかながら残っている。










そういうつもりで、冒頭の一枚に見入る。食い入るように凝視する。このあと、1年か2年たってふたたび訪れたとき、Oさんはもういないかもしれない。
時間。
時間とはそういう意味で残酷なものなのである。
だからこそ何度もたのみこんだのだ。

その節は、どうも、どうもありがとうございましたm(_ _)mペコリ


//以上 おしまい
(最後までお読みいただき、ありがとうございました)

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