二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

永遠の微笑(ほほえみ)

2012年04月01日 | Blog & Photo
<写真館の飾り窓>


この人はいったいだれだろう?

前橋市にあるO写真館のまえを通りかかるたびに、そんなおもいにとらわれる。
もう生きてはいらっしゃらないのではないか?
いや、多少老いがふかくなったとはいえ、まだまだご壮健で、どこかで暮らしている。
あるいは、この写真館のおばあちゃんなのでは?

「あのう・・・ちょっとお訊ねしたいのですが、ショーウィンドウを飾っているあの上品な老齢の女性はどなたですか?」
思いきってドアをノックし、単刀直入にお訊ねすればハッキリするのだけれど、それもご迷惑だろうと考えて、もう何年も、そんな疑問をかかえて、ウィンドウのまえを通る。
ベートーベンかブラームスの弦楽四重奏曲が聞こえてきそうな、ほんとうに気品のある、エレガントですばらしい飾り窓である。
ここを通って、広瀬川をわたると、前橋市の中心商店がある。そこへは、もうずいぶん何回も通っている。



<パサージュ>

「ヒキ」の大きい写真に、豆粒のように人を入れて撮る。
大サイズならそれなりの効果はあるが、mixiのフォトサイズだと、どうだろう?
しかし・・・フルスクリーンモードがあるから、大サイズで鑑賞したければ、この豆粒のような女性を、もっとハッキリ見ることができる。
こういうフレーミングは、わたしとしては「新しいこころみ」に属する。
ゆったりとした空間を入れて撮る。そしてスケール感を表現する。やや型にはまったフレーミングを、もういっぺんぶち壊す。一見、ムダとおもえる周囲をふくめて、“空間の中の人”をとらえる。
ここは、前橋の「パサージュ」なのである。近隣に大型のショッピングモールが3カ所も出現し、すっかりさびれてはいるけれど、なんとか命脈をつないでいる。



<広瀬川夕照> 



<時間が止まった街角>


うまくいったり、いかなかったり・・・撮影を終えて作品を眺めながら、いつも逡巡し、自問自答している。はぐれ雲のメンバー、Aさんなら、どれを選ぶだろう? あるいはHさんなら?





繁忙期はヤマを超えたので、日常感覚がすっかりもどってきた。
寄り道をして写真を撮ったり、出勤まえのひととき、カメラ雑誌を眺めたり・・・。
最近、玄光社が出している「カメラライフ(CL)」や、エイ出版のエイ文庫をよく買って、眼を通す。何度もくり返し眼を通す。
写真のレベルも、印刷のレベルも高く、オリジナルプリントを眺めているような満足感が得られる。フィルムカメラについてのレポートがとても多くて、マニア心をなぐさめてくれる(笑)。 ライカウィルスやローライウィルス、ハッセルやツァイスのウィルスがかくれているから、「お財布」の紐がゆるむと、とてもキケンなのだけれど(~o~)

このところよく見かけて、お気に入りとなった三人の写真家。
田村英彰さん、飯田鉄さん、尾仲浩二さん。
1.田村さんは、元来がCM畑の写真家だが、コンタックスTシリーズのカタログ作成で、一躍名を馳せた。アイルランドやイタリアの風光を撮らせたら、いまでも、この人の右に出る写真家はいないだろう。現行のカタログでは、ソニーNEX7が、田村さんの仕事。
写真には抑制のきいたヨーロッパ風の美的品格があり、日本人ばなれした、理知的な趣味性を感じさせる。

2.飯田さんも、コマーシャル畑が長かったようだが、たいへんなカメラ通。クラカメやレンズについての経験と知識では、おそらく田中長徳さんと双璧だろう。飯田さんは、町歩きがお好きで、関東の地方都市をカメラ一台、レンズ一本で撮り歩きしている。
桐生や上田を歩いて写真をupされているのを拝見し、ああ・・・わたしがやっているようなことを、飯田さんがやっている・・・とおもって、ひどく親近感を覚えた。「CL」のvol.12(上の写真)では、キッコーマンで有名な醤油の町、千葉県野田市をカメラ散歩している。
わたしもいってみたくなった(^_^)/~

3.尾仲さんは、森山さんの直弟子。ずいぶんと地味な地方の平日の風景を、35mmレンズだけで、長年撮っている。「日本カメラ」「アサヒカメラ」のグラビアページでも、ときどきおめにかかる。
失礼ながら「こんな風景のどこがおもしろいのだろう?」と、ずっとおもっていた。ところが、この「CL」vol,12では、「La Rochlle 冬の旅」という尾仲さんの作品が、16ページにわたり特集してある。これがなかなかいいのである。
ニコンF3に、頑固一徹の35mmF2レンズ。ほんとうに、35mmレンズしか使わない人である。どんな場面も、この画角で料理しようとしているところがすごい!


今日から4月。花のシーズン到来である。
なにを・・・どんなふうに撮ろうか? いやそのまえに、いったい、どんな光景に遭遇できるだろう。田村さん、飯田さん、尾仲さん、皆さん申し合わせたように旅をしている。
むろん、被写体と、光と、影を発見するための旅を――。

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