この副題を見ただけでは「え? なんの?」と質問したくなる人が大半だろう。
こういうことである。
《領土・民族・資源紛争、金融危機、テロ、感染症。これから確実にやってくる「サバイバルの時代」を生き抜くためのインテリジェンス》
オビに「2015年の世界が見えてくる!」という惹句が躍っている。
わたしは普段時事的なネタには、めったに触れない。新聞をろくすっぽ読まないし、論壇に対し、基本的に“無関心派”で通している。
友人に議論を仕掛けられても「へええ、そうなんだ」と、はやい話、トボけてしまう。
本気でやったら、喧嘩になるだろう・・・という意識があって、政治や国際情勢に口が重い男と思われている。それでかまわない。
本書の刊行は奥付をみると、平成26年11月20日とある。じっさいに対談がおこなわれたのは、その1か月ばかり前だろうと、わたしは推測している。
つまりイスラム国(IS)による湯川・後藤殺害事件が起こるほぼ直前といっていいタイミング。
日本のマスコミはじっさいに起こっている事件について、正確な内容をつたえてはくれない。露骨なことをいわず、お茶を濁し、ヴェールをかけて報道する。TVニュースや新聞を丹念に読んでも、事件の“真相”が、よくわからない。
戦争の世紀であった20世紀がおわり、冷戦構造が崩壊して、21世紀には大きな戦争(地域紛争は別)は起こらないだろうと、われわれ日本人は思い込まされてきた。
「地域紛争はあくまで地域の問題。日本が関与する必要はない」
ところがこういった常識が、かなり疑わしくなってきたのが、昨年あたりからはっきりしてきた。そのもっとも端的な事件がISによる人質と、法外な身代金要求事件、そして日本人の殺害。日本中がこの事件に沸き立った。
わたしも、あの一連の事件が起こらなかったら、このタイミングで本書を買って読もうとは思わなかったろう。
本書はつぎのような章だてですすんでいく。
序 章 日本は世界とズレている
第1章 地球は危険に満ちている
第2章 まず民族と宗教を勉強しよう
第3章 歴史で読み解く欧州の闇
第4章 「イスラム国」で中東大混乱
第5章 日本人が気づかない朝鮮問題
第6章 中国から尖閣を守る方法
第7章 弱いオバマと分裂するアメリカ
第8章 池上・佐藤流情報術5カ条
終 章 なぜ戦争論が必要か
本書において、池上・佐藤両氏は、かなり踏み込んだ論議を展開している。
憲法9条だけを、金科玉条のように担ぎまわっているだけでは、21世紀は乗り切れないだろう。
第二次大戦後70年の平和。それは在留米軍によるパクス・アメリカーナの傘につつまれ、ぬくぬくとしていられたからである。
国際政治には表があり、裏がある。
日本政府はマスコミや野党が手ごわいから、“ほんとうのこと”をいわない。だから、こういう本が必要なのである。良薬は口に苦し・・・ひとくちにいえば、それがわたしの読後感。
近代ヒューマニズムに立脚した意見は、国際関係論の中では単なるセンチメンタリズム。
領土、軍事力、カネ、ヒト。そこに民族問題と宗教がからんでくる。
個々の問題(各論)については発言を差し控えよう。しかし、30万部も売れているのである。野党のヒステリーでもなく、政府の“公式答弁”でもない、あの戦争や誘拐事件や国際紛争の真相はどうなんだろうと、皆さんが考えている。
日本はこのさき、どうなるんだ? 安倍自民党は日本人をどうリードしようとしているのか? これからはじまる露骨なサバイバル時代の大波を、どうやって潜り抜けるつもりなのか?
ページ数の関係があるのだろうが、第6章あたりから、やや急ぎ足になってしまい、十分な説明がなされていないのが残念。
続編に期待しよう。
こういうことである。
《領土・民族・資源紛争、金融危機、テロ、感染症。これから確実にやってくる「サバイバルの時代」を生き抜くためのインテリジェンス》
オビに「2015年の世界が見えてくる!」という惹句が躍っている。
わたしは普段時事的なネタには、めったに触れない。新聞をろくすっぽ読まないし、論壇に対し、基本的に“無関心派”で通している。
友人に議論を仕掛けられても「へええ、そうなんだ」と、はやい話、トボけてしまう。
本気でやったら、喧嘩になるだろう・・・という意識があって、政治や国際情勢に口が重い男と思われている。それでかまわない。
本書の刊行は奥付をみると、平成26年11月20日とある。じっさいに対談がおこなわれたのは、その1か月ばかり前だろうと、わたしは推測している。
つまりイスラム国(IS)による湯川・後藤殺害事件が起こるほぼ直前といっていいタイミング。
日本のマスコミはじっさいに起こっている事件について、正確な内容をつたえてはくれない。露骨なことをいわず、お茶を濁し、ヴェールをかけて報道する。TVニュースや新聞を丹念に読んでも、事件の“真相”が、よくわからない。
戦争の世紀であった20世紀がおわり、冷戦構造が崩壊して、21世紀には大きな戦争(地域紛争は別)は起こらないだろうと、われわれ日本人は思い込まされてきた。
「地域紛争はあくまで地域の問題。日本が関与する必要はない」
ところがこういった常識が、かなり疑わしくなってきたのが、昨年あたりからはっきりしてきた。そのもっとも端的な事件がISによる人質と、法外な身代金要求事件、そして日本人の殺害。日本中がこの事件に沸き立った。
わたしも、あの一連の事件が起こらなかったら、このタイミングで本書を買って読もうとは思わなかったろう。
本書はつぎのような章だてですすんでいく。
序 章 日本は世界とズレている
第1章 地球は危険に満ちている
第2章 まず民族と宗教を勉強しよう
第3章 歴史で読み解く欧州の闇
第4章 「イスラム国」で中東大混乱
第5章 日本人が気づかない朝鮮問題
第6章 中国から尖閣を守る方法
第7章 弱いオバマと分裂するアメリカ
第8章 池上・佐藤流情報術5カ条
終 章 なぜ戦争論が必要か
本書において、池上・佐藤両氏は、かなり踏み込んだ論議を展開している。
憲法9条だけを、金科玉条のように担ぎまわっているだけでは、21世紀は乗り切れないだろう。
第二次大戦後70年の平和。それは在留米軍によるパクス・アメリカーナの傘につつまれ、ぬくぬくとしていられたからである。
国際政治には表があり、裏がある。
日本政府はマスコミや野党が手ごわいから、“ほんとうのこと”をいわない。だから、こういう本が必要なのである。良薬は口に苦し・・・ひとくちにいえば、それがわたしの読後感。
近代ヒューマニズムに立脚した意見は、国際関係論の中では単なるセンチメンタリズム。
領土、軍事力、カネ、ヒト。そこに民族問題と宗教がからんでくる。
個々の問題(各論)については発言を差し控えよう。しかし、30万部も売れているのである。野党のヒステリーでもなく、政府の“公式答弁”でもない、あの戦争や誘拐事件や国際紛争の真相はどうなんだろうと、皆さんが考えている。
日本はこのさき、どうなるんだ? 安倍自民党は日本人をどうリードしようとしているのか? これからはじまる露骨なサバイバル時代の大波を、どうやって潜り抜けるつもりなのか?
ページ数の関係があるのだろうが、第6章あたりから、やや急ぎ足になってしまい、十分な説明がなされていないのが残念。
続編に期待しよう。