二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

ハイティンクのベートーヴェン

2010年10月02日 | 音楽(クラシック関連)
ベルナルト・ハイティンクという指揮者は、知っているのは名ばかりで、
じっさいに聴いたことがなかった。

ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席指揮者を長くつとめ、その後いくつかの要職をへて、現在はシカゴ交響楽団の首席指揮者をしている、とのこと。
ハイティンクもコンセルトヘボウも、わたしにとっては、初体験。借りて聴いた経験もなかった。

このあいだ、ワンダーGOOの中古コーナーで見かけて、このベートーヴェンの交響曲第3番(エグモント序曲付き)を買ってきた。
「レコード・アカデミー賞に輝く全集録音からの分売!」と書かれている。
録音は1987年、アムステルダム。
新品価格1,000円とは、ずいぶんお安いといっていい。

ファースト・インプレッションは、やわらかくしなやかで、力みのない演奏だけれど、
べつないい方をすると、おとなしく、特徴に乏しいベートーヴェンだというものだった。
ハイティンクにとっては、これが2度目となるベートーヴェン交響曲全集だそうである。

BGMがわりにして、本を読んだり、キーボードを叩いたりしながら、3回、4回とかけ流しておき、それから集中して聴く・・・というふうにしているうち、印象はどんどんよくなっていった。

ffでも、音がまろやか。
わたしはこの音楽は、第1楽章、第4楽章がすごく好きで、
ここだけ取り出し、くり返して聴くことがあるくらいである。

そして、ppの、衣ずれのようなかすかな震えの奥にひそむ品格。
一音、一音に神経がいきとどき、練り絹のような温かさがある。
これがハイティンクの音の特徴なのか、コンセルトヘボウのものなのか、
べつに原因があるのか、これまでつきあいのなかったわたしには、判断の手だてはない。

これまで聴いた第3番の最高の演奏かもしれないが、
もういちど聴き比べをしてみないと、たしかなことはいえない。
よろこびも、絶望も、そんなに深くはないのだ。
しかし、どこかに、断念をかかえこんでいる。危うげがないのに、若々しさも失っていない。それが、品格をもたらすのだろう。
わたしにとっては、掘り出し物の1枚といってよく、ハイティンクを、
もっともっと、聴いてみたくなった。
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