のしてんてんハッピーアート

複雑な心模様も
静かに安らいで眺めてみれば
シンプルなエネルギーの流れだと分かる

忍路 12 

2009-08-18 | 小説 忍路(おしょろ)
 現実の重みから逃れて気持ちがふと軽くなるような、そんなひと時を感じていた。見ると水面は一層深い陰りを見せ始めていた。  私はようやくそこを離れる決心をして港から目を転じた。私は人を選ばず、辺りの村人に忍路のバス停までの道を訊き、その方向に向かってあるき出した。  その道は蘭島から峠を越えてきた路とは違って、ゆったりとした真っ直ぐな坂道であった。この緩やかな登坂にはのんびり歩く人々の姿があって、 . . . 本文を読む
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