お盆に田舎に帰ってきました。山の中の寒村です。毎日ほとんど何も起こりません。
そんなところに、詩人せいさんが引っ越してきました。それも私の実家の隣の空き家にです。
私の村は、人口数十人、都会に出ていくものはいても、村にやってくる人は皆無の寒村ですが、実家に帰るとこんな人が引っ越してきたよと一冊の小さな本を見せてくれた。「出会ってくれてありがとう」心のこもった書と詩で優しさと幸せ、出会いの . . . 本文を読む
小さな櫂の舟が浜辺の所々に引き揚げられた簡素な船着き場で、しばらくこのうっとりした湖のような港を眺めながら、私はこの忍路を最後にここを去らねばならないと考えていた。
しかしふとしたことから、私の思いは再び忍路に引き戻された。それはこの港の持っている不思議な感覚の中である一つの事実に気付いたからであった。
礒の香りがない。私がしきりに湖のようだと感じていたのは、ただ水面の穏やかさと入江の . . . 本文を読む