のしてんてんハッピーアート

複雑な心模様も
静かに安らいで眺めてみれば
シンプルなエネルギーの流れだと分かる

忍路 6

2009-08-12 | 小説 忍路(おしょろ)
忍路の村は眠っている。その閑散とした家並みの、淡くうらぶれた色彩は質素なまま黒ずんでいた。小樽とは一切が対照的に見える忍路は何もかもが耐え忍ぶように雪に埋もれているようであった。それは現代から取り残された雪国の寒村を思わせる深い静まり持っていて私の胸を突いた。  あたかもそれは、この忍路だけが、時の流れから解放されているようでもあり、その独特の薄墨のような静寂を私は胸一杯に吸い込んだ。 . . . 本文を読む
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