のしてんてんハッピーアート

複雑な心模様も
静かに安らいで眺めてみれば
シンプルなエネルギーの流れだと分かる

忍路 5

2009-08-11 | 小説 忍路(おしょろ)
蘭島の駅を3時過ぎに出たのであるから、もう4時は回っているかもしれない。時計を持たない私には、空を見るしかない。太陽の光はすでにこの斜面には届いて来なかった。急に日が暮れてきたように思われた。前に立ちはだかるように見える灰色の山は暗らさを増している。それはわずかな暖かささえも吸い取ってしまう魔性のように見えた。一面の雪は明るさを失い、死んだように無言になった。  不安が一気に膨れ上がり、私は . . . 本文を読む
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