昨日は日本語補習校の学習発表会でした。
善(14歳)は日本の中三にあたり、今年でとうとう補習校も卒業です
最後の学習発表会ということで、感慨深く行ってきました。
善たち中三4人は、枕草子の暗唱からスタート。
あとで聞いたら、
「先生に絶対やった方がいいって言われたからやった。」
と実に素直に白状
自分の一節だけでも覚えていられたら、スゴいです!
さっそく善を呼んで、
「これは盗作だ。」
と諭します。
「とうさく?コピーライト?」
盗作という言葉は知らなくても、すぐにコピーライトという言葉が出たところをみると、なんだかヤバそうということは、わかっていたようで
「人の書いたものを盗むという意味よ。」
さすがに「ぬすむ」はわかるのでハッとした表情。
「コピーライトに抵触する」など、子どもにとっては字面だけの問題で、なんのこっちゃでしょうが、「ぬすんだ」となるとグッと身近な問題です。
「何を盗んだと思う?」
「写真?」
(善はいつまで経っても、英語のピクチャーが絵か写真のせいか、
絵=写真になってしまいます)
「絵もそうね。でも、あんなグラフィックは自分じゃ作れないから、学校の勉強のために借りるのはいいと思う。でも問題はそこじゃなくて・・・・
アイデアを盗んでいること!
しかも、最初から最後まで全部。例えば、1年にどれだけのお箸が捨てられるのかは数字で出るファクト(事実)だけど、その箸がどこで作られ、中国の木が日本の箸のために切り倒されていることと結びつけたのは、この人のアイデアでしょう。
人によっては、同じ箸のことでも、捨てられた箸でどれぐらいゴミが増えるのかを調べる人もいるかもしれない。箸を問題にするのも、その問題がどこから来るのかを調べるのも、それは1人1人のアイデアで、盗んではいけないの。
“タナカ・ケンイチさんという人が作ったこの話が面白かったから、みんなに紹介します”というのなら、レファレンス(参照)しているからいいけれど、それじゃ学習発表会にならないでしょ?だから善くんたちも、何も言わないでいきなり説明を始めたんでしょ?」
「うん。」
「これはしてはいけないことなの。わかる?」
「わかるよ。NCEA(NZの高校生の統一試験のこと)だったらフェイル(不合格)だもん。」
「でしょ?してはいけないってわかってたんでしょ?だったら、先生がダメだと言わなくても、他の仲間がやろうと言っても、『これはダメ』とはっきり言いなさい。子どもだから、補習校だから、他のを探すの面倒くさいからと、してはいけないことをやってはダメよ。」
「わかった。」
ということで、最後の学習発表会は思わぬ『学習効果』がありました。
生まれたときからインターネットがあった世代にとって、検索はいとも簡単なこと。図書館より遥かに遥かに膨大な情報の中から瞬時にほしい情報を得ることができます。
しかし、検索上手になればなるほど、「事実」と「創作」の境目が曖昧になっていきがちです。事実、学校の宿題をチラ見していても、検索能力を問うような課題がいかに多いことか・・・・。課題の情報を探し出し、ワードやパワポで加工し直せばOKという内容に驚かされます。
しかし、溺れそうな情報量の中でこそ、しっかりその中を泳いでいく知的な体力を身につけていくべきなのではないかと思います。
創作には大なり小なり生みの苦しみがつきものです。溢れる情報の中にあっても自分の考えを見失わず、情報を資料として使いこなしながら、自分の力で書いていくことは容易ではありません。自分の力が弱ければ事実の羅列になってしまい、圧倒的な情報量に押し流され、何が言いたいのかわからないものになってしまいます。
もちろん、書いて伝えるべき相手にとっても印象のないものになってしまうでしょう。
過去に2回、自分の書いた仕事が盗作されているのに気付いたことがありました。1回はネット上で、もう1回は印刷媒体で。あの時のゾッとする薄気味悪さはなんとも言えないものでした。
「盗作をしてはいけない」
というのは、されてみると実によくわかります。
「してはいけないことをしない」
ということを、善が悟ってくれたら、この学習発表会は今までの中で最良のものとなるでしょう。
善(14歳)は日本の中三にあたり、今年でとうとう補習校も卒業です
最後の学習発表会ということで、感慨深く行ってきました。
善たち中三4人は、枕草子の暗唱からスタート。
あとで聞いたら、
「先生に絶対やった方がいいって言われたからやった。」
と実に素直に白状
自分の一節だけでも覚えていられたら、スゴいです!
その後はいよいよ発表。
4人のうち善たち3人は「不思議な国 日本」というタイトルの発表。
日本の面積は・・・・
今どきの子たちは、パワーポイントでのプレゼン資料なんて朝飯前
学校の宿題も小学校の頃からパワポで作ってましたから
戦争で世界初の被爆国となり、
戦後は非戦を訴え・・・・・フムフムフム
お話変わって、
これはサラリーマン
この和製英語は普段英語で暮らしている生徒には大ウケ
今どきの女子高生
目は盛り盛り、ダイエット命の彼女たち。
そんな日本の中心、東京は人口密度がこんなに高い~
(個人的にはぜひオークランドと比較してほしかった。
中三ならすぐ計算できるわけだし・・・・)
渋谷のスクランブル交差点は、多いときには一度に、
3000人が渡るそう~
知らなんだ~
日本の食について説明する善。
食物自給率が40%なのに、
残飯の多さはケタ違い!
いかに捨てられていく食べ物が多いか。
世界では7人に1人が餓死しているというのに。
また、世界のツナの漁獲高の3分の1は日本で消費されているという・・・
ツナを絶滅種に指定して、食用を禁じてはという話も紹介。
(そうなったら日本は上に下にの大騒ぎ!でしょうね)
毎年、これだけの数の割り箸が使い捨てされ、
その90%は中国産
(材料が全て中国の木とは限らないでしょうが・・・
その方が問題は他国にも及んで、もっと深刻)
そんな日本の暗部。
毎年富士山で100人の遺体が見つかり、
1日90人が自殺するという、
自殺大国
でもあります。
ということで、かわいいイラストと流れるような説明で、大成功
小学生にもわかりやすく、やんやの喝采。
善たちもウレシそう。
しかし、
母は気になった。
家に帰ってタイトルにあった、
Japan the strange countryをググってみたら、
一発検索
コレです!
4人のうち善たち3人は「不思議な国 日本」というタイトルの発表。
日本の面積は・・・・
今どきの子たちは、パワーポイントでのプレゼン資料なんて朝飯前
学校の宿題も小学校の頃からパワポで作ってましたから
戦争で世界初の被爆国となり、
戦後は非戦を訴え・・・・・フムフムフム
お話変わって、
これはサラリーマン
この和製英語は普段英語で暮らしている生徒には大ウケ
今どきの女子高生
目は盛り盛り、ダイエット命の彼女たち。
そんな日本の中心、東京は人口密度がこんなに高い~
(個人的にはぜひオークランドと比較してほしかった。
中三ならすぐ計算できるわけだし・・・・)
渋谷のスクランブル交差点は、多いときには一度に、
3000人が渡るそう~
知らなんだ~
日本の食について説明する善。
食物自給率が40%なのに、
残飯の多さはケタ違い!
いかに捨てられていく食べ物が多いか。
世界では7人に1人が餓死しているというのに。
また、世界のツナの漁獲高の3分の1は日本で消費されているという・・・
ツナを絶滅種に指定して、食用を禁じてはという話も紹介。
(そうなったら日本は上に下にの大騒ぎ!でしょうね)
毎年、これだけの数の割り箸が使い捨てされ、
その90%は中国産
(材料が全て中国の木とは限らないでしょうが・・・
その方が問題は他国にも及んで、もっと深刻)
そんな日本の暗部。
毎年富士山で100人の遺体が見つかり、
1日90人が自殺するという、
自殺大国
でもあります。
ということで、かわいいイラストと流れるような説明で、大成功
小学生にもわかりやすく、やんやの喝采。
善たちもウレシそう。
しかし、
母は気になった。
家に帰ってタイトルにあった、
Japan the strange countryをググってみたら、
一発検索
コレです!
さっそく善を呼んで、
「これは盗作だ。」
と諭します。
「とうさく?コピーライト?」
盗作という言葉は知らなくても、すぐにコピーライトという言葉が出たところをみると、なんだかヤバそうということは、わかっていたようで
「人の書いたものを盗むという意味よ。」
さすがに「ぬすむ」はわかるのでハッとした表情。
「コピーライトに抵触する」など、子どもにとっては字面だけの問題で、なんのこっちゃでしょうが、「ぬすんだ」となるとグッと身近な問題です。
「何を盗んだと思う?」
「写真?」
(善はいつまで経っても、英語のピクチャーが絵か写真のせいか、
絵=写真になってしまいます)
「絵もそうね。でも、あんなグラフィックは自分じゃ作れないから、学校の勉強のために借りるのはいいと思う。でも問題はそこじゃなくて・・・・
アイデアを盗んでいること!
しかも、最初から最後まで全部。例えば、1年にどれだけのお箸が捨てられるのかは数字で出るファクト(事実)だけど、その箸がどこで作られ、中国の木が日本の箸のために切り倒されていることと結びつけたのは、この人のアイデアでしょう。
人によっては、同じ箸のことでも、捨てられた箸でどれぐらいゴミが増えるのかを調べる人もいるかもしれない。箸を問題にするのも、その問題がどこから来るのかを調べるのも、それは1人1人のアイデアで、盗んではいけないの。
“タナカ・ケンイチさんという人が作ったこの話が面白かったから、みんなに紹介します”というのなら、レファレンス(参照)しているからいいけれど、それじゃ学習発表会にならないでしょ?だから善くんたちも、何も言わないでいきなり説明を始めたんでしょ?」
「うん。」
「これはしてはいけないことなの。わかる?」
「わかるよ。NCEA(NZの高校生の統一試験のこと)だったらフェイル(不合格)だもん。」
「でしょ?してはいけないってわかってたんでしょ?だったら、先生がダメだと言わなくても、他の仲間がやろうと言っても、『これはダメ』とはっきり言いなさい。子どもだから、補習校だから、他のを探すの面倒くさいからと、してはいけないことをやってはダメよ。」
「わかった。」
ということで、最後の学習発表会は思わぬ『学習効果』がありました。
生まれたときからインターネットがあった世代にとって、検索はいとも簡単なこと。図書館より遥かに遥かに膨大な情報の中から瞬時にほしい情報を得ることができます。
しかし、検索上手になればなるほど、「事実」と「創作」の境目が曖昧になっていきがちです。事実、学校の宿題をチラ見していても、検索能力を問うような課題がいかに多いことか・・・・。課題の情報を探し出し、ワードやパワポで加工し直せばOKという内容に驚かされます。
しかし、溺れそうな情報量の中でこそ、しっかりその中を泳いでいく知的な体力を身につけていくべきなのではないかと思います。
創作には大なり小なり生みの苦しみがつきものです。溢れる情報の中にあっても自分の考えを見失わず、情報を資料として使いこなしながら、自分の力で書いていくことは容易ではありません。自分の力が弱ければ事実の羅列になってしまい、圧倒的な情報量に押し流され、何が言いたいのかわからないものになってしまいます。
もちろん、書いて伝えるべき相手にとっても印象のないものになってしまうでしょう。
過去に2回、自分の書いた仕事が盗作されているのに気付いたことがありました。1回はネット上で、もう1回は印刷媒体で。あの時のゾッとする薄気味悪さはなんとも言えないものでした。
「盗作をしてはいけない」
というのは、されてみると実によくわかります。
「してはいけないことをしない」
ということを、善が悟ってくれたら、この学習発表会は今までの中で最良のものとなるでしょう。