ニュージーランド移住記録:日記「さいらん日和」

2004年に香港からニュージーランドに移住した西蘭(さいらん)一家。子育て終了、仕事もリタイア。好きに生きる記録です。

トンガリロ行:スパイラル

2014-01-19 | 旅行
タウマルヌイを出て次に訪れたのが、ラウリム。
人口500人ちょっとの村とも言えない小さな集落です。

人の気配が全くなく、洗濯物が干してなかったらまるで無人のよう。


実際、昼間からカーテンが閉めっぱなしの人の気配がない建物も。

(※ここはロッジと書いてありましたが・・・・)


営業しているようには見えない店ばかり。



かつては本当に給油ができたんでしょう

そのままアンティークになっています。


ディスプレーなのか、閉店したときのままなのか、



オールド・ストアーという、そのままの名前の店。

(※多分、ここは営業していません)


ラウリムにはいくつも宿泊施設があります。

冬はルアペフへのスキー客の宿になるのか?
(相当距離がありますが)


ちなみに、2013年の国勢調査によると、
通常の人口:534人
調査日(3月5日)の人口:1,251人
と、倍以上の開きがあり、こんなに静かでも観光の村なのを実感。
バックパッカーが周辺の国立公園で遊ぶ拠点になっている様子。


入居している家:252軒
空家(別荘など住人がいない家も含む):156軒
と5軒に2軒が空家なので平日の午後に「無人」と感じるのも
むべなるかな



とまれ、ここに立ち寄った理由は

これです







なにこれ



なものですが、実はこれ世界有数の画期的なものなのです。
100年以上前には


タウマルヌイの記事でも出てきたオークランドとウェリントンを結ぶ
北島幹線鉄道を開通させるに当たり、難所中の難所だったのが、
実はこのラウリムだったのです。

今は駅がないものの、駅舎の名残のような建物が残っています。


電線の下にはもちろん今でも線路があって現役です

ノーザン・エクスプロラー(旧オーバーランダー)や貨物用です。


おっ!

ルアペフの頭だけがちょこっと入りました


なぜこんな何でもないように見える場所が難所だったかというと、

周囲の地形はこんな感じで、台地と下を流れる谷の急な高低差が
220mありました。


この落差をどうするか?

19世紀末から20世紀初頭にかけての土木技術では、大問題でした。


約15年にわたった調査の結果、当時としては世界最高水準だった
スパイラル(螺旋)と呼ばれる、複雑なルートで問題を解決することに。

設計図と航空写真


航空写真のアップ

ヘアピンカーブとトンネルを駆使して急な落差を克服したのです。


手前の線路と二段目の高さを走る列車が両方写っている写真

ヘアピンカーブのなせる技
この角度や高低差の計算などが非常に高度だったらしいです。


確かに列車も長いし、難工事だったでしょうね~

この写真の列車が走っている場所は三段目だそうで、集落が遠い!


トンネル建設現場

シフトを組んでの手掘りだったらしいです
ダイナマイトは使ったでしょうが、大変な労力。
役馬のお馬さんもご苦労さん


さぞや危険な仕事だったことでしょう。

でも1905年に着工して1907年10月に完工したそうで、早っ


当時は工事関係者1,500人とその家族がラウリムに住んでいました。

なので、こんな光景も。
100年後の今の3倍の人口です


今では本当に静かな場所になってしまいました。

後ろはナウルホエ山
素晴らしい景色



なぜこんなに博物館のような古い写真があるかというと、

これですよ、これ


トンガリロの定宿ザ・パークの

レストランです


オーナーの趣味なのか、ラウリム出身なのか



すべてがスパイラル

ロゴまでしっかりスパイラル


この記事に登場した白黒写真はみなレストラン内に飾ってあるもの。

バーはもろコレですから~
歴女が地味にアガる場所


こんな展示を見ながら

ちびちび飲む
(※いいえ、天気が良かったので外にしました)


鉄子ではなくても

歴史的背景を知ると、


ウレしいじゃないですか

こんなものが


ラウリム駅が閉鎖されたときに払い下げかオークションがあったのか?

旧NZ鉄道のロゴ
美しいです


これは線路の断面の焼きごてでは?

地味に凝ってます。
オーナーは鉄男と鉄子?かつての建設労働者の一族?


ラウリムには見晴台があるので目を凝らしてみるものの

今は樹木に覆われてスパイラルらしきものは全く見えません
残念
手前は模型
(※見晴台に上がってくる人がみな口々に「見えない、見えない」と言ってました)


ノーザン・エクスプローラーはタウマルヌイに停まらなくなったので、
スパイラルを体験するには夏だけ停車するらしい

オトロハンガ駅から


ラウリムのすぐ隣、トンガリロ国立公園内に位置する

ナショナルパーク駅まで乗るか
いっそオークランドからウェリントンまで乗ってみるか???
(※10時間以上かかるので早まらないほうがいいです



かつて乗ったことがある夫にスパイラルの感想を聞いてみると、



・・・・・



・・・・・



・・・・・



「覚えてない。」
チーン
寝てたの?


ラウリムのもう1つの思い出はコチラで。


(つづく)